アンテナの撤去や穴埋めでスッキリさせる方法はロードスターに限った話ではなく、どんな車でも同じ方法でスムージングは可能なので、穴の継ぎ目もなく完璧に無かった事にしたいと言う場合を除いては庭先作業でも十分可能なレベルです。
ルーフアンテナの様に目立たない位置だったり、位置に関係なく見た目は気にせずただ単に撤去して雨漏りしない程度に塞ぎたいと言う話であれば、以前マツダ2の例で紹介したもっとイージーな方法もありますので、過去の記事を参考にしてみてください。
今回は、継ぎ目なく完璧に塞ぐまではしなくて良いけど、ちょっと離れたらわからないレベル、目立たないレベルで塞ぎたい場合の作業例をご紹介します。
■アンテナがエクステリアに与える影響
まず、車のアンテナが一部の層に嫌われる理由は、何と言っても見た目の悪さにある。
もちろん、アンテナが良いアクセントとなってオシャレに見える場合もありますが、大体の場合は著しく美観を損なうか、それを少しでもマシにしようとショートアンテナを採用したり、シャークフィンアンテナを採用したり。
しかし、どんな形をしていようがアンテナはアンテナ。
美しい車のボディラインから逸脱した余分な突起は全てを台無しにする。
美しいリアビューやシルエットを実現するのはアンテナレスである。
マツダ・RX-8など、グレードによっては美観を損なう余計なリアウイングが装備されてはいるものの、美しいシンメトリのデザインで、更に今回の話題で触れているアンテナについては外観上は装備されていない。(リアガラスにプリント式アンテナを採用)
リアフェンダーに掛けて絞り込んだ特徴的なプレスラインの美しさに定評あるニッサン・シルビア(S15)もご覧の通り、アンテナなど装備されていない。
こちらもグレードによっては下品な大型リアウイングが装備されていたりするが、納車と同時に毟り取ってゴミ箱へ投げ捨てれば、子供のおもちゃから一変して息を呑む美しさのアートとなる。
“美”とは、ベースとして優れたデザインを有した上で”余計な物を付けない”事で完成するのである。
ベースがどんなに優れたデザインであっても、余計な物が付いた途端に”ソレ”は失われる。
これを見よ!
ここまで私の意見に納得して読んでいた読者のみなさんにとって、この天に向かってそそり立つアンテナがどう見えるか。
これはもう、アンテナとは呼べない。美の破壊そのもの。
こんな物を天に向かって突き立てるなど、神に背く暴挙である。
マツダはデザイン!デザイン!と大声でアピールしているのに、これは一体どう言う事か。
美しいNDロードスターのデザインに対する冒涜と言わざるを得ない。
これは、リアフェンダーに装着された”悲劇”と言っても良い。
しかし、この悲劇を取り除くとなると少々面倒な事があって、開いた穴をどう塞ぐかと言う問題が生じる。
目立つ位置である事に加え、取り外してみればわかるが平面ではないし、穴も楕円となっているので達が悪く、テキトーな方法で塞ぐと返って美観を損ねる恐れがある。
まあ、今回はそんな問題を解決する方法を紹介するので、アンテナ撤去に挑戦したい方は参考にしてみてください。
■アンテナの取り外し手順
まずはアンテナを取り外さなければ、穴が簡単に塞げるのかどうかも確認が出来ないので、取り外しの作業手順をご紹介しましょう。
ショートアンテナなどに交換する人も多いのでご存知だと思いますが、アンテナのロッド部分は反時計回りに回してやれば簡単に取り外せます。
残った台座部分は2爪式のリングナットで固定されているので、左右に掘ってある溝にスナップリングプライヤーなどを引っ掛けて回しましょう。
サイズの合うピンレンチを持っていれば最適ですが、大したトルクでは締まっていないのでよほど状態が悪くて固着していない限りはあっさり回りますよ。
間違っても、手を滑らせてこんな尖った工具をボディに落下させないように!
アンテナ穴を塞ぐどころの話ではなくなります(笑)
少し回せば指でも簡単に回るので、2回転ほど回したら念のために工具は手放して指で回す事をお勧めします。
リングナットを取り外すとこんな感じ。
台座の内部には浸水防止のシールがあるので、万が一また取り付ける場合の事も考えてキズ付けない様に注意しましょう。
これで外側の台座部分は外せるはずですが、ピタッと貼り付いている場合もあるので、この時点では無理に取り外す必要はありません。
続いて、トランクルーム右側にジャッキ収納スペースの蓋があるので開いてみると、赤丸で示した位置に10mmのナットでアンテナ本体が固定されています。
これを取り外すだけでアンテナの取り外しは完了。
アンテナ本体を手前に引っ張り出したら、コネクタを抜いてやると完全に分離出来ます。
先程、外側の台座が上手く取り外せなかった方は、アンテナを取り除いた後に裏側から指で押さえてやれば簡単に外れるはずです。
取り外したアンテナ一式の部品は箱か何かに入れて大切に保管しておきましょう。
アンテナ穴の周辺は台座が密着していた痕が薄っすら残りますが、後からパーツクリーナーで拭き取れば簡単に消えますので心配しなくても大丈夫。
何年も経過している車両だと色味に差が生じている事があるかもしれませんが、そればかりはどうしようもないかな?(笑)
■穴埋め用のホールカバーを作ろう
アンテナの穴を埋める方法は実はシンプルな話で、穴の形状に合ったホールカバー、つまりフタを作ってやれば良いだけです。
四角い穴でも丸い穴でも、大きな穴でも小さな穴でも、裏側からアクセス不可能な構造だったり、極端に複雑な形状でない限り同じ方法でフタを作れますよ♪
まずはフタを作る前に、重要な裏側の当て板を準備しておきます。
浸水対策も兼ねて、出来上がったフタを固定するためには、穴より少し大きめに切り出したアルミ板に多少クッション性のある屋外対応の防水両面テープを貼り付けておきましょう。
これは防水用のパッキンを兼ねるため、継ぎ目のない1枚貼り出来るサイズの両面テープを用意する事に注意してください。
表札用などであれば、車用のテープに比べて幅広の物が多いです。
今回はたまたま直径5cmの防水テープを見付けたので、アルミ板に直径5cmの円を描いて切り出しておきました。
縁のバリや荒い部分はヤスリなどで整えておくと良いでしょう。
アンテナを取り外す時に分解しておいても構わないし、分解しなくても作業自体は可能ですが、作業性を良くするためにトランクルーム右側の内装を取り外します。
クリップで留まっているだけなので特に工具は必要ありませんが、クリップリムーバーや内装剥がしを使うと楽です。
見えている部分の他、トランクルーム後方のパネルの裏側にもクリップが1つ隠れているので忘れずに。
そして、テキトーなサイズにカットしたアルミ板を穴の裏側から押し付けます。
この時使用するアルミ板は0.8mm厚がおすすめ。
1mmではフェンダーの曲面へ綺麗に沿わせるにはやや強めの力が必要になりますし、0.5mm以下では薄すぎます。
フェンダーの板厚を実測すると塗装膜込みで0.9mm以下となっているので、0.8mmのアルミ板に後から塗装をすれば大体同じくらいの厚さとなる見込みなので好都合ですね。
裏側からアルミ板を押し付けたら、外側から穴の縁に沿って細めの油性ペンで線を引き型取りしましょう。
ちなみに、後から塗装までの工程を含めて失敗した時のため、複数枚分の型取りしておくと良いかも。
0.8mm厚程度のアルミ板なら普通のはさみでも切れない事はないのですが、刃を痛める原因となるので金切り鋏の使用をおすすめします。
先程型取りをしたアルミ板を大雑把にカットしたら、油性ペンで引いた”線の外側”に沿って僅かに大きめに切り出しましょう。
いきなりギリギリで切り出しちゃうと、サイズが小さ過ぎた場合に修正ができないので、余裕を残しておき、地道にヤスリで調整するのが失敗しないコツです。
切り出したフタは縁がガタガタで切り口も尖っているので、ケガをしない様に注意しながらヤスリで少しずつ滑らかに整えていきます。
アンテナ穴に合わせながら慎重に削っていき、上手く嵌らない場合はどの辺りが引っ掛かっているのか入念に確認してから該当箇所を削り、もう一度穴に合わせてみる…と言う作業を只管繰り返します。
大体穴の大きさに揃ってきたら、穴の裏側にマスキングテープなどを貼り付け、フェンダーの曲面に沿う様に指で板を曲げながら形を整えましょう。
穴の正面だけでなく、見る角度を変えたり、フェンダー表面の凹凸が確認し易いテールランプの後ろから観察したり、指で撫でてみて縁の段差がほとんどなくなるまで形を整えたらフタのプレートは完成です!(足付け作業時に僅かに削る事になるので、この時点では穴にピッタリでOK)
尚、強力な両面テープなら多少の浮きは粘着力で引っ張ってカバーしてくれますが、裏側の当て板も予め手で曲げてフェンダー裏側の曲面になるべくピタッとフィットする様に調整しておくのが望ましいです。
型が仕上がれば塗装が完了するまでこの穴に用事はないので、カッコ悪いですがしばらくラッピングシートなどで塞いでおきましょう。
浸水やイタズラが心配な場合は、フタが完成するまでアンテナを取り付けておくのも良いと思います。
実のところ、この前編で紹介した穴を塞ぐためのフタを作るまでの作業は、慎重に進めれば誰でも簡単に出来ます。
ボディカラーや求めるクオリティによっても難易度の差はありますが、問題なのは塗装と言う無視できない行程が待ち構えている事。
特に色合わせでは高難易度を極めると言われる、ソウルレッドやマシーングレーに該当する場合は急激にハードルが上がるため、これを恐れてアンテナ撤去に踏み出せないと言う方も多いみたいです。
私も運悪く(?)ソウルレッドを気に入って買ってしまったため、DIYの素人塗装でこのハードルを越えられるのか不安である。
後編では塗装から取り付けて完成までの作業を紹介しますが、その前に…
○おまけ
ソウルレッド・クリスタルメタリック(46V)の”色合わせ”と言う、素人塗装の前に立ちはだかる大きな壁。
この色を再現するのは難易度が高いので、もっと楽にクリア出来る方法はないかと考えていたところ、面白い物を見付けました。
プロが調色してラッピングシートに塗装した物だそうで、ネット上のユーザーレビューでは完璧に色が合うと評判の良いキズ隠しシール、大槻シール印刷と言う会社の「貼っとこcar」と言う商品です。(まちのシール屋さんと言う通販サイトで取り扱い)
ラインナップに無い色はカラーコードを伝えればオーダーも受け付けてくれるそうで、どんな車の色でも対応できる。
本来の目的は、擦り傷や飛び石によるピッチキズなどを、貼るだけで目立たなくしてしまおうと言うお手軽補修用品なのですが、平らな小物くらいなら塗装の代用として利用出来そうだ。
っつー事で、実際に買ってみた。
実物はハガキより少し大きい程度で2450円と、サイズを考えると決して安くはないが、開封してみるとその時点でなんとなく嫌な予感がしたんですよ(笑)
何て言うか、ソウルレッドって写真では伝わり難いですがカラークリアを重ねた色なので、表面を水の膜で覆った様な、色に深みと言うか奥行きがあると言うか無表情な色ではないのですが、このシールの色は市販の補修用スプレーやタッチペンで塗った様なソリッドに近い色味なんですよね。。。
んで、実際にボンネットの上に乗せて比較してみたところ…
嫌な予感が的中して、全然色が違うんだわ(笑)
完璧な程合っていて少し離れればほとんどわからないってレビューも多いし、高評価が圧倒的多数なので、色にもよると思います。
また、販売店も現車に合わせた色ではないので色が”若干”異なる事があると説明している。当然です。
塗装なので、埃の付着や気泡がある場合も~とか説明されていますが、そんな事も全く問題とは思っていない。
2年程度とは言え、経年劣化による衰色なども”多少”はあると思うのですが、そもそも、このソウルレッドクリスタルメタリックに関しては”色が全く再現出来ていない”んですよ。
“若干”なんて言葉で片付けられる様な差ではない。
一級塗装技師が作成した~とか謳っているので期待しますし、仮に全く色が合わなくても、カラークリアの層で奥行きのある”ソウルレッド感”が出ていれば、私の車が色褪せたのかな?くらいで納得も出来ますが、これ以上色が変わりませんよってくらいカラークリアを吹きまくっているか、全部混ぜ込んで単色スプレーで塗ってない?ってくらいペタッとした平面的なメタリックレッドです。(前者なら研ぎ続ければどこかで色が合うかも?(笑)
念のため展示の新車とも比較してみましたが全く違うし、裏の蝋紙の影響も疑って、小さくカットした物を貼り付けてみたりもしましたが、違うもんは違う(笑)
この色で本当に納得できるのであれば、車をぶつけたらボカシなしでホルツのスプレー直吹きで良い。マジで。
これ、粗探しをして言ってるのではなく、率直で正直なレビューですからね、念のため。
事実をお伝えしているまでです。
恐らく、ソリッドカラーや普通のメタリックなどであれば問題ないのだと思います。(事実、高評価は多いし、写真でも確かに目立たない)
対して、特殊なカラーやソウルレッドの様なカラークリア層が決め手となる様な色は、全く合わない可能性がある事を覚悟しておいた方が良いかもしれません。