サーキットなどを走っていれば、遅かれ早かれ突き当たるのがスプリングレートの問題ですよね。

以前、RX-8やNCロードスターのリアは、純正アッパーマウントを再使用するタイプの車高調が多く、その都合上テーパースプリングしか使えないと言う話をしました。

そのため、スプリングアダプターを利用して、リアスプリングを直巻き化する事で汎用性を持たせる手段を紹介したのですが、今回もそれに近いです。

車高調を買えばアッパーマウントもセットになっている事が多く、主流のID60・65・70辺りの直巻きスプリングがそのまま使用できる場合が多く、レートとレングスのみ注意しておけば色々と使い回しが効くのですが、それに当て嵌まらない車種、または車高調キットを引いてしまうと言う事もあります。

今回、アクセラも見事にそれに当て嵌まってしまったので、引きが良いです(笑)

テーパースプリングを直巻き化すると言う話については、以前の記事をご覧ください。

今回は、直巻きであっても、対応内径を変更する方法の話が主になります。

◆内径変更の方法は?

◆実例紹介(準備編)

◆実例紹介(作業編)

■内径変更の方法は?

実は意外と単純な話です。

使いたいスプリングに合わせた内径になる様、アダプターを使ったり、スプリングシートそのものを変えてしまうと言った方法になります。

具体的にご説明しましょう。

例えば、ラルグスと言った最近では結構メジャーな車高調キットがあります。

減衰の設定など多少は異なるのかもしれませんが、一部のショップやブリッツ、トラストなどが色違いのOEMらしき車高調を扱っていますが、こちらのスプリング内径が少々特殊なID62となっています。

これはオプション扱いとなる対応スプリングがあるため、メーカーが自ずと買ってもらおうと意図的に採用しているのか、別の狙いがあるのかは謎です。

何故なら、より汎用性の高いID65を使えるように、同メーカーがわざわざ変換アダプターを用意していたりする(笑)

ラルグスのスプリング内径変換アダプターを使えば、ID62用のスプリングシートに被せるだけで、ID65に対応させる事が出来ます。

ただ、これだと一部の車高調が採用しているID62を拡大するだけじゃないの?って話になるのですが、まあまあ。

ラルグスには、なんと有り難い事に、ID60をID65化するアダプターがラインナップされています。

ここまで来るとお人好しメーカーと言うか、自社の車高調を使っていないユーザーにも救いの手を差し伸べてくれているみたいに感じますね。

ただし、ID70化するアダプターは扱いがない。

さあ、この様な場合はどうするのか?また、逆にスプリングの内径を小さくしたい場合はどうするのか?と言った問題があります。

この場合、凄くシンプルに、使用中の車高調メーカーの補修部品(またはオプション部品)リストを確認してみましょう。

補修部品などがきちんとラインナップされているメーカーの場合、使用中の車高調キットの説明書にスプリングシートの詳しい寸法、または品番などが記載されている場合があります。

テインの場合は品番からネジサイズまできちんと記載されていました。

そう。同じネジサイズのスプリングシートを探して購入し、入れ替えてしまえば良いのです。

これは、昔から良く行われている技で、スプリングとショック本体との干渉などには注意が必要なため、情報収集や寸法確認は必要ですが、対応IDを大きくしたり小さくしたり容易に変更する事が可能です。

ただし、この場合はアッパーマウントなどの問題も生じてくるので、ここが一番のネックとなりますが、他社の同車種のアッパーマウントが流用出来たりするので、ダンパーのロッド径を確認した上で、希望のサイズを扱っているメーカーに手当たり次第に問い合わせてみるのが良いです。

ピロボールタイプだったりすれば、ピロボール自体は汎用品なので、ロッド径(厳密にはロッドに付属のカラー)に合わせた内径のピロに打ち替えてしまえばこの辺りの問題は解決です。

とは言っても、初めてID変更を試みると疑問も多いし不安もあると言う人が多いと思うので、サーキットなどで先輩方にアドバイスをもらうと良いかもしれませんね。

ただ、これらの情報は、予備知識として記憶しておけば、いざと言う時にアイデアは使えるので覚えておいて損はないと思いますよ。


■実例紹介(準備編)

今回は自分のアクセラでスプリングサイズの問題に直面しました。

実際にスプリング内径を変更する手段を用いて、テーパースプリングを直巻き化し、マウントサイズID70からID65化の方法を紹介したいと思います。

まず、サーキットを走らせてみて、単純にアクセラのスプリングレートが柔らか過ぎると言う不満を感じました。

ブレーキングでノーズダイブはキツいし、合わせてリアも跳ね上がって減速をフロント2輪で受け止めようとするため、緩いブレーキはしっかり効くのにハードブレーキ時に制動距離が伸びる。

おまけに、フル加速させるとリアが沈んでフロントが跳ね上がり、接地圧が無くなったフロントが空転して前に進まないと言った状態。

こればかりは勘になるので、本当に良いか悪いかは使ってみないとわかりませんが、とりあえずフロントを5kgf/mmから15kgf/mm、リア4kgf/mmから12kgf/mmと、前後共に3倍のレートへ。

調整機構はあるものの、ショック減衰が追いつくのかどうかも不明なので不安はありますが(笑)

そこで、車を下からチラッと覗き込んで、テーパースプリングと言う事は確認出来ましたが、ここでスプリングシートはOD65だと判断。←何故きちんと確認しなかったのか(笑)

アッパーマウントは純正を使用していると言う事が見て確認出来たので、またRX-8の時と同じようにRIGIDのスプリングマウントシートに頼りましょう。

っつー事で買って来ました!

ちなみに、この時点で前後のID65スプリングとスプリングマウントシートを合計すると約5万円の出費となっている。

これで取り付け出来なかったら悲劇ですよ。

まあ、その悲劇が起きてしまったんですけどね(笑)

部品が揃ったので、この暑い季節、気合を入れて作業を開始したのですが、初めて見るアクセラの足回り構造に四苦八苦しながら、なんとかショックの取り外しに成功。

赤丸の部分は、写真では見えない角度ですが、奥の方に切り込みがあり、そこに挿さっています。

ナックルをハンマーで叩いて少し抜けたところで、奥の切り込みの間に鉄板を挿し込み、ショックを留めていたボルトを締め込めば切り込みが開いてショックがフリーになりますので、あっさり抜けます。

取り外しに成功したら、アッパーマウントを分解してスプリングを差し替える…ん?

着座しない。って言うか、スプリングシートがOD70じゃないか!

ぶ、部品代は良いんだ…良いんだ…。

失った時間…Priceless

ここまでで準備と作業で2時間を無駄にし、再び取り付けるのに1時間ととんでもない失態を晒す事に。

後日、仕切り直しである。

バネをID70にするとしても、RIGIDのマウントシートはID65用なので、どちらにしても使えない。

じゃあショック側のスプリングシートをID65用に変えてしまおう!とメーカーのテインに問い合わせてみたところ、アクセラ用のショックはラインナップ中最大径の直径61.5mmとなり、対応するスプリングシートのラインナップもID70用しかないと言う事であった。

しかし諦めませんよ。

ここでショックの直径が61.5mmと判明したわけですが、IQ200超えの超天才である私の頭脳に掛かれば、こんな物は光の如く閃くわけですよ。

確かラルグスのバネがID62だったな…と。

そして、私の優れた記(省略)…ID62をID65に変換するアダプターがラインナップされていたはずだと言う事を。

しかし、アダプター内径がショック外径にマッチするとしても、ID70のスプリングシートの上にそのまま置いてしまうと、外側に掛かる荷重で破断する危険性がある。

じゃあスプリングシートを取り外して、フラットなロックシートに差し替えてしまおう!

って事で、早速揃えた部品がこれらのパーツだ。

さあ、それでは早速リベンジの作業を開始しようじゃないか。


■実例紹介(作業編)

当然ながら、スプリングを交換するには、取り外した車高調を分解しなければならない。

この車高調は、テインのストリートアドバンスZと言うモデル。

純正アッパーマウントを再使用するタイプではあるものの、ご覧の通りクローズエンドのスプリングが着座する様に、アルミ製のアダプターが取り付けられている。

また、注意しなければならないのが、この車高調の場合、調整範囲の一番下までシートを下げておかないとプリロードが掛かっている。

このまま不用心にロッドのナットを外してしまうと、バネが弾いて大ケガをしてしまう可能性があるので事前にプリロードを抜いておくか、スプリングコンプレッサーを使用して分解する。

アッパーマウントを取り外すと、見慣れないと構造に驚くが、ベアリングの内臓されたタイプで、上下が分解出来る構造になっている。

今回、RIGIDのスプリングマウントシートを使用するため、アッパーマウントの下段のパーツを取り外して入れ替える必要がある。

分解は隙間にマイナスドライバーを挿し込んで軽く捻るだけで簡単に開くのだが、ベアリングがバラけて中のボールを紛失し易いので、箱や袋の中で扱った方が良い。

ショック本体側の細工は赤丸の部分ですが、ご覧の通りロックシート2枚でスプリングシート1枚を挟む形になっていますね。

実は、スプリングシートを外そうと思ったら何故かショックから引き抜く事が出来ない。

ここでまさかと思って冷や汗をかきましたが、ロックシートを挿し込んでみると、こちらは何の問題もなくショックに抜き差し出来ました。

そのため、スプリングシートは残したままロックシートを取り付けて、3枚重ね状態で組む事に。

あとは、ここにラルグスのID変換アダプターを挿し込んでやれば準備完了です。

ラルグスのアダプター内径は62mm、ショック外径は61.5mmなので僅かなガタはありますが、特に問題となるようなガタツキもなく、バッチリ取り付け出来ました。

組み立てたショックはこんな感じになります。

最後に、スプリングの遊びがない様にロックシートを調整して…って、これほぼ一番上まで行っちゃいましたね。

ちなみに、使用したスプリングのレングスは180mmです。

車高を下げようと思ったらヘルパー併用、上げようと思ったら少なくともレングス200mm以上のスプリングが必要になりますね。

次にリアですが、こちらは特に説明する必要もなく、スプリングの乗っかっているアームのナックル側付け根のボルトと、スタビリンクのナットを外してやればアームが開くので、スプリングを入れ替えて逆の手順でネジを締めて元通りに組むだけです。

RIGIDのリア用アダプターは上下2枚セット、左右で計4枚です。

基準スプリングがたまたまですが、レングス180mmのレート12kgf/mmとなっているので、テインの車高調機構は取り外して、上下共にRIGIDのアダプターに差し替えました…が!

何故かスプリングに大きな遊びが…。

このままではまずいので、結局テインの調整機構を再び取り付けた上で、ラルグスのID変換アダプターをリア側にも使用しました。

リアの車高は調整機構もあるので自由度が高いですが、フロントは現状固定状態ですかね。

タイヤとフェンダーアーチ間で指3本分くらい。

結構上がりましたが、前オーナーのセッティングだと低過ぎる気がしていたので、個人的には丁度良い車高かな?と思ってます。

こんな感じでスプリングのサイズをガラッと変えてしまう方法を紹介しましたが、アクセラの場合はアッパーマウントの都合と、それに合わせたテーパースプリングの上下内径が理由でID70用のスプリングシートになっています。

車高調によっては干渉を防ぐ目的で、仕方なく大きめのIDを採用している場合もあるので、構造には注意してスプリングサイズの選択をしてください。