RX-8に乗り換えて間もなく、一番最初に手を付けたのはホイールだった。
何しろ、RX-8のホイールはデカい。

前期型はベースグレードとタイプEが16インチ、タイプSとマツダスピードバージョンに至っては、一気に18インチとなる。
その後、中期からタイプEの標準が17インチとなり、後期型からはベースグレード(タイプG)とタイプEが17インチ、タイプSが18インチと言うラインナップ。
そして、あろう事かタイプRSと限定車のスピリットR(MT)については、19インチとなる。

直前までロードスターに乗っており、15インチと16インチを使用していたのだが、一気に3インチアップである。
初めてホイールを取り外した時、あまりのデカさと、その重さに「トラックのタイヤかよ!」と思った程だ。

この頃、と言うより最近の流行か、とにかくホイールのサイズアップが目立っており、RX-8も例に漏れずこんな物を採用してきた。
しかも、しかもだ。

このホイールのサイズ、19インチと言えば聞こえは良いが、リム幅が8.0Jとかなり貧相。
タイヤ幅は225標準で、無理矢理履かせるにしても245が限度。
まあ、245が履ければ問題はないかもしれないが、取り付けはできると言う話であり、有効に使える幅でない事は言うまでもない。

ただ、高級ホイールなので非常に勿体無い気がしなくもない。
BBS製と言われており、ワシマイヤーが手掛ける鍛造ホイールだ。
19インチとは思えない程軽く、ローターを彷彿とさせるディスクデザインも悪くない。

こいつが、せめて8.5Jあれば良かったのだが、これではタイヤ代だけ高くてちょっと使い難いサイズなので、インチダウンの方向でいこうと思う。

◆車検対応で攻める!

◆加工必須のチューナーサイズ

■車検対応で攻める!

何事も無く、無難に纏うつもりでもRX-8の懐は深い。

実際、前後295幅のタイヤを履こうと思えば、何の加工をする事もなく、普通に履けてしまう。
ただ、丁度いいホイールが手に入るかと言った問題が生じるが。

295はやり過ぎにしても、標準幅の225からベストサイズの245もっと攻めた265までを普通に履けるナイスサイズを紹介しよう。
紹介しているのは、全て18インチだ。

RX-8にベストなホイールサイズはどれくらいなのか?
持っているホイールを全て履かせて、簡単にレビューしてみよう。

 

RAYS CE28N 8.5J ET+47(前後共通)
許容タイヤサイズ225/45~245/40

こちらは一番最初に履かせた、レイズ・CE28Nで、この時のタイヤサイズは225/45R18の前後共通。
標準装備から1インチダウンとなり、インセットは純正ホイールと同じ+47を採用する事で、スクラブ半径に変更はなし。

スクラブ半径とは、テクニカルアドバイスの「トレッド幅とホイールベース」の中でも解説しているが、ステアリングを切った時のタイヤの前後への動きに影響を及ぼすもので、ホイールの中心とナックルとタイロッドエンドが接続されている付け根の距離。

このスクラブ半径が大きいと、ハンドルを切った時にタイヤが前後方向へ頭を振る範囲が広くなり、操舵性への影響や、タイヤハウス内側の干渉などの問題が生じる。
意外と、攻めたサイズでもはみ出さずに履ける事はあるが、ハンドルが切れなくなると言った症状が出る事が多い。
インセットで攻めるよりは、控え目のインセットでリム幅を増すのが基本とされているのもこのためだ。

少し話が逸れたが、このサイズであればリム幅の差だけで済むので、標準から6~7mm程外に出てくる感じ。
前後共に干渉はおろか、はみ出しの心配も全くないサイズなので、何も考える必要はなし。

入門には丁度良いサイズなので、これくらいから試してみるのが良い。

ここから先は少し工夫や調整が必要になってくる。
原則、車高調や最低限キャンバー調整は考慮しないと、場合によっては車検に通らないと言う可能性が出てくるので注意。

 

RAYS・CE28N & RE30 9.0J ET+35(前後共通)
許容タイヤサイズ235/45~255/40

こちらは245/40R18を履かせるためにリム幅を9.0Jへ拡大。
最初にCE28Nを選択したが、リアの爪折りをする事もなく、普通に履ける事が確認できたので、RE30を追加購入した。
どちらもサイズは全く同じなので、何の問題もないが、恐らく車検対応範囲で履ける限界サイズとなる。

フロントはほぼ完ぺきなツライチとなり、車高を下げて少しネガティブ方向にキャンバーを付けていないと際どいのだが、レイズのこのシリーズはディスク面がリムから引っ込んでいるのでクリア出来る。
もし、ディスク面のスポークがリムとフラットなデザインであれば車検非対応となるので、履かせる時は要注意だ!

ただし、フロントがツライチになる都合上、リアをもう少し攻めたくなるので、ここに達すると恐らくホイール選びが止まらなくなる(笑)
一時的にレイズ15mmワイドトレッドスペーサーを併用して、ギリギリ爪を避けるキャンバー角へ調整したところ、辛うじて無加工で履けているので、車体に手を加えたくない人はこの仕様が完成形となりそうだ。

ちなみに、RE30の方が若干重たいが、レイズはCE28Nより剛性に優れると謳っている。

 

RAYS・CE28N 9.0J ET+22(リア用2本のみ)
許容タイヤサイズ235/45~255/40

上記の発展版。
フロントには無理なサイズなので、リア用となる。

先程述べた通り、フロントに9.0J+35を履かせると、同じインセットではリアが引っ込んで見えるので、スペーサーで対応していた。
そこを、ソリッドで履かせるために探してきた、インセット+22と言うサイズ。
フロント+35、リア+22で前後共にツライチとなり、かなり気合の入った仕上がりに。

 

マルカサービス・A-TECH・FINAL SPEED Zephyr 9.5J ET+38/+35
許容タイヤサイズ245/40~265/35

実はまだまだイケる!
2017年6月の法改正により、タイヤの外端部分であれば1cmまでのはみ出しはOKとなった。

勘違いしないで欲しいが、ホイールがはみ出してはいけない。
あくまでも、タイヤのゴムの部分であれば問題ないと言う解釈である。

それにより、リムガード部分が無視出来るので、キャンバーを少し起こしてホイールが収まる角度まで持って行けば、9.5J+38と言うサイズがフロントに無加工でぶっ込める。
対して、リアは爪折り必須となるが、この辺りのチューナーサイズからはある程度の諦めは必要と言う事で、覚悟を決めよう。
リアには9.5J+35で対応できる。

タイヤサイズは前後255/40R18もしくは265/35R18が履ける。

ちなみに、このA-TECHのゼファーと言うホイールだが、実勢価格はウェッズのSAシリーズと大差ない。
サイズの都合で選ぶか、余程デザインが好きでなければ、正直言って買う理由が見当たらないホイールなのだが、どう言うわけかちょこちょこと大安売りをする事がある。

なんとこれ、4本送料込み21000円である(笑)

ただし、有り得ない程重いと言う致命的なデメリットを秘めているので、本気で使うホイールには向かない。
9.5J+38であれば、ウェッズのSAシリーズやエンケイ・パフォーマンスラインにラインナップされているので、通常であればそちらをお勧めしたい。


■加工必須のチューナーサイズ

爪折りは当たり前!
場合によっては、フェンダーの叩き出しやオーバーフェンダーも厭わない!

そんな覚悟を決めた者であれば、極端な話、もはや履けないホイールなど存在しない(笑)
…が、ここではやり過ぎず、小加工や工夫でなんとか履けると言うサイズを紹介したい。

ただし、車検に通る保証はないサイズとなってくるので、履かせる場合は自己責任で。
原則、展示用途やサーキット走行に限定したサイズだと割り切って見てほしい。

 

RAYS・CE28N 9.5J ET+28(前後共通)
許容タイヤサイズ245/40~265/35

履けるタイヤサイズは265!
手前のホイールが9.0J+35で、奥のホイールが9.5J+28となる。

単純にこの差だけで14mm強も外に出てくるので、何もせずに履けるサイズではない事は想像出来ると思う。
このサイズは、所謂GTRサイズと呼ばれている領域になり、標準のまま履ける車は限られてくる。

このサイズを履かせるために、前後共にフェンダーを片側15mm叩き出し加工を行い、車体寸法の変更を運輸支局で申請して公認を得る。
フェンダーを15mm叩き出すだけ(?)でなんとかなるので、まだまだ引き返せる範囲で止めておくなら、この辺りで目を覚ました方が良い(笑)

 

RAYS・CE28N 9.5J ET+22/+15
許容タイヤサイズ245/40~265/35

いざフェンダーを叩き出すと、もう少し余裕がある事に気付く。
そこで、フロントにインセット+22、リアに+15を履かせる事に。

リアは問題なく収まるのだが、トラブルの発生したのはフロント側である。
とりあえずフェンダー内に収める事は問題ないのだが、冒頭で言ったスクラブ半径は、この時点で片側25mmも拡大している。
何が起こったかと言うと、フロア側の鉄板の溶接合わせ面と、更に奥のフレームにタイヤが思いっきり干渉して、ハンドルが切れないのだ。

そこで、板金屋に持ち込み、問題の個所を叩いて処理してもらった。
これにより、タイヤの稼働範囲に干渉する物がなくなり、ハンドルを切る事が可能となる。
この辺りの部分、事前に法令関係を調べておいたのだが、どうやら切ったり繋ぎ直したりと言う無茶な加工でなければ問題にならないらしく、角の出っ張っている部分を叩いて少し凹ませるくらいは大丈夫との事。

RAYS CE28N & RE30 9.5J ET+21/+15
許容タイヤサイズ245/40~265/35

おまけ情報であるが、フロント+22を回避したので余った+28の再利用のため、7mmスペーサーで+21相当をチェックしてみた。
この辺りも問題ない。

また、リアはCE28Nと同サイズのRE30+15を採用してみたが、前後違いはマッチングがイマイチ。
フロント用のサイズが手に入るまでお蔵入りである。

ちなみに、CE28Nと異なり、RE30はこのサイズになっても専用のディスクデザインを有しておらず、スポークはフラット。
CE28Nの様に反りの入ったデザインであれば、より迫力が出そうなのに、ちょっと勿体無い。

 

Weds Sport SA-15R 9.5J ET+25/+12
許容タイヤサイズ245/40~265/35

レイズのCE28Nばかりだとバリエーションが少ないので、ウェッズのSA-15Rを採用してみた。
フロントには5mmスペーサーでインセット+20相当で装着するが、辛うじてクリアしている。

かなり安価に入手可能なホイールであるが、デザインも質感もなかなかのホイールで、これくらいのサイズになるとコンケイブも迫力がある。

ご覧の通りかなりの反りで、見るからに太いホイールである事を猛烈にアピールしてくれる。
同じ9.5Jでも、主流のインセット+38では角度が甘い。

 

気になるホイールは見付かりましたか?
…とは言っても、銘柄のバリエーションが少ないのでイマイチ参考にならないかもしれませんが、なんとなく履けるサイズは伝わったでしょうか?

ノーマルでも10Jクラスを履かせる人もいるので、インセットなど入念に考慮すればもっとバリエーションは広いと思います。

ホイールサイズのフィッティングを予測するのに便利な計算表を作りましたので、下記からダウンロードしてご自由にお使いください。
ホイールだけを考慮した表は見掛けますが、キャンバーやタイヤサイズの変更まで考慮した物が無かったので、その辺りの変更点にも対応しています。

ホイールサイズ計算表(wheel_offset.xlsx<12.6KB>)ダウンロード

RX-8だけでなくどの車種にも使えますので、入力されているホイールやタイヤサイズ、キャンバー角など、ご自分の車に合わせて変更してください。