BK系アクセラ、特にサーキット走行など走りを意識したマツダスピード・アクセラに於いて、シフトフィールの渋さや妙な引っ掛かりでギアが入らないなんて報告が多いです。

どちらかと言うと3速以上を良く使う大きなサーキットではあまり聞かれませんが、ジムカーナやミニサーキットなど、1速・2速を多用するシチュエーションでシフトミスをする話は良く聞かれる症状です。

テクニカルアドバイスの初級編の中でシフト操作のコツを解説した事がありますが、初級者の方やマニュアルの操作に不慣れな方はシフトノブを握り締めて、力で操作しようとする人が多いですよね。

指先で押す程度の力や、掌で転がすイメージの軽い力で操作すれば意外とスムーズにギアが入るものですが、速く走ろうと意識し過ぎてついつい力が入っちゃうなんて人も。。。

また、操作に慣れている人であっても、素早い操作を行おうとするあまり、勢い余って少々オーバーアクションになってしまう場合もありますが、そんな運転を続けているとどうなるでしょうか…?

ギア鳴きを起こす様な強引な操作や、変速ショックが目立つ運転ではギア欠けなどのトランスミッション本体のトラブルに繋がる場合がありますが、それ以前に、アクセラの場合はセレクトレバー周りに問題がある様に思います。

◆シフトレバーの構造的欠陥とは

◆最小限の細工で劇的に改善!

■シフトレバーの構造的欠陥とは

実はBKアクセラの5速MTは特に問題はありません。

対して6速MTの場合、バックギアにシフトする際に1速の横にあるタイプ、6速の横にあるタイプの2つが主流だと思いますが、特に1速横にバックギアがあるタイプのミッションでは、レバーを引き上げたり、押さえて操作しないとバックギアに入らない構造になっています。

アクセラの場合もシフトレバーを押さえて操作しないとバックギアに入らない構造となっているのですが、この構造は車種やミッションのタイプによって若干異なり、アクセラのレバーは内部で飛び出したストッパーのピンがレバーのベースに干渉する事で可動範囲を制限する物となっています。

文章だけでは分かり難いと思うので、以下の写真をご覧ください。

ちょっと分かり難いですが、レバーの根本付近にアーチ状のフレームがあり、1速より左側にレバーを動かそうとしても、ストッパーのピンがつっかえ棒となってバックギア側には動かせない構造である事がわかります。

シフトレバーを下に向かって押すとピンを含めたレバー全体が15mm程下に動くため、アーチ状のフレームを回避してバックギア側へレバーを動かす事が出来ます。

この構造自体は良く考えられており問題はないのですが、材質とピンの加工に難有りです。

こちらの写真は、中古で購入したアクセラが納車された直後の物ですが、レバーを押さえなくてもバックギアにスコスコ入ってしまう状態で、シフトレバー周りを分解して確認するとこの有様でした。

アーチ状のフレームは樹脂で出来ており、レバーに付いているピンは金属製。

おまけにピンの端は切りっ放しの状態で角が鋭利になっています。(矢印の部分)

お気付きだと思いますが、グリスが塗布されているとは言え、その様な構造で力任せに1・2速の変速操作を行っていると、徐々に削れてしまい、最終的には写真の様な状態になってしまうわけです。

こんな状態になってしまっても、通常の運転時は注意して操作すれば問題なく走行可能ですが、スポーツ走行時は2速から1速へシフトダウンする際など、誤ってバックギアに入れてしまう恐れがありますよね。

実際にバックギアに入る様な事がなくとも、スムーズなシフト操作が行えず、とてもサーキット走行どころではありません。

また、力任せの操作でなくとも、素早いシフト操作を行っている際にはストッパー構造が頻繁に擦れる様に触れるのは避けられず、程度こそ違えど時間経過と共に削れていく事態は避けられません。

試しに目視できる状態で1速へシフトチェンジの操作をしてみると、ご覧の通りピンがアーチに触れたまま擦る様にレバーを動かす事になりますね。

ちなみに、単純に削れていく問題だけでなく、角が鋭利になったピンは樹脂製のアーチ部分に引っ掛かり易く、軽い力で操作した際にレバーが何かに引っ掛かって固く感じる嫌な手応えがあります。

この際に、サーキット走行などラップタイムを意識している様なシチュエーションでは、思わず力を加えて1速へ入れると言う操作をやってしまいがちですが、このダメージが徐々に蓄積されていくわけですよ。

これがアクセラのシフトレバーの構造的欠陥であり、シフトフィール悪化の原因でもあります。


■最小限の細工で劇的に改善!

アクセラで一本クヌギ34秒切り計画を進めていますが、確実なシフト操作もタイムアタックには欠かせない要素ですよね。

どうやってこの問題点を改善するべきか、シフトレバーAssyを観察しながら、アーチ部分に薄いステンレスプレートを接着して滑りを良くしてみたり、定期的にグリスを塗布してみたり、敢えて1速を封印すると言う手段を試してみたり。。。

しかし、もっとシンプルな方法で劇的に改善する方法に辿り着いたので紹介したいと思います。

アクセラに限らず、シフトレバーが同様の構造なら、車種問わず同じ方法で改善は可能なはずです。

その方法とは…?

単純に、ピンの方を削ると言う方法です!(笑)

摩擦を低下させるとか、削れる樹脂製のアーチ側を保護すると言った方法ではなく、引っ掛かる原因となるピンの鋭い角を棒やすりで削って丸くしてしまおうと言う方法です。

これでは金属のピンが樹脂のアーチに接触する事に変わりはないので、気休め程度ではないかと思ったのですが、ピンの角を落としてアーチ側をグリスアップしておけば、少々力を加えて操作しても樹脂の粉が出る様な事もなく、操作時に引っ掛かる様な感触も消えて1・2速を素早くバシバシと操作可能になりました。

削ってピンを短くすると逆に操作性は悪化しますので、あくまでもピンの角だけを丸くするに留めてください。

写真でわかりますかね?

結構丸くなっているのがわかると思いますが、これくらい削ってやれば角が引っ掛かる事もなくなり、アーチ部分に触れる先端の面積も狭くなるため摩擦も抑えられます。

まあ、マツダスピード・アクセラ自体がタイトコーナーの多いジムカーナやミニサーキットには不向きな車種なので、1・2速を多用するシチュエーションの少ない大きなサーキットを走っている人にはメリットが少ないかもしれませんが。。。

しかし、普段の運転でも1・2速操作時のダメージは徐々に蓄積されていきますし、発進時の1速の入りの渋さは劇的に改善されるはずなので、やっておいて損はないと思いますよ♪

なにしろ、棒やすりを用意すれば対策に掛かるコストは”タダ”ですからね!(笑)

お試しあれ~