いよいよ先月からマツダ2にも機械式デフを投入して本格的に記録更新を狙う準備が整いました。
慣らし後に少し挙動の様子見をしてみましたが、どうも動きが過剰になった印象で乗り難い。
元々リアのスプリングが固い印象はありましたが、機械式デフを装備して旋回速度が増せば遠心力でもっとストロークするだろうと考えていました。
しかし、実際にはリアが軽過ぎて荷重不足の様で、グリップが増すどころか舵を入れてアクセルを踏み込めば慣性でリアを振り回す様な動きになってしまい、特にウェットなど低μ路面では嫌な挙動が顕著に表れる。
旋回速度を上げるために機械式デフを装備したのに、舵を切ったままコーナーでアクセルを踏めば踏むほどイン側を向くので、結果的にアクセルを踏めず失速につながる状態。
インを向くと言うのがフロントを内側へ捻じ込んで行く様な動きならデフによる挙動と言えそうですが、リアがズルズル流れてインを向くので都合が悪い。
もう少しリアがしっかり踏ん張って鼻先がグイグイ入って行く様な動きを求めるなら、突っ張っているリアをもっと柔らかくした方が良さそうだ。
■リアが軽過ぎるのも問題だが…
単純にリアが軽過ぎて荷重不足になっているのも問題だけど、それ以前にストローク不足も深刻。。。

外側は固くて突っ張り内側はストローク不足
以前、トーションビームの動きについての記事を書きましたが、その時に触れたインリフトし易いと言う弱点もあり、仮に機械式デフを装備して”旋回速度が上がる=遠心力が増す”事で外側の車輪に荷重を掛けられたとしても、イン側のストロークが不足していればインリフトに拍車を掛ける事にもなりかねない。
片輪走行ではトータルグリップに期待出来ないので、結局滑り易いと言う状態から抜け出すのは難しいってわけ。
そもそも現在使用しているクスコのSPORT_Rと言う車高調の総ストローク自体もかなり短いので、どうしようもない部分もありますが、調整次第でマシにはなるはず。
しかし、スプリングとダンパーが別々となるセパレート式なので、安易にヘルパースプリングを組み合わせるとスプリング脱落のリスクがあるため、シングルスプリングでセッティングする必要があります。
単純にスプリングレートを変更してもレングスが同じ場合は構造上ダンパーの最大長は決まってしまう様に思えますが、車高の調整(車高を上げる…と言うか、下がった車高を元通りに)によって見掛け上のレングスを伸ばす(アジャスター込みで計算する)事でアジャスターの調整幅にレバー比の差に相当するダンパー長は稼げる。(セパレート式の構造についてはこちらの記事参照)
または、スプリングのレングスを1~2インチ長い物へ変更すると言う方法もありますが、レングスを伸ばす場合は早々にアジャスターの調整幅を使い切って車高が上がってしまう恐れがあるのでレートにも注意が必要です。
では、それらの注意点を確認した上でお試しにスプリングを交換してみよう。
■スプリングの仕様変更を試す
現在の設定はリアが8kgf/mmとなっていますが、パワーのないマツダ2でアクセル全開のフル加速をしたところで、残念ながらこのレートを満足にストロークさせられる程の加速Gは得られない(笑)
こいつがガッツリストロークするとすれば、ギャップを越えた時や縁石を蹴った時など、通常の加減速やコーナーリングでは生じない入力があった時くらいでしょうね。。。
どちらかと言うとリアの沈みを抑える事でフロントの伸びを抑え、駆動輪に乗っかった荷重を逃がさないためのセッティングとしていますが、多少の事で大きくストロークする心配がないならもっと柔らかくても問題ないでしょう。
正直なところ、感覚的に4kgf/mm以下でも良いのではないかと感じているものの、まずは余らせていた6kgf/mmのスプリングを試してみる事に。
試すと決めたら、まずはダンパーを伸ばしてスプリングを引っこ抜く。
セパレート式のメリットを感じるのはこの瞬間ですよねー(笑)
ダンパーを伸ばして遊びを作ってやれば、スプリングだけ簡単に取り外せる手軽さは魅力♪
んで、ちょいとコイツを見てもらいたいのですが。。。
スプリングレートを今より2kgf/mm低い物に変更しますが、代わりにレングスは1インチ(実測で約26mm)長くなります。
正確に計算していないのでテキトーな例ですが、このまま取り付けるとレート差によるダウン量の差を仮に10mmくらいと見積もって、レングスの差と相殺して15mmくらい車高が上がると仮定します。
と、なると同じ車高を維持するならアジャスターを15mm縮めないといけないので、アジャスター込みの見掛け上のレングスは差引で10mm程しか伸びない事になります。
これにレバー比相当のダンパー長が稼げたとしても15mmくらいか。。。
15mmって結構でかい差ですけど、先程の写真をご覧になれば分かる通り、この程度ではリアのインリフトが解消するとは思えないのでちょっとがっかり。。。
やはり4kgf/mmくらいのレートにしておいた方が良かったか?
そうは言っても、この時点で4kgf/mmのスプリングなど手元にないので、諦めてさっさとコイツを試してしまおう!
とりあえずアジャスターを未調整のままでどれくらい車高が変わるか見たかったのですが、レングスが伸びたせいで取り付けしにくかったため、アジャスターを10mmほど縮めて押し込み、大凡プリロード0位置までダンパーを縮めてセット完了。
この時点ではロックシートも仮留めですが、車高の確認のためにこのまま着地させてみると、指1本分程度車高が上がっている。
スプリング交換前と比較して、ダンパーで30mm弱伸びているのでこのままが理想ではあるが、車高を下げたいと言う欲望に駆られて元の車高へ再調整する事に(笑)
たぶん純正タイヤ(185/60R16)と同等の外径なら良い塩梅になると思うのですが、私の車両は少しでも加速力を得られるようにと外径を1周り小さくしてある(195/55R15)ので、フェンダーアーチの隙間が指1本~1本半くらい広くなるためちょっと気になる。。。
…つまり、セッティングの不都合を生み出しているのは、私のつまらないこだわりのせいである可能性が濃厚となる(笑)
この状態で純正同等外径のタイヤを履かせたら、トータルで4cmくらいは稼げそうなのに、下げるのか?本当に下げるのか?
見ろよ、アジャスターはあと10mmくらいはいけるぜ?
っつー事で、結局ほぼ全下げ(笑)
実測で交換前から18mmアジャスターを縮めたので、レングス1インチ差との相殺で8mmほどスプリング込みの全長が伸びるに留まる。
ダンパー側はスプリングが手で僅かにカタカタ動く程度の位置に調整して、交換前より20mm全長を伸ばす事に成功。
これ以上緩めるとスプリングが遊び始めるので調整限界位置である。。。
■走行チェック
スプリングを交換した後は、さっそく試運転に。
リア側と言う事もありますが、レート2kgf/mmの差は走り出してすぐに気が付くレベルで変化を感じます。
元々大きめのギャップでもない限りはそれ程固い乗り心地ではなかったものの、やはりソフトな印象は出ますね。
段差などを越えても、単純にスプリングの硬さの違いと言うよりは、簡単に伸び切りが起こらなくなったのか衝撃もほとんどありません。
続いて急カーブを少し速めのスピードで曲がってみると、リアが粘って僅かに外へ向かう軌道となりますが、少しアクセルを加えてやると機械式デフの効果もあってフロントがグイグイと内側へ向かって行く。
スプリング交換前だと通常の走行でリアが滑り出す事はないにしても、バケットシートから腰を伝わって来る感覚的にリアがしっかり路面を捕えている様な感触ではなく、突っ張って耐えているような印象だったので、普通に乗るだけでも結構違いを感じます。
ただ、これはあくまでも普通の道路を普通に走っている感覚に過ぎないので、いざサーキットへ持ち込んだ時に期待通りリアが粘ってくれるのかどうかはわからないし、リアが粘ってくれたとしてもコーナーで前後輪に掛ける負荷も全く違うので、アクセルでフロントのグリップが破綻せずにグイグイとインに入ってくれる保証もない。
6月末に予定している走行会まで試しに行く時間がないのでぶっつけ本番となりそうですが、まずは控え目に35秒台を目標に、狙えそうならデミオのランキングトップのタイム(35秒815<2025年6月現在>)を抜きたいな~くらいで考えています。
最終的には34秒台を目指したいところですが、セッティングのコツが掴めない内はなかなか簡単にはいかないかもしれませんね。。。
新しいタイヤやブレーキパッドをチェックする時の感触もそうですが、ワインディングで良い感じに思えても、大体サーキットに行くとこんなはずじゃなかった…ってパターンが多いので、ぶっちゃけ一般道で軽くチェックした程度の印象など当てにならないですからね(笑)
あまり期待せずに結果報告をお待ちください!