前回の記事までにタワーバーの原理や目的について考えてみたり、フィーリングや挙動の変化を裏付けるデータはあるのか調査を行っていました。

効果の表れやすい車と、そうではない車の違いについては大体わかったと思いますし、一般公開されている論文や研究レポートを見る限りでは、ドライバーが感じる変化を裏付けるデータが測定器の記録と一致する領域と、そうではない領域がある事も判明しました。

また、レースとジムカーナなど競技のカテゴリによっても装着率の差がある事から、コースレイアウトによってメリット・デメリットがある(またはそう感じる人が多い)と言う傾向も出ている様です。

しかし、数値に表れていようとも、理屈がどうであれ、本当に体感できるの?と疑問が残るのはいつものパターンなので…(笑)

んじゃ、実際にNDロードスタータワーバーを取り付けたら、フィーリングや挙動の変化を感じる事ができるのか、メリットとデメリットのどちらが大きいのか、付けたり外したりして比較しながら実走行でレビューしちゃうぜ!と言うのが今回の検証実験となります。

レビューより理論的な話に興味のある方は、以前投稿したこちらの記事をご覧ください。

◆街乗りやワインディングで体感できるのか

◆比較対象にストラット式の変化を確認してみる

◆実践!スポーツ走行で挙動の変化を比較

■街乗りやワインディングで体感できるのか

ところで、昔からど定番のチューニングパーツとなっているタワーバーですが、これを取り付けた後、何度か付けたり外したりして比較した事のある人ってどれくらいいるでしょうか?

エンジンルームのドレスアップパーツだと割り切っているユーザーはともかく、少なからず走りを意識している方は良く確かめるべきだと思うのですが、どうも少数派の様な気がします。

なんとなく付けて、それっきりと言う方の方が多いですよね。

車種によっては効果が薄い場合もありますし、効果があっても必ずしも良い方向に働くとは限らないので、有り無しを比較して選択すべきパーツだと思います。

さて、今回はNDロードスタータワーバーの効果を体感できるのか、メリットはあるのかをチェックしますが、比較のために何度も付けたり外したりを繰り返しながら、実走行での違いを比べてみたいと思います。

厳密にはタワーバーの有無によって適したセッティングに変更する必要があるのかもしれませんが、あくまでも有無の変化を比較するための前提として、いずれもハイグリップタイヤ(POTENZA RE-71RS)を装着し、比較中は減衰力の設定などには一切触れずに検証を行います。

こちらがNDロードスターの純正タワーバーです。

通常のカタログモデルではRSとNR-Aのみ標準装備となっています。

取付作業を詳しく知りたい方は過去に紹介したこちらの記事をご覧になってください。

一般的にタワーバーの効果が薄いと言われるダブルウィッシュボーンの構造になっているロードスターですが、街乗りのレビューでも変化を感じたと言うレビューが結構多いですよね。

同じくダブルウィッシュボーンのRX-8では、タワーバーの有無で何が違うのか全くわからなかったので、正直言って今回も疑っていたのですが、いざ取り付けて乗ってみると確かに僅かながら違いを感じます。

もちろん街乗りで挙動の変化を感じる事はありませんが、少しハンドルが重くなった様な手応えと、ハッキリ違うと言い切れるのは橋の継ぎ目やマンホールなどを乗り越えた時の”振動の質”が変わっている事です。

実は今回の比較検証を行う前にフルノーマルのNR-Aに試乗する機会があったので、オーナーに了承を得てタワーバーの有無で乗り比べてみたのですが、ノーマルのショックだと振動に関しては体感できる様な違いを感じませんでした。

今回は車高調にハードなスプリングを組み合わせた私の車両でチェックをしていますが、足を固めた車両ではその違いがハッキリわかる様です。

スプリングレートや減衰力にもよるかもしれないので、全ての車両で同じ現象が起こるのかはわかりませんが、具体的にはタワーバーなしで40~50km/hで段差を通過した際に、ドアからピラー周りに走るブルルンッと言った振動…所謂、軽度なスカットルシェイクってヤツですが、これが全く出なくなる。

多くの評論家の方々が試乗レビューでコメントしている様に、NDロードスターは昔のNAやNB型と違い、ノーマルショックではそもそもスカットルシェイクを感じる事がほとんどないので、高剛性と言えるのかもしれませんが、足を固めるとサスタワーの剛性が負けるのか、スプリングの固有振動数が絡んだ共振なのかはわからないが、私の車両の場合は街乗りの速度域では橋の継ぎ目の様な微妙なギャップで良く発生する。

何度か付けたり外したりしながら同じルートを通ってみましたが、やはりタワーバーが付いていると何度試してもこの振動が出ないので”乗り心地に寄与する可能性”がありそうだと判断できます。

では、挙動の違いはどうか?

違いを確かめるため、ワインディングへ持ち込んで比較してみる。

比較とは言っても公道では他車の通行や制限速度などの制約もあるため、できる事は限定的ですが、周囲の安全を確認した上で速度を保ったままカーブを曲がってみたり、意図的に旋回半径を小さくしてなるべく強いロールを発生させる様な走らせ方をしてみた。

また、直線道路ではハンドルを左右に素早く45°程度切り込んで小刻みに蛇行させてみたり。

結果ですが、蛇行はそれなりにハッキリと違いがわかります!

タワーバーありの方が明らかにハンドルが重い事と、ドシッとした安定感が出ている。

また、タワーバーなしに比べて初期操舵の応答性が増していると言えば聞こえが良いですが、若干センターフィールが悪化している印象。

極小舵角に対して車が反応は示すものの、曲がり始めるのが速いのかと言うとそんな感じはしない。

対してタワーバーなしでは、蛇行を繰り返している間に徐々にリアが遅れてついてくる様な気配が出てくる。

ちなみに、単調なカーブを曲がっている最中はハンドルの重さに若干の違いを感じるものの、特に目立った変化は感じませんが、旋回中にギャップを越えた時はタワーバーありの方が安定している印象を受けます。

これらの印象を総合的に判断すると、街乗りやワインディングでのドライブを楽しむ前提であれば、多くのロードスターオーナーが口を揃えて主張する「軽快感」「ヒラヒラ感」を重視するならタワーバーなし。

「ダイレクト感」や「安定感」が欲しければタワーバーありが良いかな?と思います。

しかし私個人が感じた”フィーリング”だけで”差がある”と言っても、単なる感想でしかないと思ったため、比較のためにタワーバー有り無しで数パターンずつ車載動画を撮影して変化を観察してみたところ、ある傾向がハッキリと表れている事に気が付きました。

タワーバーありでは旋回中の修正舵が少なく、ギャップを越えた時も舵角が一定のままですが、逆に直線では小刻みに左右へハンドルを動かしている。

タワーバーなしでは全く逆の傾向が表れていますので、無意識の操作の中にも違いはある様です。

いずれにせよ、街乗りからワインディング程度ではアンダーだのオーバーだのと言った明らかな挙動の差は感じないので、見た目も含めて好みで選んで差し支えないと思います。


■比較対象にストラット式の変化を確認してみる

一応、動画の比較では無意識の操作に傾向が表れていたものの、体感については”気のせい”と言われればそんな気もしてくると言ったレベルの小さな差でしかないと言うのが正直な意見。(蛇行や大きくハンドルを切り込めばそれなりに体感はある)

本当に私は違いを感じ取れているのだろうか?

違うはずだと思い込んでいるだけではないのか?

では、そもそも効果が大きいと言われるストラット式の車で違いを感じる事ができるのか。

もしストラットで変化を感じないのであれば、ダブルウィッシュボーンの車で違いを感じる事なんて困難ではないのかと考えた。

そこで、参考用の資料として前輪駆動のアクセラタワーバー有りと無しを比較してみる事にしました。

もし、ストラット式のこの車で違いを感じられないのであれば、私の腕と感性ではタワーバーのレビューなんて無理って事である(笑)

今回の検証に用意したのは初代のBK3P型マツダスピード・アクセラだ。

もう、ただ置いているだけでストラットタワーが歪むんじゃないかと思うくらいフロントヘビーな車ですが、まずは現在取り付けてあるタワーバーを取り外してみる。

ちなみに、通常はタワーバーを付けなくても写真の様な分厚い補強プレートが付いていて、バルクヘッドにガッチリ繋がれていますが、今回の検証ではこの補強プレートも付けていません。

つまり、ストラットタワーに全く補強の入っていない状態と、タワーバー有りの比較となる。

尚、こちらの検証でもタワーバーの有無による変化だけを比較するため、ハイグリップタイヤ(ADVAN A050<GS>)と減衰力の調整が可能な車高調を装着しているが、設定には一切の変更を加えない。

また、取り外したタワーバーは後部座席へ積み込み、すぐに着脱による変化を確認します。

が、これは…なんて言うか、その…

検証するまでもなく、さすがに違いがわかりました(笑)

自宅を出発した瞬間に、です。

当然この時点では動きの変化は感じませんが、まるで電動パワステの軽自動車の様に…とまでは言わないものの、ハンドルの手応えがスッカスカなんですよ。

明らかにセルフアライニングトルクが減少したかの様な感触で、交差点でハンドルを切り込む時の抵抗感や、アクセルを踏み込んだ時のキックバックやトルクステアによる”ハンドルを取られる様な感触”が激減している。

これは”気のせいでは片付けられないレベルの激変”でした。

挙動の違いを検証する道へ向かうため高速道路に乗ったのですが、あまりにもハンドルの手応えがなく反応も鈍いので、試しに80~90km/hくらいで走行中に素早くハンドルを左右にジグザグと切りまくってみたが(!)車が全く反応しない。揺れもしない。マジで(笑)

ゆっくり操作する分には追従してきますが、素早い操作に対しての反応は異常なほど鈍いです。

ワインディングでの検証ではNDロードスターの比較方法と同じく、意図的に旋回半径が小さくなる様に曲がって強めのロールを発生させてみたり、連続するカーブの切り替えしでの反応なども確認してみましたが、ロードスターとは比較にならない程ハッキリとした違いを感じる事ができます。

まず、単調にカーブを曲がっている間は、タワーバーが無いとハンドルの手応えはフワフワ、ぐにゃぐにゃ。

インフォメーションは希薄で路面の状態など全くと言って良いほど感じ取れませんし、操舵応答性も悪く、ハンドルを切り込んでから車が曲がり始めるまでの遅延が著しいので、車が反応し始めてからハンドルを戻すと言った修正操舵の増加も招いている。

旋回中に素早くテキトーなソーイングを加えてみても全く反応はなし(笑)

こ れ は 安 全 !!(疑)

言い換えれば余計な情報が無く、ラフな操作にも過剰反応しないので、悲劇の様なマツダご謹製の内装に目を瞑れば、まるで高級車を運転しているかの様なフィーリング。

長距離ドライブでの疲労軽減には有効かもしれないが、スポーツカーとしては最悪である。

さあ、ここでなんと雨が降り始めてしまいましたが、わずか数分の作業とは言え、ずぶ濡れになりながらタワーバーを取り付け(笑)

ドライグリップに全振りのSタイヤでウェット路面となると、タワーバーを付けてもハンドルの手応えは軽くなりそうですが、飛ばすわけではないので大丈夫でしょう。

それでは発進!…と、道へ戻ろうとハンドルを切った瞬間に「やはり気のせいではないな」と確信する、かなり重い手応えを感じる。

ハンドルをジグザグと素早く左右に切り込めば、車が確実に蛇行するので比べるまでもないと言った感じです。

ロードスターのチェックでもそうでしたが、良し悪しの判定は難しくても、タワーバーの変化を体感したいのであれば「蛇行」が一番分かりやすい気がしますね。

よほど感覚の鈍い方でなければ、比べると確実に違いに気付くはずです。

ちなみに、以前標準の補強プレートからタワーバーに変更した際には、ここまで大きな違いを感じていないので、補強プレートだけでもかなり効いている印象を受けます。

さあ、それではタワーバー有りでカーブを曲がってみますが、ハンドルの手応えはもちろんの事、路面の凹凸などでハンドルに返って来るキックバックも確実に感じ取れますし、切り替えしでの反応も非常にクイック。

一概には言えないかもしれませんが、ストラットタワーの支持剛性が低い車であれば、今回の様に補強する事でインフォメーションに大きな差が出るのではないかと思います。

運転するのは人間ですから、タワーバーを付けた事によって車の挙動が多少アンダーに寄るかオーバーに寄るかと言った判断より、操作の精度や反応遅れ、ミスの誘発に繋がる原因をスポイルすると言う意味でタワーバーは非常に有効だと言えそうです。

対して、スバル・WRXなどの本格的なスポーツタイプなど、ストラット式でも変化を感じ難い(基本剛性が高い?)車種もある様ですし、トヨタ・86などの様にフロントがストラット式でも補強の対象が駆動輪ではない場合は印象が変わるかもしれません。

そう言った車種の場合は微妙な変化を比較して、好みで選択するのもありかもしれません。


■実践!スポーツ走行で挙動の変化を比較

前置きが長くなりましたが、今回の検証実験の本番はここからです!

ワインディングでの検証で、ある程度の負荷を掛ければ多少違いを感じると言う事はわかったものの、実際にサーキットを走らせて挙動の変化が現れるのか、スライドコントロールなどへの影響はどうなのかを確認するためには、もっと高負荷を掛けてチェックしてみるしかありません。

と言う事で、お馴染みの一本クヌギ・スピードウェイへやって来ました!

ここは大きなサーキットではないので速度域は低めですが、ジムカーナコースに近い1速を多用するヘアピンや、素早い切り返しを要するS字コーナー、短距離加速からの急減速などのバリエーションが豊富なテクニカルコースとなっています。

舵角も大きくなる傾向にあるので、フロントの捻じれなどを感じるには最適なコースではないでしょうか。

走り慣れたコースなので、早速タワーバー有りで走行チェックしても違いに気付きやすいかもしれません。

と言う事で、早速実走行テストを開始!

まずはウォーミングラップで強制動時の手応えを確認してみたり、操舵応答性をチェックしてみますが、この時点ではいつもより若干ハンドルが重いかな?と感じる程度で明らかな差はわからず。

しかし、ヘアピンなどで深く切り込むシチュエーションでは明らかに手応えが重いと感じられるので、これは大きなサーキットやワインディングではなかなか試せないパターンかもしれない。

ただ、この重い手応えが”ダイレクト感”なのかと言うと、そうは思わない。

元々インフォメーションが悪い車ではないため、ただハンドルの抵抗感が少し増しただけでフィーリングが良くなったとは言い難いです。

アクセラとは全く異なり、タワーバーなど付けていなくてもハンドル操作に過敏に反応する車です。

一通りの確認後は、ピットでタワーバーを取り外して同様の走行チェックを行って比較しました。

使用するタイヤはPOTENZA RE-71RS、空気圧は前後2.0とし、検証中は減衰力に一切触れない条件とし、いずれもDSCはOFFで比較しています。

それではちょっと話が長くなりますが、比較の結果をお伝えしたいと思います。

タワーバーの有無による体感や挙動の違いについてのまとめとなりますので、取り付けるとタワーバーなしに比べてどう変わるのかと言う視点でご覧ください。

ホームストレートに帰って来たら、そのままアクセルを床まで踏み込んで全開走行開始!

当然かもしれませんが、直線では何も違いは感じません。

一本クヌギのコーナーNo.参考図

比較的緩いブレーキングで高い車速を保ったまま進入する1コーナーでは、減速のフィーリングやターンインでの手応えに変化は感じないものの、アクセルを加えてコーナーリングを開始した直後から車の動きが違う事に気付きます。

いつもはリアの不穏な気配を感じながらアクセルや舵角の加減をするのに対し、フロントが外へ向かっているのか?いや、アンダーと言った印象ではないもののニュートラルに近い安定感があります。

ロードスター特有の内側への巻き込みを警戒するのではなく、RX-8のコーナーリングで感じていた様な、外側へ飛び出さない様にコントロールする必要がある動きと言った感じで、単調なコーナーが速い車の挙動ですよね。

では、その先で1速を使用する低速ヘアピンの3コーナーはどうか?

ここでは進入前に旋回Gの残ったまま強い減速が必要となりますが、ここのフィーリングに関しても特に違いは感じない。

ただし、ターンインを開始してハンドルを深く切り込むとフロントの”反応”が明らかに早いです。

しかし、そのままクイックに曲がってくれるのかと思えばそうではなく、早速ここで強いアンダーの挙動を感じました。

その先の6コーナーや最終コーナーのヘアピンも同様の印象を受けましたが、2周目では操作を変えてリトライしてみると、初期の操舵応答性はクイックですが、実際に曲がり始めるまでにワンテンポ遅れが感じられるので、1周目で感じたアンダーの原因は、アクセルオンのタイミングをずらさないとプッシングアンダーに陥る様です。

タワーバーの直接的な効果によってアンダー傾向になったわけではなく、タワーバーが効く事でなんらかのタイミングのズレが生じている様な印象と言うべきでしょうか。

これは足が良く動く様になった事でロールが大きくなる(ロール剛性が下がる)と言う理論通りの動きなのかな?と思ったのですが、私の体感としては全域で明らかにロール量が変わった様な変化は感じられません。

もっと低いスプリングレートの足ならロールの増加を感じられる可能性はありますが、私の車の仕様では、本当にロールに影響が出ているのかどうかの判別はできませんでした。

尚、S字での切り返しも同様に反応はクイックに感じるものの、深く切り込む場所ではないためか動きそのものに大きな変化は感じず。

しかし最も興味深い結果となったのは、S字入口のヘアピン(6コーナー)とバックストレート前のヘアピン(8コーナー)です。

ここはいつも内輪を浮かせる様に操作して、デフを効かせて小回りさせているのですが、タワーバーが付いているとどう言うわけか内輪が浮き難く小回りが難しいと感じます。

その分、立ち上がりで勢いを抑えられないと乱れやすい姿勢は終始安定しているので、アクセルを踏みっぱなしで立ち上がれるのはメリットと言うべきか、やはりタワーバーの効果で多少アンダー気味になっているのでしょうか?

なんとも、メリットともデメリットとも言い難い変化ですが、ここはタワーバーの有無で動きが全然違う。

ただ、挙動が安定していると言う事は、サーキットではタワーバーが大きなメリットとなる可能性は高いです。

逆に、ジムカーナではターンや小回りがキツいと感じるならタワーバーなし、この辺りが差支えなく回せるのなら、立ち上がりの挙動が安定し易いタワーバーありを選択するのが良いかもしれません。

今回のレポートにまとめた通り、クローズドコースで高負荷走行を行えばワインディングではわかり難かった明らかな違いを感じる事はできましたが、メリットともデメリットとも感じられる部分が混在するので、結局のところ明らかにサスペンションの支持剛性が低い車を除き、万人に向けて「これが正解だ!」と断言するのは難しいかもしれません。

BKアクセラは断然タワーバー付き(または補強プレートを外さないと言う選択)を推奨したい。

NDロードスターについては、なくても全く差支えはないけど、取り付けるとフィーリングや挙動の違いを感じる事は可能と言うのが、今回の検証結果となります。

他の補強パーツデフ、足回りなどのセッティングとの相性だったり、ドライバーの慣れの問題もあると思いますが、最後に今回の検証で感じたNDロードスタータワーバーの有無による傾向をまとめておきますので、それらの特徴を参考にして自分のスタイルや走るコースに適しているのかどうか判断してみてください。

 

タワーバー有り

○フィーリング
おおよそ舵角に比例してハンドルの手応えが重く感じるが、インフォメーションやダイレクト感が明らかに増したと言った印象は受けない。初期の操舵応答性は早くなっているが、曲がり始めるタイミング自体はタワーバー無しとほとんど変わらない印象で、ロールの増加も体感はなし。

○ストレート
僅かにセンターフィールが悪化するが、全開走行時はほとんどわからないのでデメリットには感じない。ブレーキング時の減速フィールや安定感に変化はない。

○ギャップ
サーキットの縁石の様な段差から路面のうねりに対しても突き上げ感はなくマイルドな印象。良し悪しの判断は難しいが、全体的に振動の質が変わる。

○中高速コーナー
前半に目立った変化はなし。旋回開始から立ち上がりに掛けて終始弱アンダーで安定感があり、安心してアクセルを踏んで行けるが、原則として軌道は完全に外へ向かう。

○低速コーナー
ターンインでアンダーが出やすい。終始アンダー気味の挙動となるので立ち上がりでも姿勢は乱れ難いが、小回りし難くなるのが欠点。

 

タワーバー無し

○フィーリング
タワーバーがなくてもインフォメーションはしっかりしており、ダイレクト感も不足はない。ただし、若干ハンドルが軽過ぎる気はするので、もう少し手応えがあっても良いかもしれない。

○ストレート
タワーバー有りと比べてもそんなに違いはないが、小さな路面の凹凸程度で過剰反応はしない。

○ギャップ
特定の段差で軽度なスカットルシェイクが発生する他、突き上げ感はないものの路面のうねりに対して姿勢が乱れ易い。サーキットの縁石は荷重の抜けたイン側となるためか、それ程影響は感じない。

○中高速コーナー
前半の動きに違いは感じないが、クリップから先でリアがやや不安定な印象。舵角に注意しないとアクセルオンで挙動が乱れやすい。

○低速コーナー
ターンインでは自然に曲がる印象。ヘアピンなどの極低速コーナーでは内側に巻き込む様な動きが出やすく、立ち上がりに掛けても不安定だが小回りは利く。

 

NDロードスターの純正タワーバーについては、一度取り付けてしまえばバーだけを着脱するのは容易なので、書いている事だけを鵜呑みにせず、あらゆるシチュエーションで是非タワーバーの有無を比較してみてください。

理屈がどうであれ、測定したログにどんな結果が表れていようとも、タイムにも影響がない、体感も出来ないなら不要と言えますし、変化を感じても自分にとってメリットとデメリットのどちらが大きいのか、自分の感性を信じて選択するのが「正解」と言えるパーツではないかと思います。

関連記事:NDロードスターにタワーバーは必要?不要?情報から見えてくる本来の目的とは