最近のヘッドライトの主流は、一世代前のHIDから省エネで明るいLEDへ。
昔はハロゲンライトで可能な限り明るいバルブに変更するのが流行っていましたが、HID(ディスチャージ)が登場して以降、標準装備されていない年式やグレードのオーナーは、社外品のHID化キットでグレードアップを試みたものである。
取り付けには苦労しますが、鮮烈な蒼白色で物凄く明るいヘッドライトに大喜びでしたよね!!
いずれも登場して間もない頃は非常に高価で、なかなか気軽に手を出せる物ではありませんでしたが、普及すると1万円以下でも取り付けがイージーで高品質な物も簡単に手に入る様になりました。
LEDのヘッドライトも、高年式車に標準装備の様な自動の光量調整や角度切り替えなどの機能は後付困難なものの、数年前から手軽にバルブ(バーナー)のみの交換で対応出来るLEDバルブなんて物が売られ始めている事をご存知でしょうか?
通常のバルブ交換の様に取り換えるだけで、平成のポンコツ車でも令和最新のLEDヘッドライトに生まれ変わるってわけですよ(笑)
最近では、なんと価格も通常のハロゲンバルブ並の値段で入手可能なので、これは試してみたくなりますね!
単なる省エネ?HIDより明るいなんて噂もありますが、本当でしょうか?
■ヘッドライトLED化の確認と準備
ヘッドライトをLED化する方法は、市販のLEDバルブに取り換えるだけなので特に難しい事はない様に思えます。
しかし、実際には良く確認しないと寸法的に取り付けが困難、または大幅な加工を伴う恐れがあるので、バルブを買い揃える前に準備を兼ねて見ておきましょう。
周辺部品の移設や加工が必要では、とても気軽にとは言い難いですからね。
今回ヘッドライトのLED化を行う車両は、BK3P型マツダ・アクセラスポーツの例となります。
こちらの写真はヘッドライト裏の写真です。
このアクセラのヘッドライトはHIDとなっていますが、グレードによってはハロゲンライトもあります。
ちょっと見比べてみましょう。
こちらがハロゲンライトの裏側なのですが、気付きましたか?
ヘッドライトユニットと、その後方にあるヒューズBOXとの間にあるスペースが全然違いますよね?
ちなみに、運転席側にはウォッシャータンクがありますが、こちらも同様にHIDの場合はスペースに余裕がありません。
取り外したHID用のヘッドライトレンズを確認すると、ロービーム側だけ大きな筒状になって飛び出しており、この中にある大きなコネクターからバーナーに電力供給されています。
…で、HIDのバーナーと入れ替えるタイプの社外LEDバルブもポン付けである事に違いはないのですが、直付けタイプでも、ケーブル式でも、大きなコネクターを取り付けると嵩張ってケース内に収まらず、蓋が締まらない製品がほとんどです。
この場合、蓋周辺の寸法を測ってドーム状になった汎用ゴムカバーなどに取り換える事で解決できるのですが、今回のアクセラの様にライト後方にスペースが無い場合は、大きなカバーに変更する事ができないので取り付け不可と言う事になります。
まあ、LEDバルブはバルブ自体が防水だったりするので、ゴムカバーが無くても気にしないと言う方もいる様ですが、水だけでなく埃がヘッドライト内に入っちゃうのであまりおすすめはできません。
では、どうすれば良いのか?
じゃーん!
幸いにもアクセラの場合はハロゲンライトのグレードがあるので、HIDを廃止してハロゲン用のヘッドライトレンズに丸ごと替えちゃえ!って事です(笑)
HIDバーナー交換タイプと異なり、ハロゲンバルブと交換するタイプのLEDバルブは完全に規格サイズとなっている物がほとんどで、なんと裏側の防水カバーもそのまま無加工で付いてしまうのだ。
ちなみにHIDと言っても実際にHIDライトが採用されているのはロービームだけで、ハイビーム側は共通のハロゲンバルブのため、HIDレンズとハロゲンレンズで明るさが異なるのはロービームだけである。
もし、HIDよりLEDの方が明るいと言う噂が事実であれば結果的に明るくなるので、ハロゲン用レンズの方がLED化には好都合なのだ。
フリマサイトなどを覗いてみればわかる通り、流用してHIDへグレードアップを図るユーザーは多くても、HIDをハロゲン化する様なユーザーはほとんどいないので、ハロゲン用のレンズはHID用レンズに比べて程度の良い物が格安で入手可能な点も都合が良い。
年式によっては保安基準上レべライザーが必須となる場合があるので、中古レンズを買う時はアクチュエータの有無や型を良く確認しておきましょう。
今回はあくまでもBKアクセラの例ですが、車種によってはハロゲンレンズの設定がなかったり、HIDとハロゲンでレンズ内部のデザインが異なり見劣りすると言う場合もありますし、そもそもHIDでも裏側に十分なスペースがあるなら無理にレンズを交換する必要はありません。
■LEDバルブに交換しよう!
さあ、確認が済んだらLEDバルブを準備しましょう!
適合するLEDバルブの確認方法は実に簡単で、現在付いているバルブの型と同じ物を選ぶだけです。
アクセラのHIDバーナーはD2Sと言う型ですが、今回はヘッドライトレンズを丸ごとハロゲン用のレンズに交換するので、ハロゲンの適合表で確認します。
こちらが今回購入した格安LEDバルブです。
BKアクセラの適合は、ロービームがH7、ハイビームはHB3、フォグランプはH11との事でしたが、後期の角型フォグランプ(MS含む)はHB4なのでご注意ください。
ついでに、バックランプ(T20)も買ってみました♪
BELLOFやPIAAなどの有名メーカーが販売している高価なLEDバルブの方が確実なのは間違いないですが、一気に揃えると3~4万円コースなのでお試しにはキツいです。
なので…車検対応と謳っている点や、ユーザーレビューも悪くなかったので、今回はSUPAREEと言うメーカーの3000~4000円前後の物で揃えてみました。
一式まとめ買いして1万円ちょっとと、かなり安いです。
今回は半分実験のため、気に入らなければHIDへ戻すつもりです。
なので、車両側の配線を加工せずに済む様に、事前に変換アダプターを作っておきました。
配線加工を行う場合は、HIDのバラストへ入力されるカプラーを直接バルブに直結する様に加工すれば良いだけですが、変換アダプターが欲しい方はメールでご相談頂ければお作りします(笑)
アダプターを見て、バルブの型に詳しい人なら気付いたかもしれませんが、アクセラのロービームはH7バルブなのにカプラーはH4になっていますよね。
3極ではなく2極になっているのがポイントですが、こんな感じでH7のバルブにスペーサー兼H4変換アダプター(純正品番:B28V-51-A3A)を取り付けてから、レンズ側にセットします。
ハロゲンライトのグレードであれば、車両側は標準でH4カプラーとなっているので、このソケットを介して取り付ける設計になっています。
バルブ単体ではクリップで押さえて固定する事ができませんが、アダプターの分だけ鍔の厚みが増すのでガッチリ固定されますね。
向きは気にしなくても付く様にしか付きませんので、HID用の汎用LEDバルブの様にリフレクターに合わせた角度の調整などは不要です。
あとはこの様に裏側の防水カバーをセットして、カプラーを接続してやるだけで取り付け完了ってわけです♪
どうです?簡単でしょう?
ちなみに、ハイビーム(HB3)及びフォグランプ(HB4)は共通のLEDバルブとなっています。
ライトのバルブの形状には詳しくないのですが、HB3とHB4は鍔周りの寸法が異なるだけで、ほとんど近い形状の物らしく、社外品のバルブでは共用となっている物が多いみたいです。
今回のLEDバルブの場合、付属のOリングのサイズを変える事でどちらにも使える様ですが、付属の説明書に従って、取り付け時にOリングのサイズを間違えない様にご注意ください。
交換後のビジュアルはこんな感じ。
ガラス球から金属質な塊に変わって、近未来的な印象ですね。
レンズ自体が変わるわけではないので、全体的な印象は何も変わりませんが(笑)
尚、ロービーム側はプロジェクター式なので、外観の変化は全くありません。
バルブの取り換えが済んだら、全てのコネクタを忘れずに取り付けて、必ず点灯確認を行いましょう。
夜になって点かなかったなんて事になると困りますよ~!
写真ではしっかり挿し込めていなかった端子が1本抜けかかっているので、こんな状態では上手く点灯しませんからね(笑)
目視でのチェックや点灯確認時に配線を手で触れてみたりして、接触不良がないか要チェックですよ!
さあ、しっかり取り付けが完了してバッチリ点灯していますが、昼間なので明るくなったのかどうか、十分な光度なのかどうか判断は出来ません。
そもそも、HIDでも昼間に点灯してどんな感じに見えるのかチェックした事なんてほとどないので、この時点ではまだ何とも言えませんね~
まあ、ライトなので、出力を上げればおおよそ比例して明るくなりますから、実のところ単純にHIDとLEDの比較と言うのも変な話なんですけどね(笑)
正しくは、純正HIDを市販のLEDバルブで超えられるのか!?みたいな感じでしょうか。
■ついでにバックランプもLED化してみた
LEDバルブを買い揃える際に、おすすめリストに出てきたバックランプ用のLED球も買ってみたので、ついでに交換してみます。
購入したLED球はSEALIGHTと言うメーカーの物で、価格は2000円ほどです。
バックギアに入れた際に後退する事を周囲に知らせるだけでなく、後方を照らしてくれる役目も担っているライトなので、明るいに越した事はありません。
実際、夜中に後方が見難いと感じる事は多々あるので、少しでも見易くなれば良いですが。。。
バックライトの交換は、ヘッドライトと違って特に考える必要は無く、ただ入れ替えるだけでOKです。
アクセラの場合、リアのハッチを開けると左右に簡単に開けられる蓋が付いているので開いて中を確認してみてください。
写真では何やら良くわからない配線加工が施されていますが、とりあえず無視してソケットを外します。
ソケットに取り付けられているT20のウェッジ球を引き抜いたら、LED球と入れ替えるだけ。
あとは、これを元通りに車体へ取り付けてやればOKです。
あっと言う間の作業でしたね(笑)
さあ、これでヘッドライトとバックランプのLED化が全て完了したので、夜になるのを待って明るさを確認してみましょう!
期待通りの明るさになるのか、ちょっとドキドキしますね~
■LEDライトの明るさと照射範囲をチェック!
さて、バルブ交換だけならこのまま暗くなるのを待ってチェックすれば良いですが、今回はヘッドライトレンズを交換しているので、先にやる事があります。
光軸調整です!
単純に左右を揃えるだけなら壁に向かってライトを照らしながらアジャスターを回してやれば合わせられますが、保安基準では光軸の範囲が決められていますし、元々付いていたライトと大幅に違っていたら比較にならないため、しっかり調整してもらいます。
テスターを使うついでなので、光度とカットラインがしっかり出ているのかも確認してもらいました。
ちょっと比較を見せる前に言っちゃうとガッカリさせちゃうかもしれないのですが…
カットラインは見事な程きれいに出ていますが、光度は残念ながらHIDより低い結果に。
ただね、数値的なものであって、目視で確認できる明るさや見易さと必ずしも比例しない印象は受けます。
ちなみに、ハイビームを点灯させるとテスターの数値的にも圧倒的に明るいので、HID以下、ハロゲン以上と言ったところでしょうか。
製品のスペックに記載されている6500K、12000lmなどと言った表記は、色温度を表すケルビン(K)と、総光量(光源)を表すルーメン(lm)ばかりですが、保安基準で求められるのは光束(光度)の値であるカンデラ(cd)です。
光度はヘッドライトのレンズで集められた光の明るさを見ているので、リフレクターに上手く反射せず周囲に拡散している場合は、見掛け上明るくても数値的には低くなる可能性があり、この辺りの精度の差が安価な製品と高価な製品の違いではないかと思います。
ハロゲンバルブやHIDバーナーでも、総光量が大きいのに光度やカットラインが出ず、車検で不合格になる物があるのと一緒ですね。
実際に夜中に点灯するとどう見えるのか、ここから先は比較写真でご紹介しましょう。
外から見た比較
先程、テスターの値では光度がHID以下とお伝えしましたが、この写真を見てどちらがLEDだと思いますか?(笑)
左がHID(ヘッドライト)と通常のウェッジ球(バックランプ)です。
右がLEDバルブですが、明らかに明るいですよね!!
LEDバルブは構造上、両端に影が生じますし、光度が低いと言う事はやはり光束性が劣るって事なのでしょうか?
それよりコレ見て!!(笑)
バックランプがヘッドライト並に明るいのですが、大丈夫なんですかねコレ…?(汗)
後退時しか点灯しないし、車検対応とは書いてあったのですが、なんだか心配になってきた。。。
バックカメラの見え方は?
左が通常のウェッジ球、右がLED球の比較ですが、バックカメラの見え方には大きな差はありません。
これはバックランプが照らす範囲とカメラの位置や角度にもよると思います。
私のアクセラの場合は低い位置にカメラを取り付けてあるため、バンパーの影になっている部分しかモニターには映らないためですね。
ヘッドライトの比較
さあ、本題のヘッドライトの見え方を比較してみましょう!
同じく左がHID(上:ロー・下:ハイ)、右がLEDバルブ(上:ロー・下:ハイ)の比較となっています。
撮影した日が異なり、LEDバルブをチェックした日は雨上がりで路面が濡れているためちょっと暗く見えてしまうかもしれませんが、印象を簡単に説明しましょう。
まずロービームなのですが、照射範囲に限ってはHIDの方が明るく、カットラインもくっきり出て見易いです。
LEDの方は同じプロジェクターを通した光なのに、不思議と照射範囲がちょっと広く感じ、カットラインは少しぼやけた印象。
実際には明るさに大きな差はなさそうなのですが、照らす部分と暗い部分の境がはっきりしているHIDに比べ、どこかぼんやりしているためか全体的にはLEDバルブの方が若干暗く感じます。
単純な明るさと言うよりは見易さが違うと言った感じでしょうか。
対して、ハイビームになると立場は入れ替わって、圧倒的にLEDの方が明るくて見易いです。
これはHIDレンズのハイビームはハロゲンバルブである事が関係しているかもしれませんが、LEDの方が遠くまで光が届いていますし、照射範囲もかなり広く見えます。
ちなみに、LEDバルブの弱点である両端の影の影響がどれくらいあるのかと言うと、ハイビーム点灯時にロービームやフォグランプでカバーしている至近距離の照射エリアに、うっすらと筋の様な斑が見られます。
しかし走行中に影響はありませんし、座面の低いスポーツカーなどでは、そもそも斑のある部分は視界に入らないと思われます。
メリット・デメリットはあるかと思いますが、いずれにせよ3000円前後の格安LEDバルブでも走行には全く差支えのないHIDクラスの明るさでありながら、高価なバラストの劣化に悩まされる心配もない事を考えると、ヘッドライトのLED化はメリットの方が大きい様に感じます。
ハロゲンバルブからの交換であれば確実に明るくなるでしょうから、交換時期を迎えた際は是非LEDバルブを選択肢に加えて検討してみてください。
(追記:2022.08.08)
比較検証中に使用したロービーム(H7バルブ)は8000lm/26w(片側13w)でしたが、バイク用と判明したため同社の自動車用12000lm/40w(片側20w)のLEDバルブに取り換えたところ、測定値で純正HIDの1.2倍程度の光度となりました。
比較検証中に使用したハイビーム(HB3)及びフォグランプ(HB4)用のLEDバルブは、いずれも40w(片側20w)の自動車向け製品でしたので変更はありません。
購入時はワット数にご注意ください。