車のインテリアコーデで人気のある、シフトノブサイドブレーキレバー及びステアリングの交換と、それに付随するブーツ交換。

材質・形状変更と言う理由もありますが、ステッチの色を気にする方って結構多いですよね?

交換した他のパーツとの統一感を出すために色を合わせたり、ボディカラーに合わせたり。

廉価仕様のウレタン製なら即ぶん投げて本革のステアリングに換えたくなるところですが、上位グレードで形状や握り心地は気に入っているのなら、ステッチの色を変えたいと言う理由だけで高価なオプションや社外品に交換しちゃうのは何だかもったいない気もしますよねえ。

また、該当箇所にアフターパーツが存在しない場合など、ステアリングやシートなどを交換すると、そこだけステッチの色が違って気になるなんて事も。。。

今回は私が最近購入したマツダ2の例となりますが、車種を問わず、どんな車でも安価に、そして簡単にステッチの色を変えちゃう方法があるのでご紹介しましょう。

面倒なパーツの交換も不要です。

少し難易度が上がりますが、ステアリングのステッチを編み直すコツや注意点について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

◆「染める」と言う選択に最適な染色ペン

◆やめた方が良い?サイドブレーキレバーも塗ってみた

◆糸を「編み直す」方法を試す

■「染める」と言う選択に最適な染色ペン

ステッチの色を変えるには「染める」と言う方法があります。

染めると言うと何やら大変そうに聞こえますが、対象物(ステッチ)が糸である事から、染料を染み込ませてやれば簡単に色が変えられるってわけですよ。

ここで使用してはいけない例ですが、油性ペンの類は絶対に避けましょう。

使用するのは布以外には色の乗り難い”水性ペン”を使用します。

ちなみに、下地の隠蔽性が高い顔料を使用すれば、黒色など染めるのが困難な濃い色のステッチでも問題なくイケちゃいますよ!

用途別に向き不向きがありますが、この手の作業で定番とされているのがKIYOHARAの染色ペンと、三菱uniのポスカです!

とりあえず両方買って確認してみたので、この2種類のペンの特徴を簡単にご説明します。

○染色ペンの特徴

下地の隠蔽性が低い(透明インク?)ため、黒いステッチの色を変える事は困難ですが、白やシルバーなどの薄い色のステッチに対して使用する場合は簡単に染まりますし、ポスカより鮮やかで発色に優れています。

○ポスカの特徴

不透明インクのため、黒いステッチもあっと言う間に色が乗ります。
染めると言うより塗るに近い感じですが、対象物が糸のため容易に染み込んで糸目が潰れる様な不自然さは出ません。ただし、糸の材質によっては仕上がりがイマイチな場合も。

 

上記の特徴から、染める場所や下地の色によって使い分けると良いでしょう。

今回の例では黒いステッチとなるため、実際にポスカを使用した色変えの例をご紹介します。

ポスカ自体はホームセンターなどにも大体置いてありますが、色の種類が少なかったり、特に今回の作業に必須となる“極細”サイズを置いているお店が極端に少ないので、通販で入手するのが良いでしょう。

いきなり車の部品を塗ってしまうと失敗が怖いため、まずは塗る練習から(笑)

ちょっと太めですが、凧糸を”突っついて”みます。

ここがポイントなのですが、ガシガシと塗り込まなくても毛細管作用でインクが吸い込まれる様に染み込んでくれるので、ペン先でチョンチョンと押さえてやる感じで色を乗せます。

2、3回同じ場所を突っついたら、その周囲にも少し滲んで色が乗ります。

ステッチを塗る時も、端から端まで丁寧に塗ろうとする必要はないわけですね。

では本番いってみますか!!(もう?)

ステアリングサイドブレーキは取り外すのが大変ですが、シフトブーツなどの様に簡単に外せる物はなるべく取り外して作業した方が綺麗に仕上がる事は言うまでもありません。

もちろん、ステアリングなども取り外しが苦にならないなら、取り外してから作業する事をお勧めします。

マツダ2(DJデミオ)の場合は、裏側のネジを外せば枠から簡単に外せますので、シフトブーツ単体まで分解しましょう。

取り付けた状態での仕上がりを良くするには、隠れている部分まできちんとやるのがコツです。

ステッチをペン先でチョンチョンと押さえるだけなので、作業自体に説明は要らないですね。

水性インクは合皮に塗料が密着し難いため、少々はみ出しても乾燥する前に拭き取ればステッチ以外の色は簡単に落ちます。

どれくらいしっかり色が乗るのかと言うと、こんな感じ!

ご覧の通り、ポスカを使えば黒いステッチでも驚くほど簡単に赤色に変わってしまいます。

塗った直後は妙に明るい赤色に見えるものの、塗り進めている間に染み込んで色味が落ち着いてくるので、好みの発色になるまで2~3回程度、同じ作業を繰り返します。

一通り塗り終わったら15~20分程度乾燥させ、半乾きの内に固く絞ったタオルでサッと水拭きしてやれば色むらも目立たなくなり、色味も落ち着いていい感じに仕上がります!

あとは完全に乾燥してから元通りに取り付けてやれば完成♪

周辺のステッチと色が揃っていい感じになりましたね!

乾燥後のポスカには耐水性があるため少々濡れた手で触ったくらいでは色落ちもしませんし、インクが手に付く事もないので、手で握るステアリングサイドブレーキを塗っても差し支えないかも…?

ただ、シフトブーツと違って万が一失敗した時のリスクは大きいですが、試してみます?

良いでしょう!ちょっと躊躇しちゃいますが、私が試してみましょう(笑)


■やめた方が良い?サイドブレーキレバーも塗ってみた

シフトブーツと同じく、サイドブレーキも見えているステッチをペン先で突っつくだけの作業ですが、躊躇する理由にはちょっと気になる事があるんですよ。

単純に2~3000円程度で交換できるブーツに対して、サイドブレーキステアリングは高価な上に交換が面倒と言う問題もあるのですが、合皮(PVC)で出来ているシフトブーツと違って本革である点です。

糸や布に比べて色乗りは悪いと思いますが、ビニールではないのではみ出したインクが染み込む恐れがないだろうか?

でも…やっちゃうんだな、これが(笑)

万が一失敗した時の金銭的なダメージはあるが、良く考えてみればサイドブレーキAssyの交換作業なんて目を閉じていても簡単に出来るんですよ。

お店に丸投げすれば良いのです(間違った方向へ)

とりあえず塗り始めてみましたが、シフトブーツと同様に、特に問題はない?

良く見ると、糸からはみ出して…と言うか、糸の周りまで少し滲んでないか??(汗)

まあ、半乾きの内に拭き取れば綺麗になるかな。

今更後戻りはできないので、気にせず作業を進めましょう。

さあ、塗り終わったぜ!

これで統一感が出て、いい感じにまとまりましたね…と言いたいところですが、これはあまりお勧め出来ないかも。

どうも本革その物が合皮に比べてインクが染みやすいなんて心配はない様ですが、シフトブーツと異なり革に糸が食い込んでいるため糸の周辺にインクが染みやすいです。

糸の縁がシワになっているため、表面を軽く拭いた程度でははみ出した部分の色が落ちません。

なので、仕上がりはステッチの縁がぼんやりしちゃって何だか”塗ってる感”が凄いです。。。

もし、サイドブレーキのステッチを塗るのであれば相当慎重に作業を行うか、徹底したマスキングをしてはみ出したらすぐに綿棒などで拭き取る様に心掛けておかないと後悔する事になるかも。

幸いにも、完全乾燥する前に水で濡らしたタオルでゴシゴシと拭き取ったので、なんとか見れる状態までは回復できましたが、隙間に残った色までは完全に落とせないので要注意です。

試しもせずに、いきなりステアリングを塗らなくて良かった…(笑)


■糸を「編み直す」方法を試す

ステッチを編み直すなど職人技の様で難易度が高そうなイメージがあるので躊躇してしまいますが、実際に作業をしてみて気が付きましたが、実は染めるより難易度が低く、所要時間も半分以下。

もちろん、手先が不器用で裁縫が苦手と言う方もいると思いますので一概には言えませんが、実際の作業例をご紹介しますので自信があれば是非試してみてください!

糸と針さえあれば何度でもやり直しは出来ますので、恐れる事はありません!

小学校の家庭科の授業で使った事くらいあるでしょう(笑)

まずは、糸切り(リッパー)を使って端部の糸を切ります。

精密ドライバーなどで浮かせて糸切り鋏でカットするのも問題はありませんが、裁縫道具と言う事もあり明らかに作業性は良いですし、プロ用でなければそんなに高い物でもないのでリッパーをお勧めします。

単純に糸を切るだけでなく、この後に縫い目を解く作業にもガッツリ使いますので尚更です。

先程ポスカで塗って失敗したので、糸に染み込んだ赤色が残っています(笑)

端部の糸を切ったら、リッパーの先端を使って一本ずつ縫い目を解いていきましょう。

車種にもよると思いますが、サイドブレーキレバーの縫い目付近を除いてはしっかり糊付けされているので、糸を完全に解いてしまってもグリップの革がズレたり外れたりと言う心配はないので、気にせず全部解いてしまいます。

さあ、ちょっと心配になってきましたか?(笑)

続いて革用の糸縫製針を準備しましょう。

純正のステッチの太さに合わせて準備すると良いですが、大体0.6~0.8mmの糸が使われています。

ちなみに、革用の糸は頑丈で滑りの良いポリエステル製が最適ですが、普通の絹糸を使用する場合は糸をロウソクなどで擦って、所謂”蝋引き”してから使いましょう。(そのまま使える蝋引き糸もあります)

絹糸をそのまま使うと摩擦で通り難く、作業中に切れたり、最悪の場合は革を引っ張り過ぎて生地が破れる原因となる恐れがあります。

ちなみに、ステッチの編み方にもよりますが、糸の長さは編む長さの3~4倍が必要です。

かと言って、ギリギリでは後半の作業性が悪くなりますし、長過ぎると作業中に絡まったりすると面倒なので、余裕を見て5~6倍で取っておくと良いでしょう。

例えば今回のサイドブレーキレバーの場合は、大体12~13cm程度なので5倍を目安に60cmくらいでしょうか。

準備が整ったらさっそく編んでみましょう。

御察しの通り、元々ステッチの編まれていた生地が対象となるため、糸を通す穴は既に開いています。

靴ひもを結ぶ様に、既存の穴に”元通り”に糸を通してやれば良いだけです。

靴ひもを結ぶ要領ですから、自信があれば自由な編み方でオシャレに仕上げる事も可能ですが、特に理由が無ければ元通りに編むのが無難です(笑)

まずは表から左右に糸を通してください。

左右を交互に編んでいくので、通した糸を引っ張って、左右の糸の長さを大体同じくらいに揃えておきます。

まずは開始位置を留めましょう。

先程と同じ様に、左側の糸を右の穴から左側の穴へ通します。

続いて、右側の糸を左の穴から右側の穴に通して表へ出しましょう。

左右の糸を指でキュッと引っ張ってやれば、糸が二重になって緩み止めができます。

おおー!なんだか、もう完成した気分ですよねー!

あとは靴ひもが結べないレベルの方でなければ終わった様なものですよ。

強く引っ張り過ぎない様に力加減だけ注意しながら作業を進めていきます。

右側の糸を左の穴の下側から通します。

生地の裏側から表へ糸が出てくる感じですね。

糸を引っ張って全部通してください。

続いて、先程とは逆に左側の糸を右の穴の下側から表へ通します。

これで、最初では右側にあった糸は左側へ。

左側にあった糸は右側へ出てきた事になります。

では、その右側に出てきた糸を…

編み始めと同じ様に、左側の穴へ通してください。

左側の糸も同じ様に、右側の穴へ通します。

右側へ出た糸は左側へ…と、交互に繰り返して行くわけです。

2回ほど編んだら、左右の糸を引っ張って締めていきます。

糸が細過ぎたり滑りが良過ぎると緩み易いので、必要な場合はある程度編んだところでマスキングテープなどを使用して固定しながら進めると良いです。

編み始めるのが左右のどちらからでも構わないのですが、最初に右の糸を左の穴に通したのであれば、その順番を変えない様に最後まで編んでください。

ご覧の通り、ステッチがクロスする部分を見ればわかるのですが、どちらの糸が上に重なるか決まっている方が仕上がりが良くなります。

近付いて見なければわからないと思うかもしれませんが、規則性がないと生地の継ぎ合せてある面が波打つので結構重要なポイントですよ。

2~3回編んだところで写真の様になっていない場合は、何か間違っているので手遅れになる前に始めからやり直してください(笑)

問題が無ければ、その調子で最後まで編んでいきましょう!

さあ、無事に終点へ到着したでしょうか?

ここから仕上げの作業となりますので、この時点で糸に緩みがないか確認をしておきましょう。

後から緩みを直すのは困難になりますので、手直しするなら今の内です!

ちょっとピンボケしてしまって申し訳ありません。

仕上げの作業は裏側へ糸を隠すため、まず反対側の穴に表から糸を通します。

左の糸は右の穴へ。右の糸は左の穴へ。

糸は生地の裏側へ抜けるので、写真の様になっていると思います。

ここまではOKですか~?

このままでは解けてしまうので、本結びでキュッと縛ってやります。

心配であれば2回ほど結んでおくと良いかと思います。

あとは余った糸を1~2cmほど残してハサミでカット!

余った糸がはみ出しているとカッコ悪いので、針の背などを使って生地の裏側に押し込んで隠しましょう。

これで仕上げの作業は完了です。

どうぞご覧ください!

どうですか?いい感じに仕上がってるでしょ?

やはり染めるより編むと言う方法の方が仕上がりが綺麗ですし、縫製針革用の糸だけでイメチェンが可能なので、フィッティングのイマイチな安物のサイドブレーキカバーなどを買って付けるより、クオリティもコスパも良いですよ!

編むと言う作業は少々面倒ですが、初めての作業でも15~20分程度でできたので、自信が付いたら難易度は少し上がりますがステアリングのステッチ編み直しにもチャレンジしてみると良いかも?

染めるか編み直すか、生地の材質や部品別に最適な方法を選択すると良いでしょう。

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