ブレーキパッド交換は比較的簡単な作業なので、車好きな人なら自分でやるって人も多いと思いますが、不適切な取り付けは重大な事故を引き起こす可能性がある保安部品となりますし、作業自体も分解整備に該当するので、本来は素人が安易に作業して良い場所ではないです。
なので、ブレーキの構造自体が理解出来ない人、作業に不安がある方は、慣れた方に手伝ってもらうか、無暗に作業を行わない様にしてください。
また、作業後は必ずペダルの踏み代や違和感などがないか入念な確認を行ってから車を動かしてください。
■パッド交換の難関
ブレーキパッド交換の作業では、キャリパーをフリーにした後、古いパッドをキャリパーサポートのガイドから抜き取ります。
ここへ新しいパッドを取り付けて、キャリパーを元通りに固定する…だけなのですが、意外と大変なのが「キャリパーピストンを戻す」と言う作業。
KTCやスナップオンなど、工具メーカーから専用の工具も販売されており、それを使えば解決!…なのですが、これが意外と馬鹿にならないくらい、クッソ高いんだ(笑
エアーツールだったり、トリガー式だったりと色々とあるが、シンプルなネジ式でも2万円とかですよ。
整備工場は商売道具なので普通に持ってるって事も多いが、プライベーターだとテキトーな汎用ステーで自作ですよ!とか、有無も言わさずプライヤーで押し込む!と言うのが定番となっている。
そしてもう一つ、一番の問題はリアのキャリパーピストンだ!
構造にもよるので、中にはフロント同様に押し込むだけで良い物もあったり、NA・NBロードスターの様にキャリパー裏のフタを開けて六角レンチでクルクルと巻き戻すタイプもあるが、主流なのはピストンを捻じ込むタイプだ。
こいつは、ラジオペンチやロングノーズプライヤーをピストンの溝に引っ掛けて回すと言う方法を取る人が多いが、滑り易いためピストンを傷付けてしまったり、手を滑らせると自分の手を突いてケガをすると言う事もあり、お勧めできない。
こいつをどう片付けるか?と言う問題を解決するのが、今回ご紹介するアストロプロダクツの「キャリパーピストン・ワインドバックツール」と言うSST。
ワインドバックとは、その名の通り「巻き戻す」と言う意味で良いと思う。
アンワインドじゃないのかな?ワインドバック…、まあ、意味が通じればどっちでも良いですが。
使い方は簡単だ!
同様のツールはブレーキピストンキューブなどと言った名前で売られている、立方体に突起の付いた工具があるが、あちらはラチェットやTハンドルなどに取り付けてピストンを捻じ込むと言った物。
以前はそれを使用していたのですが、使った事のある人ならわかると思うが、ピストンを押しながら回さなければならないので、安全ではあるが作業性自体はラジペンよりマシと言ったレベルで、思ったほど楽ではない。
ちなみに、キューブは1000~1500円ほど。
こちらのセットは4000円前後の相場なので、そんなに高くはないと思う。
何より、作業性がまるで違うので、差額の価値はあると考えているが、あとは予算と各自の価値観と言う事になる。
■実際に使ってみる
まずは、実際のリアキャリパーを確認してみよう。
こう言うタイプですよ!
赤丸で囲んだ部分に溝が切ってあり、ここにプライヤーの先端を引っ掛けて捻じ込むと言うのが素人の定番作業となる。
しかし、先程も言った通り、非常に回し難く、手を滑らせるとピストンを傷付けてしまったり、ケガをする恐れがあるので、できれば避けたい作業である。
んで、登場するのがワインドバックツールとなるわけですが、使い方は簡単。
複数のサイズのプレートが同封されているので、その中からまずは適合するサイズを探します。
上の写真の様にプレートの表面に突起があるので、ピストンの溝に合わせて被せると、ピッタリ嵌る物があるはずです。
指で軽く回してみて、しっかりと溝に引っ掛かる事を確認したら、工具を組み立てます。
■あとは回すだけ
組み立て方は簡単!
本体のハンドルに、パッドの形をした背板をハンドルの上部から挿し込み、胴体のナット部へ。
次に、先程選んだプレートを、本体の先端にセットします。
本体の先端は磁石になっているので、乗せるだけでセット完了です!
ちなみに、これはフロントにも対応しており、突起のない平たいプレートがセットに含まれているので、そちらを使用すればフロントのピストンを押し込む事ができます。
これを使えば、プライヤーで掴めないアルミ製のキャリパーや、綺麗に塗装したキャリパーにも傷を付ける事無くピストンを押し戻す事が可能ですね。
組み立てた工具を上の写真の様にキャリパーへセットします。
本体のナット部を時計回りに回せば先端との距離が狭くなるので、キャリパーの受け側とピストンの間に入れる事ができます。
次に、ナット部を反時計回りに回せばキャリパー内側で工具が固定されるので、プレートの突起がピストンの溝に掛かった事を確認してください。
工具のセットが完了したら、あとはハンドルを時計回りに回すだけです。
写真の様に本体ネジ部が回転すると、プレートも同じ方向に回るので、ピストンが捻じ込まれていきます。
この時、背板は受け側へ向かって伸びようとするので緩みません。
工具をピストンに向かって押さえ付ける必要もなく、ハンドルを回すだけで楽にピストンを戻す事ができます。
ピストンを戻し終えたら、背板を取り付けたナット部分を指で掴んで時計回りに回してやれば、受け側に押し付けられていた背板が緩むので、キャリパーから工具を取り外せば作業は完了です。
そう。無くても作業は出来るし、そんなに頻繁に行う作業ではないので、無理に買う必要はない…と考える人も多いと思いますが、いざ作業する時にコイツが手元にあると「買っててよかったー!」ってわりとマジで感じますよ(笑
それくらい楽なんです!
値段もそんなに高くはないので、持ってて損はしない工具だと思いますよ!
おススメです!
■総合評価とラインナップ
説明書も付属しないので、箱を開けて見た時はちょっと使い方に悩む工具。
しかし、キャリパーを確認すれば直感的に使い方を理解出来ると思うので、そんなに不親切な印象は受けない。
工具自体はメッキや塗装もされておらず、届いた時に素手で触れると加工油か何か付着している事からも、水に濡らしたりした場合は油を塗布するなど、保管に気を付けないと錆びる可能性が高そうである。
ただ、本体のネジ部を除いては、少々錆が出たからと使えなくなる物ではないので、並の保管方法で良いと思う。
専用ケース付きなので、保管時も工具箱を圧迫する必要もなく、必要な時だけ引っ張り出してくれば良いのはGood!
初めて使うと、感動するくらいピストンの巻き戻しが楽なので、手放せなくなる事間違いなし!
かなりお勧め度は高い。
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