昭和から平成初期にかけて、オートアンテナなんて高級装備は一種のステータスだった時代もありますが、最近ではアンテナ自体が邪魔者扱い。

車のラジオアンテナは針金の様な棒を引っ張り出して使うチープな物や、ちょっと太めのラジカセアンテナ風の物から、近年良く見る短いロッドアンテナへと時代に沿って小型で目立たない物へと主流は変わってきましたが、やはりアンテナはアンテナ。

スタイリングを意識した物では、一時期アメ車を中心に流行したブーメランアンテナなんて物もありましたが、その派生みたいな物でしょうか?

最近ではシャークフィンアンテナドルフィンアンテナなどと呼ばれる屋根に乗っかるツノみたいなヤツが多いですよね。

実際のアンテナは電波の周波数などによって大凡長さが決まっている物ですが、エクステリアの印象に与える影響も意外と大きいので、お構いなしに他車からの流用や社外品のショートアンテナなんかに替えてしまう人も多いですし、純正アンテナでも最近の車のラジオの受信感度は異常な程悪い(笑)

どうせ大した受信感度もないのであれば、無理にエアロ形状をしたデカいアンテナを屋根に乗っけるより、S15シルビアRX-8の様にプリント式アンテナにした方がスタイリングでも有利な気がしますが。。。

最近の国産車でそれをやっちゃったのがマツダ3で、ルーフに何もないスッキリしたシルエットは素晴らしいですよね。

っつー事で、マツダ2シャークフィンアンテナを毟り取ってスッキリさせてみる事にした。

◆アンテナを撤去しても大丈夫?

◆ルーフアンテナの着脱手順

◆アンテナレス化のお手軽な穴埋め

■アンテナを撤去しても大丈夫?

シャークフィンアンテナの見た目は好みの問題もあるので、単純に好き嫌いでの選択になると思います。

Mazda2のシャークフィンアンテナ

私はシャークフィンアンテナ自体をどうとは思いませんが、マツダ2のボディサイズに対して屋根に乗っかっている物がデカすぎて不格好だと感じるので要らないかなと。

ミニバンや大型のセダンなどであればそれ程気にならないかもしれません。

いずれにせよ、アンテナその物が要らないと感じても、いざそれを取り外すとなったら何か悪影響はないのか気になる方もいると思います。

アンテナと一言に言っても、最近の車にはGPSアンテナやTVアンテナなど様々なアンテナが装備されているので、全てが不要と言うわけではありませんが、少なくとも”ラジオアンテナ”に関しては撤去してもラジオの受信以外に影響はありませんのでご安心ください。(ラジオが受信出来ないと困ると言う場合は別)

ルーフに装備されているアンテナを取り外しても、カーナビは動作しますし、TV機能があればTVも今まで通り視聴可能です。

ただ、稀にシャークフィンアンテナ内にTVアンテナなどが内臓されていたりする事もある様なので、心配な場合は取り外す前にコネクタだけ引き抜いて動作確認をすると確実でしょう。

新しい内は良いですが、古くなるとアンテナ裏のパッキンにクセが付いて、着脱すると雨漏りの原因となる恐れもあるので、動作確認はカプラーの着脱のみで行う事をお勧めします。

ちなみに、地域の電波強度や車によって個体差などもあると思いますが、私のマツダ2の場合はアンテナを撤去してもラジオが受信出来ています(笑)

もちろん、拾い難くなったチャンネルがあったり、ノイズが目立ってより一層聞き取り難くはなりましたが、全く入らないと言った感じではなさそうです。

参考までに。


■ルーフアンテナの着脱手順

ルーフアンテナをロッドタイプからシャークフィンタイプに、またはその逆…と言う場合でも、着脱の手順は全く同じ。

付いているアンテナを取り外して、交換するだけである。

今回の作業例となるマツダ2(DJデミオ)の場合は、前期となるDJデミオの途中からコネクタの形状が変わっている様なので、交換する際は対応品番にご注意ください。

上手く端子を取り換えできるなら良いですが、細い同軸ケーブルを繋ぎ直すのは難しいですし、はんだ付けだとノイズの原因になったり…って、そもそも受信感度が低いので大した問題ではないか?(笑)

実のところ、今回の私の目的は”交換”ではなく”撤去”なのですが、取り外し方がわかれば逆の手順で取り付けるだけなのでご安心ください。

こちらが取り外すシャークフィンアンテナとなりますが、結構目立つでしょう?

これ、屋根に乗っかっている内はまだ良いですが、実際に取り外すと手のひらからはみ出すくらい大きくてズッシリしていますから、ラジオが不要な層にとってはデメリットでしかない。

ルーフアンテナを取り外すには天井の内装を剥がすと言う難易度の高い作業となるのですが、幸いにも多くの車はルーフ後方に付いている場合がほとんどなので、無理に天井を剥がさなくても隙間から手を突っ込めばどうにかなります。

まずはリアハッチを開けて両サイドのパネル上部を浮かせます。

爪で留まっているだけなので、引っ張れば簡単に剥がせます。

これは完全に取り外す必要は無く、写真の様に天井の内張りの押さえとなっている上部だけスペースを確保出来れば問題ありません。

続いて、天井の内張りを留めているクリップを、クリップリムーバーで引き抜いてください。

すると、この様に後端をめくって5~6cmの隙間が確保出来ます。

作業スペースとして十分とは言い難いですが、これ以上のスペースを確保して作業したい場合は前から後ろまでピラー周りのパネルを分解して天井を完全に剥がす方向になると思いますので、どうしても無理と言う場合を除いてはこの方法が最も効率が良いと思います。

注意点としては、無理にスペースを広げようと下に強く引っ張ったりしない事です。

腕を突っ込めるくらいなので多少は余裕がありますが、曲げ過ぎると天井にシワが出来てしまう恐れがあるので、腕が太い方や気が短くてイライラし易い方はご注意ください(笑)

過酷なのはここからです(笑)

この隙間からこの様に腕を突っ込んで、まずは手探りでカプラーを探しましょう!

手探りでカプラーを見付ける事自体は大して難しくはないのですが、ここからカプラーを引き抜くと言う作業は困難を極めます。。。

写真が撮れる程のスペースもないので腕を突っ込んでいる写真だけとなってしまい、一体何をしているのか伝わり難いと思うのですが、手で様子を探ると何やら四角いカプラーの片方はクリップが付いていて、ルーフ側に固定されています。

幸いにもクリップの付いていない方がアンテナ側のカプラーなので、抜けてしまえばそれ以上の苦労はありませんが。。。

カプラーの爪が小さいので上手く押さえられているのかどうかも分かり難いので、少々強引に引っ張りながら、指先で爪っぽい部分を押さえるしか方法はありません。

見えないカプラーと格闘する事約15分…、なんとか取り外しが出来ました!

後は楽なもんです。

更に10cmほど奥の方に手を突っ込めば、アンテナの根本がナットで固定されているのが手探りでわかると思います。

触った感じだと17~19mmくらいだろうと予想は出来ますが、これ、指で回してみるとあっさり回ってしまったので工具は不要でした!

実際に取り外した物を確認すると19mmのナットとなっているので、指先の力で回せない人はスパナを使って緩めましょう。

ナットが外れてしまえばアンテナ本体を引き抜くだけです。

ただし、そのまま上に向かって押さえても矢印で示した左右両脇に爪で抜け防止されているので、指で摘まみながら上に押してやりましょう。

上手く爪が外れたら、外側からケーブルを引っ張り出してやればご覧の通り丸ごと外れます。

社外品と違って純正アンテナは台座が角になっていて、ルーフの穴も角となっているので、向きの調整をしなくてもしっかり真っ直ぐに取り付け可能です。

あとはルーフを綺麗に拭いてから、新しいアンテナを逆の手順で取り付けましょう!

しかし、もしこのままアンテナ撤去する場合はこの穴が問題ですよねえ。。。

撤去する場合のお手軽な穴埋め方法は次項でご紹介しましょう。

アンテナの交換後、天井や両脇のパネルを元通りに組み立てる際は、開口部を一周しているウェザーストリップを挟み込まない様に注意して組み立てます。

写真の様に指で浮かせながらパネルを下に差し込むか、パネルを取り付けた後に内装剥がしヘラなどを使って挟んだパッキンを表に引っ張り出してやるか。

面倒だと感じる場合は一度上半分を剥がして、パネルを組み付けた後にパッキンを取り付けると言う方法でも良いと思います。

ただ、ブチルゴムが塗ってあるのでウェザーストリップを剥がす作業はあまりお勧めしません。。。

万が一内装や服に付着すると落ち難いですからね。


■アンテナレス化のお手軽な穴埋め

アンテナを無事に取り外しても、ルーフに開いた穴をそのままにしておくわけにはいかないので、渋々何か目立たないアンテナに交換すると言う人も多いと思いますが。。。

中にはカッティングシートなどで塞ぐと言う人もいますが、ちょっとした事で破れてしまったりするのでおすすめはできません。

理想は、板金屋さんなどにお願いしてスムージング後に塗装と言う方法ですが、当然高額となりますし、ルーフの加工や再塗装は車を手放す際に査定に影響する場合もあるので慎重にならざるを得ません。

そこで、誰でも簡単に、必要な時は元に戻せるお手軽な穴埋め方法をご紹介しましょう。

やってる事はカッティングシートで塞ぐ方法と同じなのですが、決定的に違うのは金属プレートを使用すると言う方法。

NDロードスターの様に、リアフェンダーの複雑な曲面にアンテナが付いている様な例では以下の方法で綺麗に施工する事が困難ですが、ルーフについてはほぼ全ての車種は平らなので簡単に塞ぐ事ができます。

まずは浸水防止となる裏側を塞ぐ方法からですが、角でも丸でも構わないので、ホームセンターなどで簡単に入手可能なアルミ板を適度なサイズ(穴の直径の1.5~2倍が目安)に切り出して、幅広な防水両面テープを貼り付けておきます。

3Mなどのしっかりしたメーカーを選び、1~1.5mm厚程度のややクッション性があるテープが適しています。

また、両面テープは幅広の物を1枚貼りで使用し、シワなどが付かない様に注意してください。

細い物を継いだり、シワが出来ると雨漏りの原因となる恐れがあるため、両面テープはエア噛みの有無が確認しやすい透明な物がおすすめです。

ルーフに開いた穴の裏側をパーツクリーナーを吹き付けたウエスで拭いて脱脂した後、先程用意した両面テープ付の金属プレートを裏側から貼り付けます。

裏側に当てるプレートは、穴のサイズの2倍程度のサイズにしておけば、少々中心がズレていてもしっかり塞げますよ。

表から確認して、穴がちゃんと塞がっている事を確認したら、裏側から強く押し付けてしっかり接着しておきましょう。

これで裏側を塞いで浸水対策は完了しましたので、続いて表側の穴を塞ぐ方法となります。

表側は出っ張るとカッコ悪いので、厚手の両面テープは使いません。

表の穴を塞ぐ場合は、ある程度シビアになります。

明らかに斜めになって貼り付けたり、明らかにセンターがズレているとカッコ悪いので、穴に合わせてマスキングテープなどで位置合わせしておきましょう。

貼り付けの前に、ルーフをパーツクリーナーで綺麗に拭き上げて脱脂するのを忘れずに!

さて、表の穴を塞ぐのに適したメタルプレートですが、これにはGPSアンテナ用のアースプレートが最適です!

最近では信じられないかもしれませんが、昔は純正カーナビでもGPSアンテナをトランクやルーフなどに外付けしていた様な時代もあり、アースプレートの耐候性、両面テープの耐水性もある意味実証済み(笑)

裏面の両面テープには3Mの9448Aが採用されている物が推奨ですが、基材がアクリルフォームタイプなら大体大丈夫だと思います。

これをそのまま使うとちょっと大きいので、適度なサイズにカットして使うと良いでしょう。

また、アースプレートはスチール製なので、黒は目立って嫌だと言う場合はボディ同色に塗装して使うと見た目もより良くなると思います。

プレート自体は極薄の鉄板ですし、両面テープも0.1mm程度の極薄となっているので、フラット感は抜群ですよ♪

どしゃ降りの雨だったり、いきなり洗車などしなければ大丈夫だと思いますが、両面テープの注意書きにある通り、貼付直後はなるべく水に濡らしたりしない様に1日置くのが理想です。

夜露が心配な場合は、ビニール袋などを被せて上からテープで留めておきましょう。

自分で金属プレートのカットが難しいと言う方は、メールでご相談頂ければ裏表のプレート(両面テープ貼付済み)をセットでご用意できます。(加工の手間や両面テープが意外と高いので、1セット送料込み1500円でお考えください)

さあ、ご覧ください!

ルーフアンテナを撤去してスッキリしましたね♪

冒頭で掲載した写真と比較するとツノが無くなって見た目が滑らかになっているのが良くわかると思います。

ルーフを横から眺めた時の比較はこんな感じ。

縮尺をミスったマツダ3の偽物みたいになって良い感じですねー!(笑)

今回はマツダ2の例となりましたが、他の車種でもメーカー問わず同様の方法でアンテナの撤去から穴埋めまで可能ですので、ルーフアンテナが気になっている方はお試しください♪