前回の記事で、シフトブーツのステッチを染色し、サイドブレーキのステッチは編み直すと言う方法で色変えを行いました。

結果としては大成功と言えるのですが、それぞれの特徴から、平らな部分のステッチは染色でも問題ないが、サイドブレーキなどは編み直した方が良いと言う事もわかりました。

多少の荒さも気にならないなら染色ペンポスカでも気軽に染められる事から、全てのステッチをペンだけで染めてしまう方も多い様ですが、前回の作業でステッチの編み直しのコツも掴んだので、今回は思い切ってステアリングのステッチを編み直してみたいと思います!

ステアリングのステッチはサイドブレーキに比べて遥かに範囲が広いですし、曲面を編む事になるため難易度は上がりますが、はたして素人に可能なのでしょうか?

◆ステアリングの取り外し方

◆ステアリングのステッチを編み直してみよう

◆気になる仕上がりは?

■ステアリングの取り外し方

NDロードスターのステアリングスイッチ加工の記事でも解説していますが、取り外し方はどの車もほとんど同じです。

何より、最近の車は純正ステアリングのエアバッグ兼ホーンボタンを取り外す作業が面倒なだけで、それ以外はおまけみたいなものですね。。。

今回はマツダ2の例となりますが、他のマツダ車もほぼ同じなので参考にされてください。

まずはステアリングを左右のどちらかに90度回しておきます。

エアバッグ周辺をいじくり回す事になるので、万が一の誤作動防止のため、バッテリーの端子を外しておきましょう。

マイナス側のターミナルをまとめて外しておけば良いです。

エアバッグは左右のスポーク裏と、下段は下の方で爪によって固定されているので、穴から5mmの六角レンチを差し込んで強く押さえてください。

ガコッと音がしてエアバッグカバーが浮き上がるのがわかると思います。

続いて、ステアリングコラム上から、スポークの裏側にある穴へ六角レンチを差し込んで、こちらも強く押さえましょう。

ガコッと音がしてカバーが浮き上がりますが、これで外れたと思い込んでいる人が多いので注意点を一つ。

“結構強く押さえて良い”です(笑)

少し動かしている間に、外れた爪がまた引っ掛かっちゃった…なんて話を聞きますが、そんな事ないですからね。。。

そもそも…

これくらい浮きますので(笑)

カバーが浮き上がったのを確認したら、ステアリングを逆側に90度回してから、残ったもう1か所の爪も押さえてください。

これで完全に外れたはずですので、裏側のホーンの配線と、エアバッグのコネクタ(黄色)を引き抜いてエアバッグAssyを取り外します。

エアバッグ用のコネクタは、中央の黒いロックを精密ドライバーで引き抜いてやれば黄色いコネクタ本体が外せます。

続いて、ステアリングを真っ直ぐに戻しておきます。(別に真っ直ぐにしなくても構わないですが)

センターは、ナットではなくボルトで固定されていました。

締め付けトルクが正確にはわかりませんので、緩める前にマーキングをしておきます。

また、矢印で示した白いコネクタをスパイラルケーブルから引き抜いておきましょう。

ボルトは21mmのソケットレンチで回してやれば、大したトルクでは締まっていないので簡単に緩みます。

ボルトが緩んだら一度ボルトを取り外してから、位置決めのマーキングをしておきます。

スプラインではないので1山(?)ずれると誰が見ても明らかなほど傾くので、間違う事はないと思いますが一応です(笑)

マーキングをしたら再びボルトを軽く捻じ込んで、ステアリングを引っ張って取り外します。

私の車では少し引っ張っただけで簡単に外れましたが、固着している車などは抜けた反動で顔や胸を打ってケガをする恐れがあるので、ボルトを差し直すのは万が一のケガ防止のためです。

さあ、これでステアリングが取り外せたはずですので、後は屋内に移って本題の作業に入りましょう。

ちなみに、この状態でスパイラルケーブルには絶対に触らないでください!

調整手順はスパイラルケーブルのケース表面に記載されているので復旧は可能ですが、構造を理解していない方は面白がってグルグル回しちゃったりすると後からちょっと面倒な事になるので、余計な事はしない様に(笑)


■ステアリングのステッチを編み直してみよう

さあ、ステアリングの取り外しに成功したら、次は屋内で裁縫の時間です。

取り外したステアリングは写真の様な状態になっていると思いますが、裏のカバーやスイッチなどを取り外す必要はありません。

台の上で作業するので、キズが付かない様に柔らかいマットの上で作業しましょう。

毎回登場していますが、これは世間では玄関マットと呼ばれている品物で、こう言う作業用に安物を1枚買って持っています(笑)

表面は起毛素材で裏面には滑り止め加工もされているので、作業用に1枚持っておくと結構便利ですよ。

細かい作業手順は前回の記事で解説してあるのでそちらを読んで頂くとして、今回は編む範囲が広い事と、局面になっている事から要点だけをご紹介したいと思います。

まず、ステッチの糸を解いてやる必要がありますが、使われている糸が非常に長いため、丁寧に引き抜くには時間が掛かりますし、絡まって穴に引っ掛かったりと作業性が悪い。

なので、5~6cmほど糸を解いたらハサミでカットして、また5~6cmほど解いたらハサミでカットして…と小分けにして作業すると良いです。

ステッチの編み始めは二重にループさせて緩み止めをしておくのも同じですが、サイドブレーキの作業と違ってグリップ部とスポークが近くて作業性の悪い部分が多いため、針を差し込む角度や使用出来る針の長さに制約があります。

作業が困難だと感じたなら、無理せずカーブ針を使用する事をお勧めします。

真っ直ぐな針を強引に使用すると、生地を破ってしまったり、針が折れてケガをする恐れもあるため無茶はしない様に。

なお、前回の記事では使用する糸の長さは余裕を見て、編む長さの5~6倍とお伝えしておりますが、ステアリングの場合は範囲が広いので、万が一にも途中で足りなくなる事がない様に、私は7倍ほどの長さで使用しました。

でも、6倍ほどで取っておけば全然問題なさそうです(笑)

ステッチの編み方自体もサイドブレーキのステッチを編む時と同じです。

ただし、範囲は非常に広いので、根気の要る作業となります。

途中で糸が緩んでいる事に気が付かずに作業を進めてしまうと手直しが大変になる可能性があるので、しっかり確認しながら作業を進めましょう。

作業中の緩み止めにはマスキングテープを使用して、固定しながら進めていく事をお勧めします。

終点まで編み終えたら、仕上げの作業もサイドブレーキと同様ですが、生地がカバーの裏側に織り込んであり、しっかり糊付けまでされているので糸を表へ出し難いです。

ここも真っ直ぐな針ではなく、カーブ針を使用するのが良いでしょう。

端部の緩み止めをして本結びで締めたら、余った糸を1~2cm残してカットします。

はみ出した糸は針の背を使って生地の裏側に押し込んで隠せば、仕上げの作業は完了です。

これでステッチの色変えが終わりましたが、比べてみるとこんな感じ。

左側が赤色の糸で編み直した方で、右側が純正の黒いステッチですが、結構印象が変わりますよ♪

結構時間は掛かりますが、綺麗に仕上がったステアリングを見ると満足度は高いですね!

さすがにコツも掴んだと思いますので、他の部分も同じ様にステッチを編み直しましょう。

ステッチの編み直しが完了したらステアリングを車に取り付けます。

21mmのソケットを持って、センターボルトを手回しで締められるところまで締め付けた後、最初にマーキングした合いマークを頼りに本締めして固定してください。

あとはスパイラルケーブルとエアバッグ及びホーンのコネクタを忘れずに接続したら、エアバッグカバーの位置を合わせて手で押さえつけてやればバチンッと固定されます。

最後にバッテリーターミナルを接続して、パワーウインドウのオート初期化作業を済ませれば作業終了です。(初期化手順はACC-ON状態でスイッチを長押し後、スイッチを引き上げて数秒保持。オート開閉が機能する事を確認したら完了)


■気になる仕上がりは?

さあ、素人作業でステッチを編み直しましたが、仕上がりは満足できる結果となったでしょうか?

気になりますよね~?

やっぱりやらなきゃ良かったなんて事になるのかな?

それとも、許容できるレベルには仕上がっているでしょうか?

それではご覧ください!

じゃーん!

見よ!このクオリティ!

これね、冗談抜きに…

アップでお見せしても差し支えないレベル…と言うより、元々純正でこうであったかの様な完璧な仕上がりですよ!

見た目の違和感はもちろん、握り心地も自然で、ステッチを編み直したなんて言われなきゃ気付かないレベル。

面倒と言う欠点を除いては、作業難易度は低く、仕上がりのクオリティも非常に優れているので、ペンで染めるなどと言った愚かな行為より、編み直す1択ですよこれは。

ちなみにステアリング1本を編み直すのに掛かった時間は、70分程度(ステアリングの着脱は含まず)と、意外にも短時間で済んでしまうので、のんびり作業してもステアリングの着脱まで含めて2時間もあれば十分でしょう。

完全に初めての作業であればもう少し時間が掛かるかもしれませんが、編み方のコツさえ掴んでいれば恐れる事はありません。

もちろん糸の色は豊富ですから、逆にステッチを目立たない色に変更したり、ボディカラーや内装色に合わせて青色や黄色に変更すると言った楽しみ方もあると思いますし、今回学習した作業は色変えだけでなく、ほつれの補修にも応用可能です。

何より革用の糸縫製針だけで可能なカスタムなので、コスパ最強のドレスアップテクニックと言えそうです。

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