今日はレシプロエンジンのスパークプラグを交換してみたいと思います!
今回作業するのはマツダ・ロードスター(ND5RC)ですが、至って普通。
一般的な構造のエンジンなので、ほとんどの車が同じ方法で交換可能ですから、初めてプラグ交換をする方は参考にされてください。
作業を始める前に1つだけ注意点ですが、素人でも容易に触れられる部分とは言え、仮にもエンジン本体にネジを締め付ける作業になると言う事だけは意識しておきましょう。
締め付けが甘いくらいなら不調くらいで済みますが、強く締め過ぎてネジ山を痛めてしまったら、最悪の場合はシリンダーヘッド交換となります。
たかがプラグ交換。されどプラグ交換。
テキトーな作業はせず、きちんと締め付けトルクを守りましょう!
■必要な工具とプラグを準備しよう
スパークプラグの交換自体は、ソケットレンチまたはプラグレンチがあれば作業可能です。
ただ、ソケットレンチよりプラグレンチの方が良い、と言うよりわざわざ別で用意されている理由は、外したプラグをマグネットの力でくっつけて、そのまま引き抜けると言う構造を有しているから。
ソケットレンチを使う場合は、作業時に取り外したプラグケーブルやIGコイルを穴に突っ込んでプラグの頭に挿し込んでやれば引き抜く事は可能です。
また、プラグ交換自体はプラグレンチ一本で十分ですが、周辺の部品を外す必要がある車も多いので、実際の作業では数点の工具を準備する事になると思います。
NDロードスターのプラグ交換に必要な工具はこんな感じ。
プラグの締め付けトルクは大した事はないので、スピンナーハンドルは無くても良いと思いますが、ラチェットで緩めるのに抵抗がある方は必要に応じて準備しておきましょう。
IGコイルを外すのに8mmのソケットレンチが必要です。
NDロードスターのスパークプラグに適合するソケットサイズは14mmとなりますので、14mmのプラグレンチを用意しましょう。
また、プラグを取り付けて増し締めする際は、締め付けトルクは15~20N・m(約2kgf/m)となっていますのでトルクレンチを使用するのが好ましいです。
NGKのホームページなどを見ると、締め付けトルクの表が掲載されていますが、工具のサイズではなくネジ径となりますので十分注意してください!
ロードスターのプラグは工具のサイズが14mmで、ネジサイズはM12となっています。
M14と見間違えてオーバートルクで締め付けない様に!
トルクレンチはホイールナット締め付け様に持っていると言う方も多いと思いますが、ホイールナット用はプラグ交換の様に低いトルクには対応していない物が多いですし、比較的大型の工具になるため使い難いです。
プラグ交換に適した小型のトルクレンチは、安物でもホイールナット用に比べて値が張りますが、1本は持っておくと便利ですよ♪
あとは、交換用のスパークプラグを準備すればOK!
今回私が用意したのは、最近うわさのNGK PremiumRXプラグです!
純正プラグでさえプラチナやイリジウムのプラグが主流の現代に、わざわざ社外品に交換するメリットなど、スポーツ走行で熱価が追いつかないなどと言った理由を除いては必要性を感じません。
しかし、それでもこのプラグに人気がある理由は何なのか。
NGK自身も、既存のイリジウムプラグが高次元に達しているとの見解を示しながら、より高性能なプラグとして送り出した新製品です。
メーカーサイトには燃費向上やパワーアップを謳った説明が見られますが、期待する程大きな差とは思えません。
しかし、ユーザーレビューの多くは、トルクが増したとか、加速が良くなった、燃費が向上したと言った報告が見られます。
…まあ、いつもの事ですよね!(笑)
鵜呑みにはできない…。
実際、高性能なプラグだとは思いますが、既に僅かな差を詰める様な領域に達しているのかなと。
恐らく体感出来る様な差はないと思いますが、交換するならコレ!くらいの選択肢として考えるのはありだと思います。
■スパークプラグを交換してみよう
さあ、準備が出来たら、実際にスパークプラグを交換してみましょう。
最近の車の多くは、ダイレクトイグニッションと言って、IGコイルがシリンダーヘッドに直付けされている物が多いです。
プラグコードが繋がっている場合はそのまま指で掴んで引っ張れば外れますが、NDロードスターの場合はIGコイルを取り外す必要があります。
赤丸のカプラーを抜いてください。
1本だけ、カムアングルセンサーのカプラーが束ねられているので、邪魔にならない様に同時に抜いておきます。
続いて、矢印で示したIGコイルを固定しているボルトを8mmのソケットレンチで外しましょう。
カプラーとボルトを外したら、IGコイルを掴んで真上に引っ張れば簡単に外れます。
全部で4つありますが、ゴミなどが入ると困るので、1つずつ作業を進めて行くのが良いでしょう。
IGコイルを引き抜いたら、エクステとプラグレンチを組み合わせて、慎重に差し込みます。
プラグに上手く工具が掛かったら、ラチェットハンドル、またはスピンナーハンドルを取り付けて反時計周りに回してやればプラグが緩みます。
後は指でエクステを回してやれば簡単に外れるはずです。
プラグレンチだとマグネットが付いているので、緩めたらそのまま引き抜くだけでプラグがくっ付いて来ます。
ぶん回すので熱価を上げておこうと思ったわけですが、焼け色を見た感じだと全く問題なさそうですね。
最良はこんがりきつね色だなんて言われますが、4サイクルエンジンで茶色く焼けた碍子はあまり見た事がない(笑)
大体薄灰色~白色と言った感じで、焼け過ぎの場合は白色でもガサガサのフライドチキンの骨みたいな質感になりますよね。
くすぶっている場合は、電極周辺に黒い煤の堆積などが見られる様になるので熱価を下げた方が良いでしょう。
2ストや旧式ロータリーでもないのに茶色や黒色でギトギトしている場合は、熱価や燃調云々よりオイル上がりなどを起こしている可能性が出てくるので要注意です。
ちょっと一休みして、取り外した純正プラグとRXプラグを比較してみましょう。
碍子やネジ部分の寸法は同じですが、RXプラグは先端の中心電極が飛び出していて、外側電極もやや長いため、全長は少し長いですね。
熱価は純正がNGK換算で熱価5~6に対しRXプラグは7を選択していますが、見掛けの印象だとRXプラグの方が中心の碍子が目立つ分、低熱価プラグの様に見えますね(笑)
写真では分かり難いですが、外側電極に特徴があって、極細のプラチナチップが付き出した形状をしています。
中心電極はどちらも極細で、見掛け上の差はほとんどありません。
古いプラグを外した後は、新しいプラグをプラグレンチにくっ付けて、慎重に元の穴に差し込んで行きます。
特に先端をぶつけたりしない様に、慎重に行ってくださいね!
手探りですが、プラグホールに乗っかった感触があったら、指先の力だけで軽く締め込んで行きます。
ここで軽く回らない様ならネジ山が上手く掛かっていませんので、無理な力は加えず、少し反時計回りに回してから締め直しましょう。
しばらく締めて行くと固くなる位置があると思うので、後はちょっと強めに”指の力”だけでギュッと締めてから、最後にトルクレンチで増し締めを行います。
NDロードスターの締め付けトルクは15~20N・mですので、締め過ぎない様に注意!
無事に交換出来たら、次のプラグへ進み、これをシリンダーの数だけ繰り返していきます。
まあ、実際に作業する際は指で仮締めまで行っておいて、全部交換が終わってからまとめて増し締めで良いと思いますが、この辺りは好みで(笑)
全てのプラグを交換したら、IGコイルを元通りに挿し込んで、ボルトとカプラーを取り付ければ交換作業は完了となります。
せっかくなのでこの際に普段掃除し難いプラグホール周りを掃除するのも良いと思いますが、穴の中に埃などが入らない様に注意してくださいね!
最後にエンジンを始動して、始動性からアイドリングまで問題なく安定している事を確認しておきましょう。
どうです?
大して変わっていないとは思いますが、頑張って交換した後はどことなく車の調子が良くなった気がしますよね♪
RXプラグに交換してから、トルク感も増して、加速も良くなった気がするー!
これはきっと燃費も良くなってるに違いない。
んー(笑)
TRIP Aは交換前の平均燃費で16.8km/Lだったのですが、340kmほど走行してから確認すると16km/Lほどへ。
交換直後にリセットしたTRIP Bの値では平均燃費15.6km/Lとなっています。
これがプラセボ効果ってやつですよ(笑)
この程度の短期間のデータでは違いを検証するには不十分ですが、少なくとも交換直後にパワーアップした様な気がするとか、燃費が良くなった気がするとか、ユーザー毎に何に期待しているかで右足への作用が変わるわけですよね。
実際に悪くなっているわけではないと思いますが、良くなっているとしても、プラグを交換したからと言って劇的に何か変わると言うわけではないので、メンテナンスと割り切っておきましょう。
体感は出来なくても、少なくとも、NGKのプラグが悪いわけがない(笑)
その点は安心して良いと思いまいますよ!