普通に乗っていても、サーキットを走っていても、やる時はやる。

ガリッとホイールのリムに傷を入れちゃってガックリ…なんて事は車を所有していれば誰もが一度は経験する事で、買い直すと高いし、修理しようか、我慢してそのまま使おうかなんて悩むわけですが。

ホイール用のパテや、板金などに使用する溶接代用パテなど本格的な物まで色々とある。

ただ、パテで成型して綺麗に仕上げると言うのはセンスが問われるところだが、単純に補修可能か否かと言う問いに対しては「可能」と言う答えが返って来る。

あとは、ダメージの程度の問題や、使用用途によってはどこまで許容できるかと言った問題はあるが…。

さあ、今回はやっちまったホイールをパテで修正してみようと言うネタである。

■補修に必要な物は?

■実際に作業してみた

■仕上がりは?

■修正に必要な物は?

まず、第一にパテである。

思いっきりリムの曲がってしまった物や、クラックが入った物、スポークが折れたなどと言った場合は基本的には買い直す他に道は無い。

程度によってはリペア業者に頼めばリム曲りくらいであればどうにかなる場合もあるが、クラックなどは溶接修理しかないので、再びサーキットで使用できる物かどうかは相談した上で判断する事になると思われる。

原則として”壊れた”ホイールは買い直すしかないと考えておこう。

素人に可能なのは、あくまでも、ガリキズ程度のダメージに対しての修正だ。

はい、パテを紹介する前に、写真を見てお気付きの方もいますね?(笑)

結論から先に伝えてしまいますが、このパテではダメです(笑)

パテと一言に言っても色んな種類があり、ボディやバンパーの凹みや穴を塞ぐためのパテであっても、金属の様な強度があるわけではありません。

また、アルミホイール用などと謳っているパテはエポキシ系のパテになるので、ぶっちゃけホイール用である必要もなく、単純にアルミ粉の入っただけで色の問題である。

そして、恐らく最適なのが少々値は張るが、溶接代用パテとなるデブコンジーナスなどの、硬化後にタップが切れる様な超強力パテだ。

比較的安価な物では、粘土タイプで使い易いストレートなどの商品もある。

ちなみに、ガリキズ程度であれば実際のところエポキシ系パテで事足りる。

今回、敢えてアルミホイール用パテだとか、デブコンなどを用意しなかったのは、どう言うタイプなのか謎だった「ホルツ・メタルパテ(ロイメタル)」の特性が知りたかったからである。

メタルパテと書かれており、金属の”質感”と言う事だが、果たして…?

このパテなのだが、いざ使ってみるとかなり流動性が高い、つまり柔らかいので深い部分まで行き届き易いが成型するには扱い難い。

もう一点、チューブから絞り出した途端に表面が乾き始めるため、直接補修したい場所に塗りつける様に作業しないとくっ付き難い。

結構難易度が高い印象である。

尚、このパテではダメと言う理由だが、実際に乾燥後、成型までして見掛け上しっかりと修復出来たのだが、試しにマイナスドライバーで強めに突いてみると、簡単に砕けてしまう。

金属の”質感”であって、金属並みの強度が出るわけではない、至って普通のパテである事に注意が必要だ。

なので、私は後からアルミホイール用のパテで同じ作業をやり直したが、エポキシ系のパテであればカッチカチなので十分使用に耐え得る強度が出ているものだと思われる。

パテを選択する際はくれぐれもエポキシ系、修正個所によってはジーナスなどの強力パテを使用する事をお勧めする。

その他必要な道具は、サンドペーパーやすりなど。

やすりについては、ガリキズなど荒れてバリになっている部分を削り落としたり、パテの乗りを良くするために表面を荒らしたりするのに使用する。

サンドペーパーは乾燥後、水研ぎで修正個所を綺麗に整えて成型するために使うので、必ず必要になる。

さあ、道具が揃ったところで試しに補修をやってみようではないか。


■実際に作業してみた

それではまず、こちらを見てほしい。

少し前にホイールナットの締め忘れでやらかしてしまったホイールである(笑)

そう!リムの傷を修正する作業は色々なサイトで普通に見掛けるので、例外作業で行ってみよう!

表から見るとこんな感じ。

結構削れちゃってる様に見えますが、テーパー部分は生きているので、普通に使う分にはなんとか問題はないと言った感じですが、当然きちんと修正されているに越した事はありません。

とか何とか言って、1本は買い直しちゃったので、完全に実験台と化していますが、今回はこのダメージを補修してみます。

こんな傷が本当に治るのか?と不安ですよね?(笑)

まず、今回は新品のホイールがいきなりこの有様なので、特に汚れらしい汚れはありません。

ダメージのある部分もハブボルトによって良い感じに削れているので、特にやすりを掛ける必要もなく、とりあえず脱脂洗浄だけ行います。

そして、表からは余ったホイールナットをナットホールのテーパーに押し付け、テープで固定しておきます。

これは、テーパー部分にパテが付着しない様に配慮したもので、同時に少し削れているテーパー部分を綺麗に自動成型させるための型でもあります。

パテがナットに密着して剥がれなくなってしまうといけないので、ナットのテーパー部分には事前にグリスを薄塗りしてあります。

そして、裏側はパテが余計な部分まで広がらない様に穴半分くらいでテープの仕切りを作っておきます。

ここにパテを流し込む。

硬化時間は約24時間との事なので、この状態で翌日まで乾燥させましょう。

翌日、パテが完全に硬化したのを確認したら、まずは丸みのあるやすりでナットホールを円形になる様に整えて行きます。

テーパーを潰してしまわない様に慎重に…です。

裏面については、ハブと密着する面からはみ出している部分を、サンドペーパーを使って水研ぎして平らに整えます。

あ、ちなみに、写真は畳の上で撮っていますが、もちろん家の中で作業すると汚れるので、実際の作業は外で行いましょう!

結構研ぐと言う作業は時間が掛かるものですが、焦らず、鼻歌でも歌いながら気長に進めて行きましょう。


■仕上がりは?

さあ、気長に研ぎ続ける事1時間程でしょうか。

気になる仕上がりはどんな感じになっているのかお見せしましょう!

じゃーん!!

良く見ると若干歪な形ですが、円に近い形状に復活しました!

テーパー部分はナットを当てて成型してあるので、指で撫でても滑らかな仕上がりとなっており、実際にナットを当ててもガタなくテーパー部分も密着します。

裏側はこんな感じです。

パテの色がホイールのアルミ地より反射が鈍いので、写真では色が違って見えますが、指で触っても段差もなくツルリと滑らか、平らに仕上がっています。

んで、肝心の強度は?と言う点ですが、試しに実際の車のハブにナットで締め付けてみたのですが、問題なく取り付けは出来ますし、規定トルクで締め付ける範囲ではパテが剥がれたり割れたりと言った事も起きませんでした。

ただし、取り外した状態で、マイナスドライバーを当ててプラスチックハンマーでゴツンッ!と叩いてみると、あっさりと砕けてしまう(笑)

ホルツ・メタルパテは、主成分が「アルミニウム・溶剤」となっているので、何か良くわからないがほぼ金属なの?みたいな期待で使ってみたわけですが、普通のパテでした…。

この後、ホルツのアルミホイール用パテで同じ作業を行い、再補修したのですが、そちらは強度も十分で、叩いても少々傷は入るものの割れたり剥がれたりなんてトラブルは無し。

ホイールを修正するなら、少なくともエポキシ系パテを選択しましょう!

ただね、エポキシ系って混ぜるのが少々面倒で、硬化剤との分量を誤ると硬化しなかったりするので、説明書をよく読んで正しい手順で使用しましょう!