最近はステアリングスイッチが標準装備されている車が多くなりましたね。

オーディオカーナビの操作だったり、クルーズコントロールだったりと機能満載です。

そう言った車のハンドルを交換する場合には、ステアリングスイッチの移設や加工をして機能を残したりする方もいますし、潔く撤去してしまうのも一つの選択肢。

また、ステアリングスイッチ対応の社外ハンドルなどもあり、純正ハンドルから取り外したスイッチをそのまま純正装備かの様に流用出来る物もあります。

今回はNDロードスターの例なのですが、機能しないスイッチが残っているのはイヤだと言うつまらない拘りから、やらなくても良い余計な事をやっちまおう!って企画である(笑)

ちなみに今回紹介する方法は、ステアリングスイッチの着脱方法も含まれているので、社外ハンドルへ移設したい人にも前半部分は参考になると思いますし、前期型のMT車へ輸出仕様や後期用のクルーズコントロールスイッチを取り付けたいと言う人にも丁度良いかと思います。

今回やりたい内容は、フルバケットシートへ交換した事から、不要となったハンズフリー通話用のスイッチ撤去である。

オーディオのボリュームやインフォスイッチは残してちゃんと機能させるのである。

逆の見方をすれば、ハンズフリー用のスイッチを付けたい方は、手順を逆に追って行けば機能追加も可能なので参考にされてください。

◆ステアリングスイッチの外し方

◆ステアリングスイッチの配線加工

■ステアリングスイッチの外し方

今回はNDロードスターのステアリングスイッチを取り換える作業となります。

最近の車のお決まりですが、エアバッグが装備されているため、作業を開始する前にバッテリーのマイナス端子を外しておきましょう。

そうそう事故は起きませんが、万が一作業中にエアバッグが誤作動を起こした場合は大ケガをする可能性がありますので、忘れない様に必ず端子を外しましょう!

さあ、それでは早速ですが、ホーンボタン兼エアバッグカバーを外す必要がありますが、ネジ留めではありません。

純正ハンドルの左右と、下のスポーク裏に直径6mm前後の穴が開いていますが、ここからちょうど良いサイズの棒を突っ込んで、エアバッグ裏の爪に引っ掛かっているロックピンをリリースしてやる必要があります。

これなんですが、位置関係がわからないと見当違いな所をいくら突いても外れませんのでご注意あれ(笑)

また、使用する棒は細過ぎても上手く押さえられないし、太ければ穴に入らないので直径5mm程度の物がベストです。

私は5mmの六角レンチを使用しました。

上手くロックピンを解除出来ると、裏のバネの力で勝手にポコンッと手前へ飛び出してきます。

まずは一ヶ所、二ヶ所と気にせず進め、三ヶ所目を外す時はエアバッグカバーに手を添えておきましょう。

全ての爪が外れると、いきなり脱落しますので、ハンドルを傷付けてしまったり、裏の配線を断線させてしまう恐れがあります。

上手く外せたら、裏側のカプラーを2本引き抜きましょう。

ホーンのカプラーは普通に外せますが、エアバッグの黄色いカプラーは中央の黒いロックを精密ドライバーなどで持ち上げて解除してやらないと引き抜く事は出来ません。

ちょいとここで、先程のエアバッグを取り外す際のコツと仕組みなのですが、写真の様に棒を突っ込んでピンを解除してやる必要があります。

これは下側の穴から棒を突っ込んだ際の位置関係の例です。

取り外したエアバッグの裏を確認すれば、どこを押さえたらロックを解除できるのか分かり易いですね。

矢印の位置を押さえてやれば良いので、実際のハンドルと穴の位置を確認しながら、どの角度で押さえれば良いか観察してみてください。

エアバッグを取り外したら、スイッチを外す前にリング状のベゼルを外す必要があります。

ちなみにこれ、整備書ではハンドルAssyを車両から取り外した上で、裏の黒いカバーを外してから作業する様になっているのですが、ハンドルを交換するわけではないのでわざわざハンドルを引き抜くなんて面倒な作業はやりたくありません。

こんな物は力で解決しましょう(笑)

まずは矢印の位置に爪が掛かっているので、クリップ外しを使用して軽く浮かせます。

わずか数mm程度ですが、上手くベゼル上部が浮けば爪は裏から抜けているので、隙間に指を入れながらグリグリと手前へ引っ張ってみてください。

気になる場合はスイッチやハンドルとの継ぎ目にマスキングテープなどを貼り付けてキズ防止の保護をしておきましょう。

ある程度まで抜けたら、下段に手を掛けて同じ様にグリグリと引っ張ってやれば一気に抜けます。

ほらね(笑)

引っ張るだけで抜けるとは言っても、上ばかり引っ張っていては本当に割ってしまう可能性もあるので、上が浮いたら下を引っ張り、下が浮いたらもう一度上を…と言った感じで少しずつ浮かせていきましょう。

上手く外せたら、これで左右のスイッチが取り外せます。

写真では既に抜けていますが、左右のスイッチも爪で留まっているだけなので、これもスイッチをガシッと掴んで上下にグリグリと捩じりながら引っ張ればあっさり抜けますよ。

後は丸で示したカプラーと、矢印のクリップを2ヶ所外してやれば完全にハンドルから分離出来ます。

これで移設や交換など、目的の作業に進めますね!

ちなみに、ハンドルを交換したい場合など、ハンドルを引き抜く場合は、センターがずれない様にマジックなどで合いマークの目印を付けた後、センターナットを緩めてからナットを完全には外さず、2~3山残しておきます。

後は、ハンドルの左右や上下を手でしっかり掴んでグリグリと揺らす様に力を掛けながら思いっきり手前へ引っ張れば抜けます。

結構硬くて抜ける時は一気に抜けるため、ナットを2~3山残しておくのは、ハンドルで顔や胸を打ってケガをしないための対策です。

力に自信がない方は、プーラーなどを使用して抜くと良いです。



■ステアリングスイッチの配線加工

さあ!今回やりたい内容は、不要になったハンズフリー通話用のスイッチ撤去です!

ハンズフリーのスイッチを追加したい人も内容は同じなので、前項の手順でスイッチを取り外したら…

交換用の純正スイッチを用意して入れ替えるだけでOK!

なんともあっさり、実に簡単な内容である。

しかし、そう簡単にはいかない場合がある。

私の車の場合、別に望んだわけではないが、セーフティパッケージのオプションに抱き合わせとなっているクルーズコントロール機能なんて余計な物が付いてきた。

ちょっと試しに使ってみたんですが、やはりアクセルを踏んでいないのに一定速で走る車と言うのは気味が悪いものです…(笑)

日本国内仕様の前期のMTには設定がないそうで、付けたがる人もいる様です。

それはともかく、このクルーズコントロールが装備されている場合、なんと左右のスイッチが1つのカプラーを共有していると言う不都合が生じる。

左のスイッチだけ入れ替えようと思ったら、右のスイッチは機能しなくなるため下位グレードのただのカバーに変更するか、配線をカットして機能しないスイッチを見た目だけ残しておくかの選択肢となるわけですね。

ちなみに、クルーズコントロール用のスイッチを買うと左右のスイッチがセットになっているので、そのまま入れ替え可能ですが、なんと私が今回取り外したいと言っているハンズフリースイッチも漏れなく付いてくる。

ハンズフリースイッチを撤去しつつ、クルーズコントロールのスイッチも機能させるなら、配線を加工する以外に方法はない。

って事で、ちょっと配線を確認してみましょう。

実際に確認すると左右のスイッチが直接繋がっているのは2本の線だけです。

その他の配線は左右のスイッチからそれぞれが別々にカプラーへ接続されています。

ちなみに、こちらがハンズフリースイッチの付いていないタイプの物。

先程のカプラーでは、クルーズコントロールのスイッチ側から接続されていた黒・灰の2本線が直接カプラーに接続されているのがわかります。

スイッチ本体を分解して出所を確認してみるとこんな感じになっています。

こちらはハンズフリースイッチ付きの方ですが、先程の黒・灰の線が出ていた場所から別の色の配線が出ている。

ちなみにこの配線は、右のクルーズコントロールのスイッチと繋がっている配線の色と同じです。

って事で、テスターを使って確認してみたところ、最終的に行き着く場所が同じ。

黒・灰線が繋がっている場所と導通が確認出来ました。

って事はですよ、黒と白/緑線、灰と白/青線をそれぞれ接続してやれば機能しそうです。

それでは純正カプラーからピン抜きを行い、加工の準備を始めます。

カプラーには抜け止めのロックがあるので、精密ドライバーで解除します。

これだけでは端子は抜けません。

端子は小さな爪でカプラー内に引っ掛かっているので、端子抜きのSSTを使うか、まち針を使って抜き取りましょう。

こんな感じで抜けます。

クルーズコントロール用のスイッチも、こちらに端子ごと移植する形になるので、接続するポートはメモするか写真を撮って控えた後に、必要な端子を引き抜いておきます。

内2本は切断して結線してやる必要がありますので、はんだごてを使用してくっつけましょう!

配線の絶縁・保護用の熱収縮チューブを忘れずに。

こんな感じでちょいちょいと結線してやればOKです。

この結線する配線と言うのは、先程の黒・灰と緑/白・青/白線の事で、黒・灰は左のスイッチから、緑/白・青/白は右のスイッチから出ている物に接続しましょう。

正しく接続すると、左のスイッチの灰色の線は、右のスイッチからカプラーに接続される灰色の線と導通し、左のスイッチの黒い線は、右のスイッチからカプラーに接続される黒い線と導通が確認出来るはずです。

正しく接続出来ている事が確認できたら、熱収縮チューブを炙って絶縁しておきましょう。

あとは左右スイッチAssyのカプラーと同じ位置に端子を差し直して組み立ててやれば、ハンズフリースイッチを撤去したスイッチAssyが完成します!

最後に、スイッチ取り外しの手順と逆の順番に部品やカプラーを組み立てていけば、ご覧の通り不要なスイッチが消えてスッキリしたハンドルになりました!

バッテリーのマイナス端子を取り付けた後は、実際にスイッチを操作してみて、問題なく機能する事を確認しておきましょう。