■目次

◆リジカラの仕組みと効果

◆実際に取り付けてみた

◆手間や費用に対する効果は…

■リジカラの仕組みと効果

最近の若者は我々おっさん世代に比べて賢いですし、インターネットも普及しているので情報収集も効率的で、良い物悪い物の判別にも長けている印象。

何も考えずにいきなり鉄板内装にしてロールケージ!なんて人は減った気がします(笑)

もちろん競技のレギュレーションの制約や、実際に必要性を感じて付ける場合は別ですが、チューニングも必要最小限で、気に入らなければ気軽に元に戻せるスマートな方法が現代の主流になってきた様に思います。

ボディ補強も昔の様に車室内からフロア下まで棒だらけなんて事はなく、美観や利便性を損なう事無く効果的な方法が取られています。

その中でも代表的なパーツが、リジカラではないでしょうか。

類似した商品や、カラー付ナット(メンバーロックナット)など理屈上同等の効果を狙った物など、メンバーの動きを抑制する類のパーツの効果や仕組みを見ていくついでに、実際に取り付けてその効果を確かめてみたいと思います。

写真はNDロードスターですが、車を下から覗き込むと多少構造は違えど似た様な感じになっていると思います。

ボディにメンバーがぶら下がっている構造ですね。メンバーにボディが乗っかっているとも言えると思います。

メンバー、所謂シャシー部分とボディは一体構造ではなく、ボルトやナットでボディと連結されており、リジカラやカラー付ナットを取り付ける部分はそのボルト・ナットが対象となっています。

ボルト・ナットをカラー付の物に取り換えるとか、ボディとメンバーの間に挿し込んで締め付けると言った取り付け方法になるのですが、そんなモンで何が変わるのよ?

まずはこちらの図を見てほしいのですが、ボディから突き出したボルトに、メンバーがナットで固定されている図を示しています。

左の標準ナットで締め付けていても、走行に差支えはありませんし、アライメントもきちんと調整可能なのですが、製造上の都合からメンバー側のボルトを通す穴はボディから出ているボルト径よりも一回り広いのが一般的です。

右の図をご覧頂きたいのですが、その隙間を埋めて、よりガッチリ固定しようと言うパーツが、リジカラやカラー付ナットの目的となります。

カラー付ナットはメンバーとボルトの隙間を埋めてよりガッチリ固定すると同時に、メンバーの位置を矯正してしっかりセンターを出してくれます。

リジカラはカラー付ナットの効果に加えて、メンバーとボディの間にも作用して強固に固定する効果と、ボディとメンバー間の僅かな隙間や歪みも埋めてよりガッチリさせようと言う効果を狙った物になります。

これだけ聞くと、すっげー効果がありそうでしょう?

んじゃ、実際標準ナットで固定されたメンバーは剛性が低いのか、走行中にズレるのか?って疑問に思うところなんですが…

たぶん事故でも起こさない限り、そんな事はまず起きない(笑)

なんだよ、それじゃあただの気休めかよ!って思うかもしれないが、一概にそうも言い切れないんですよ。

隙間があったら動くのか動かないのかで言えば動かないのでしょうけど、力の掛かり方、伝わり方の差は確実に出るでしょうから、ぶっちゃけ良いのか悪いのかと言った判断は出来ないが、体感として違いはある。

実際違うんですよ。付けてみればわかる、としか言えませんが。

ただ、どちらも金属ですからぐにゃぐにゃ動くわけではありませんし、メリットがどれ程あるかは疑問です。

それとは別に、明らかに効果のあるパターンもあります。

こちらはRX-8のリアメンバーを固定するスペーサーなのですが、主にリアメンバーカラーと言った名前で複数のショップから色々な車種用に同様の商品が販売されています。

ただ、私がその中からRX-8ユーザーにオススメするのは、現状ではLEG MotorSportのスーパーリアメンバーロックだけです。

他のショップに比べて価格は倍程するので何よこれ?って思うかもしれないが、唯一、メンバーの上下にスペーサーを取り付ける構造をしており、他のショップはメンバーの下側のみの設定になっているからです。

単純なセンター出しやボルトとナットの隙間を埋めるだけなら他のショップの商品でも効果はあると思うのですが、RX-8のリアメンバーにはちょっと問題があるんです。

実際にはRX-8だけと言うわけではなく、BRZなどもそうですが、一部の車種はメンバーが直接ボディへ固定されておらず、ゴムブッシュが付いている物があります。

ブッシュには金属製の筒が通っており、センターは出せると思いますがリジカラの様な構造でも動きは抑えられないので、軸となる筒を押さえつつメンバーと接触させるか、ゴムブッシュとメンバーの隙間に嵌ってブッシュの横の動きを完全に止められる構造になっていないとメンバーの固定は出来ない。

ちなみに、明らかにぐにゃぐにゃしたこの動きを止めると、アクセルに対するダイレクト感やコントロール性は増すので”スポーツ走行”に於いては確実にメリットとして働きます。

ただ、段差などでのゴツゴツ感や走行ノイズは大きくなるので、タウンユースならデメリットと成り得るので注意が必要です。


■実際に取り付けてみた

理屈を理解したところで、実際に車へ取り付けてみたいと思います。

今回取り付けるのは、リジカラではなく、LEG MotorSportのスーパーメンバーロックナットを選びました。

部品の価格自体はリジカラの方が随分安いですが、作業難易度はナットを取り換えるだけで済むロックナットの方が明らかに楽だと思います。

もう一つ気になるのは、リジカラはアルミで出来ているのですが、異種金属を挟んで電蝕が起きないのか心配なので無難にロックナットを選んだ形です。

実はロックナットはRX-8でも使っていたので、取り付け時に結構メンバーが動く事、乗ってみて違いを体感出来る事は確認済みなのですが、今回はロードスターで改めて確認してみましょう。

まずは取り付け位置を確認。

こちらはフロントですが、赤丸のボルトを緩めておきましょう。

ロックナットと差し替えるナットは矢印で示したロアアーム前方付け根の前後にありますが、下から覗き込まないと見えにくいです。

とりあえず左右、2本のボルトと4本のナットを緩めてから、ナットを1つずつ交換して、最後に全6か所を増し締めして取り付け完了となります。

運転席側の1本だけ、何故かスタッドボルトが超長いので、超ディープソケットがないとトルクレンチが掛けられないので、適切な工具を用意するか、メガネレンチを使って大体で締め付けるかと言った感じになると思います。

庭先でも難易度はそれ程高くはないものの、ウマに掛ける必要があるので結構面倒。

締め付けトルクは145N/mとなっています。

こちらはリアですが、フロントに比べるとナットも見え易いので楽な印象。

矢印で示した辺りに左右計6ヶ所あるので、全て緩めてから1つずつ交換しましょう。

締め付けトルクは125N/mとなっています。

最後に、緩めた全てのボルト・ナットがしっかり締まっているか確認しておきましょう。

効果についてですが、体感として段差を越えた時の振動の質が変わります。

衝撃はどこかマイルドになった様な感じですが、ボディ全体が振動している様なフィーリングになるので、果たして良いのかどうかと言われると微妙。

また、ハンドルは少し重くなった様に感じます。

ダイレクト感が増したと言った感じだと思いますが、良く言われる接地感が良くなったとか、クイックになったと言ったグリップや動きその物が良くなる様な変化はありません。

微妙な手応えを感じ取り易くはなりますので、ちょっと車がしっかりした様な印象は受けます。

とは言っても、激変と言える様な大きな差ではないので、雑誌の謳い文句やレビューを見て過剰な期待はしない方が良いと思います。

違いを感じる程度の変化はありますが、取り付けたからと言って速くなるわけでも、快適になるわけでもないのです。


■手間や費用に対する効果は…

作業内容としては、位置を把握してナットを交換するだけなので、解説は先程の様にシンプルになってしまうのですが、具体的に取り付け部がどうなっているのかお見せしたいと思います。

まずは、先程の項で示した部分にあるナットを確認しましょう。

赤丸で示したのはリアメンバー後方のナットですが、外から見る分には普通です。

とりあえず外してみましょう。

先程の写真と場所が違うんですがね(笑)

一番写真が撮り易かったので、リアメンバー前方のナットを外したところです。

写真では伝わり難いのですが、ボディ側から突き出しているボルトが、メンバー側の穴に対して中心がズレています。

また、ご覧の通りボルトの径に対して随分穴が大きい事が分かると思います。

この隙間を埋め、きちんとセンターを出してくれるのがカラー付ナットと言うわけです。

左の標準ナットと違い、筒状になった部分がボルトとメンバーの隙間に入ってガッチリ固定してくれると言うわけです。

これを実際に締め込むと、ズレていたメンバーがジャリジャリと音を立てて結構動くので、一度見ちゃったら仮に効果が無くても、気分的には車を乗り換える度にやりたくなる作業になるかと(笑)

当然ですが、メンバーが目視で分かるくらい動くためアライメントも大きく狂いますので、作業後はアライメント調整を行いましょう。

アライメント調整の予定があるなら、調整前にこの作業を済ませておかないと二度手間となりますのでご注意ください。

交換後はどんな感じになるのか…

ナットの色が変わっただけで、知らなければ何が変わったのかわかりませんね(笑)

この様に非常に地味なパーツなので、なかなか5万円も払って買おうって人が少ないのもなんとなく頷けますし、実際ちょっと価格は高いですよねえ。

リジカラの方が価格は安いですが工賃が高く、ロックナットの方は価格は高いが工賃は安いので、トータルで計算するとどちらも6万円前後とほぼ同じくらいの金額になります。

効果もほぼほぼ同じなので、好みで選んで差し支えないと思います。

…が、あくまでも私の価値観とお断りした上でアドバイスさせて頂くなら。

コレに払えるお金があるなら、タイヤを買う方が正解だと思います(笑)

効果が無いと言っているわけではありませんが、費用対効果が薄いと言う点、効果その物が曖昧で、変化は確かに感じるが良くなったのか悪くなったのか判断が難しいと言う点では、もっと確実な物にお金を掛ける方が正解だと思うからです。

ただ、メンバーのセンター出しと言う目的で使用する場合に於いては確実に効果を発揮するので、後者の理由で取り付けるのであればアリだと思いますが、これについてもメンバーの位置を矯正するだけにしてはコストが高過ぎると言った印象は否めません。

しかし1つだけ例外があり、もし、自分でリジカラを取り付け出来るのであれば、かなり安価に試せる補強なので買ってみるのもありだと思いますよ。