最近の車には荷物や乗車人数、路面の状況に応じてヘッドライトの高さを自動調整してくれる、オートレベライザーが装備されています。

一見便利な装備に思えますが、車をカスタムする人にとってはちょっと面倒な機能とも言えます。

主に車高、ですよね(笑)

先日、知人が車高調でローダウンして光軸が下がってしまったから、光軸調整ロッド(アジャスター)を買って調整したいと言い出しました。

ちょっと待った!!

これ、最近色んなショップやメーカーが売り出していますが、ホームセンターでも買えそうな部品を3000~5000円くらいで売ってますよねえ(笑)

別に営業妨害をしたいわけではありませんが、取り付けや調整が面倒な上に、正確に合わせる事も容易ではないアナログな部品を付けなくても、手軽に、確実にオートレベライザーの光軸基準位置をリセットする方法があるんですよ。

実はこれ、まったく難しい話ではなく、メーカー毎に若干の手順の違いこそあれ、サービスマニュアルに記載されている正しい調整方法なので、ディーラーでも調整を受け付けてくれますし、訊ねればリセット方法を教えてくれます。

本当に光軸調整ロッドが必要になるのは、原則として保安基準を満たせない極端なローダウンなどが該当するので、通常は単純なリセットで問題ないはずです。

◆OBD-IIコネクタを確認しよう

◆作業手順の例

■OBD-IIコネクタを確認しよう

オートレベライザーが装備されている様な年式の車なら、ほぼ100%規格化されたOBD-IIコネクタが備わっています。

診断コネクタとして良く知られるもので、スキャンツールを使えば車の異常がすぐに発見できたり、ECUの制御データを呼び出す事が出来るので、ECUの読み書きや信号を読んで追加メーターに表示させたりなんて事も可能になって便利ですねえ。

これはISO規格で、全メーカー共通のコネクタです。(形状は共通ですが、プロトコルが異なる場合がある)

もちろん旧式の車など、年式によってはメーカー毎に独自のダイアグノーシスコネクタが備わっている場合もありますが、そんな年式だとオートレベライザーが装備されている車なんて一部の高級車くらいではないかと。。。

写真はND5RC型マツダ・ロードスターの例です。

車種によって変わった場所に付いている事もありますが、多くの場合は運転席の足元から上を覗き込めば見付かります。

台形の形状をした16Pコネクタです。

16ピン全てに配線されているわけではないのですが、写真の並びでは左上が1番から右下の16番までのポート番号となります。

このコネクタを使用してオートレベライザーのリセットを行うわけですが、メーカーによって使用するポートや手順が異なる場合がありますので、ディーラーで確認してから正しい手順で作業を行ってください。

今回の場合はマツダ車の例となります。

実はトヨタ・ダイハツ・スバルなども使用するポートは同じなんですが、ちょっと手順は異なるんですよね。。。


■作業手順の例

今回はマツダ車の手順となりますが、ついでにトヨタ系にも触れておきます。

まずは以下の図をご覧ください。

前項で説明したOBD-IIコネクタを分かりやすくイラスト化しています。

オートレベライザーの光軸リセットに使うポートは、赤色で示した4番と8番になります。

解説はマツダ車の手順と言いましたが、トヨタ・ダイハツ・スバルもこのポートを使用します。

手順は後述するので少々お待ちを(笑)

作業の中で先程の4・8番を短絡させる手順が出てきますが、通電する物であれば何でも構いません。

クリップを曲げた物でも構いませんし、ジャンパー線(被覆を剥いただけの銅線など)でもOKです。

ただ、暗くて狭い場所を覗き込んで作業するのは面倒なので、私の場合はOBD-IIのカプラーに該当のポートを短絡させるためだけのプッシュスイッチを付けた道具を自作して持っています(笑)

端子の圧着工具が使えるなら、簡単に作れるのでオススメですよ♪

まあ、普通は数年に1度使うかどうかなので、わざわざ持っておくメリットがあるかどうかは微妙ですが。

OBD-IIのコネクタに、この専用ツールを繋ぐとこんな感じ。

見るからに便利そうでしょう?良いでしょう?欲しいでしょう?羨ましいでしょ?(笑)

このスイッチを押せば、押している間は4番と8番のポートが繋がった状態となり、離せば切れます。

この様なスイッチがない場合は、手順に沿ってジャンパー線などを抜き差ししながら操作する事となります。

手順は実に簡単♪

まずはヘッドライトをON!

スイッチにオートなどがある場合は、セレクターを通常のONに合わせて点灯させてください。

ハイビームにはしないように。

続いて、キーをONまで回します。(エンジンは始動しない)

プッシュボタンの場合は、クラッチを踏まずに2度押しでONとなります。(ATの場合はブレーキを踏まずに2度押しする)

ここから、以下の手順で操作してください。

 

1.前後がなるべく水平となる平坦な場所に車を停め、キーON後、30秒以内に以下の手順を行う

2.1秒間隔でOBD-IIコネクタの4番と8番を3回短絡させる。(1、2、3!ではなく、い~ち、に~、さ~ん…くらいのイメージで導通をON/OFFさせれば良い)

3.成功したら、AFSのチェックランプ(オートライトの警告灯)が点滅し、ヘッドライトの明かりが上下した後に警告灯が消灯します。

以上です。

失敗しても手順1~3を再度行えば再調整できますので、焦らなくて大丈夫です。

 

ちなみに上記はマツダ車の手順ですが、トヨタ・ダイハツ、スバルもほぼ同じで以下の手順を実行するとリセットが可能です。

短絡させるポートはマツダ車と同じ4番と8番になりますが、コネクタ部分で抜き差しは行わず、4番と8番を短絡させたまま、条件に応じた回数だけライトのスイッチを操作する事でリセットを行います。

トヨタ・ダイハツはスイッチを手前に引いたまま(パッシングで保持)ヘッドライトのON・OFFスイッチを操作します。

スバルは単純にパッシングの操作でカウントしてください。

スイッチの操作回数の条件は燃料計の残量毎に定められているので、以下の図を参考にしてください。

1.キーON後、20秒以内に以下の手順を行う。

2.燃料残量に応じた回数、スイッチ操作を行う。

※トヨタ・ダイハツはパッシングで保持したまま、条件に応じた回数だけヘッドライトスイッチをON・OFF。

※スバルは条件に応じた回数のパッシング操作を行う。

 

年式やメーカーによって手順が若干異なるため、これらはあくまでも一例です。

とは言えニッサンやホンダ、スズキなども含め、どの車も比較的簡単な操作でオートレベライザーのリセットが可能なので、ディーラーで操作方法を確認してみてください。

光軸調整ロッドを使わなくても、安心で確実な調整が出来ますよ♪