ホイールのセンターキャップは付ける派、付けない派に分かれると思いますし、付いている方がかっこいいデザイン、無い方が良いデザインなどなどタイプは様々なので迷うところですよね。
ただ、キャップは付けた方が良いのかどうかと言う話になれば、サーキット走行など安全上の問題で使用禁止と言う場合や、そもそも取り付け不可な構造になっている場合を除いて、普段は付けておいた方が良いのではないかと思います。
その理由はハブの錆防止、錆びたハブが穴から覗いてみすぼらしく見えない様に…なんて単純な理由ですが(笑)
ホイールナットも貫通より、やはりボルトの錆防止のためには袋ナットの方が良いでしょう。
ただ、どうしても”デザイン”上の問題もあるので、結局は好みでと言う結論になりますが…
今回はそのセンターキャップを是非付けたくなる様に、ホイールに似合うキャップが無いなら自分で作っちゃおうぜ!ってネタをご紹介したいと思います。
今回は”純正風”に加工する例となりますが、キャップのベースに使える便利な汎用キャップの紹介や、ホイールに付属のキャップを加工してベースを作ってしまおう!と言う話題なので、参考にして是非オリジナルのキャップを作ってみてください♪
■汎用キャップで手軽に作成しよう
汎用キャップを使用する場合は、必要部品を一通り揃えたらいきなり完成!って話で終わっちゃうんですがね(笑)
ベースが出来上がったら、後は既製品のキャップ用ステッカーや純正キャップからオーナメントを移植して貼り付けるとか、オリジナルデザインの場合はカッティングシートなどで作成した物を貼り付ければ完成って事になるのですが、問題はベースとなるキャップのサイズですよね。
センターキャップのサイズはメーカーによって様々ですし、同じメーカーの同じホイールでもサイズによって異なると言うパターンもあるので、何でも付くわけではない点に注意が必要です。
ホイールのカタログでハブ径を確認しても、ハブ径がそのままキャップの径と一致するとは限らないので困りますが、対応するキャップがオプションや補修部品として供給されているメーカーなら、キャップの寸法が細かく記載されていたり、不明な場合はメーカーに問い合わせると教えてくれる場合もありますし、ノギスで実測を確認するのも良いでしょう。(一例ですが、レイズとエンケイは教えてくれましたが、ウェッズからの回答はありませんでした)
今回の例では、エンケイのRPF1RSと言うホイールに合うキャップを作ってみたいと思います。
ホイールサイズは15インチの8J ET28となっており、メーカーカタログではハブ径φ75と確認できましたが…これがキャップサイズは約φ64(ホイールのセンター径は約65mm)となります。
ハブ径と全然違うでしょう?(笑)
必要部品はこんな感じ。
ベースの汎用センターキャップと、オーナメントプレート、プレートに貼り付けるステッカーやオーナメントを流用する場合は純正センターキャップなど…と言ったところ。
私がエンケイ・RPF1RS用に用意したキャップは外径68mm、取り付け部外径64mm、高さ20mm(爪部含む/キャップ外寸は15mm)の汎用キャップです。
中央のステッカーを貼り付ける窪みの径は50mmでしたので、50mmのプレートを用意します。
他にも外径58mmの物や60mm、65mm、75mm…などなど、結構細かいサイズ設定があるので、大体のホイールはオリジナルキャップが作成可能です。
径だけでなく、メッキタイプだったり、形状も立体的な物やフラットタイプなどがあるので、イメージに合った物を選ぶと良いでしょう。
尚、私の場合はキャップに貼り付けるプレートを別で用意しましたが、中には既にメーカーロゴがプリントされた物やカーボン柄などのプレートが取り付け済みのキャップもあります。
まあ、今回は純正風キャップの作成例を紹介するので、どうやって作るのか参考にご覧頂ければと思います。
1.純正キャップからオーナメントを分離する
まずはデザイン面に貼り付けるオーナメントを用意するため、純正キャップからオーナメントを分離します。
キャップのタイプによってはベースのキャップから分離出来ない構造の物もあるので、ヤフオクなどで検索して都合の良いキャップを探すと良いでしょう。
マツダのキャップは爪で固定されているだけなので、裏側から爪を押してやれば簡単にオーナメントを分離出来ます。
2.オーナメントの爪折り
加工に自信のある方は、ベースの汎用キャップに爪用の穴開け加工をして取り付けるとスマートで良いかと思いますが、手軽に作成したい場合は裏面をフラット化して両面テープで貼り付けるのが一番楽だと思います。
爪や位置決めピンなど、裏面の出っ張りを折るか削るなどの方法で除去します。
3.裏面を平らに整える
指で爪を倒す様に折り曲げれば綺麗に折れる物が多いですが、ニッパーでカットして、残ったバリをカッターや棒ヤスリで削るなどの方法でも構いませんので、裏面を平らに整えてください。
4.オーナメントに両面テープを貼り付ける
平らに整えた裏面に、耐水性のある屋外用両面テープを貼り付けます。
なるべく幅広の物が好ましいですが、狭い幅の物しかない場合は、写真の様に数段に分けて貼り付けると良いです。
上手く両面テープが貼れたら、外側にはみ出している部分をカッターやハサミで綺麗に切り取ってください。
5.オーナメントをプレートに貼り付ける
両面テープの剥離紙を剥がして、プレートにオーナメントを貼り付けます。
上手く中央に貼り付けられる様に慎重に行ってください。
貼り付けたら、剥がれない様に全体をしっかり指で押さえて密着させましょう。
6.余分なテープ部分を刳り貫く
お気付きだと思いますが、このままではオーナメント内側に両面テープが残っているので、余分な部分はカッターを使い、縁に沿ってカットします。
カッターで一通り縁をカットしたら、後は指で摘まんで剥がしてやればご覧の通り!
これでかっこいいプレートが出来上がりましたよ♪
7.プレートをベースのキャップに取り付ける
キャップ用のプレートは、裏面が強力な糊付けになっているので、このままキャップに取り付け可能ですが、糊無しタイプのプレートを使う場合は自分で両面テープを貼り付けるか、接着剤を使用する事になると思います。
貼り付ける準備が出来たら、ベースのキャップにバシッと付けてやれば完成です!
両面テープは弾力があって、ちょっとカットし難いので、どうしても縁に荒さが出てしまいますが、しばらく使っている間に少し縮みますし、汚れなどでほとんど目立たなくなるのであまり気にしなくて大丈夫です(笑)
それでは早速、出来上がったオリジナルキャップをホイールに取り付けてみましょう♪
さあ、どんな感じになるかな~?
じゃーん!
どうです?かっこいいでしょう?
ホイールに付属のキャップが無地のフラットタイプなどの場合は、汎用キャップを使わなくても単純にオーナメントを移植したり、オリジナルのステッカーを張り付けても良いかと思います。
エンケイのRPF1RSの場合は、オプションのキャップが結構高価なのですが、今回の例ではオプションのキャップ1個分の値段で作れちゃいました♪
単純にケチる目的で作るのもありかも?なんて(笑)
■専用キャップを加工してオリジナルキャップのベースに
汎用キャップにちょうど良いサイズや好みのデザインが見付からない場合や、付属している専用キャップを上手く活用したい場合など、理由は様々ですが加工してベースを作るパターンをご紹介しましょう。
今回はレイズのTE37Vに適合するキャップを、レイズの純正アルミキャップを加工して作っちゃいましょう!
無地のフラットタイプならそのまま使うか、色を塗ると言った方法もありますが、ロゴが彫られている場合は…?
1.キャップの足付けを行う
早速ですが、ロゴをパテで埋めるため、まずはロゴ周辺を重点的にサンドペーパーで水研ぎして足付けを行います。
使用するサンドペーパーは200番台の荒目の物で一気に荒して、400~600番程度の物で少し均しておく程度で良いです。
ちなみに、このタイプのキャップはゴムのOリングが付いているので、作業を進める前に取り外しておきましょう。
2.ホイール用アルミパテを使おう!
エポキシ系のパテなら何でも良いのですが、後から塗る色によってはせっかく埋めたロゴが透けて見え易い場合があるので、なるべくアルミと同色のホイール用パテを使うのが好ましいです。
何より安価で少量が売っているので使い易いです。
使用するパテによりますが、混ぜる主剤と硬化剤の比率は説明書の指示に従って練ってください。
この手のパテは混ぜる量が雑過ぎると本当に硬化しないので…。
今回使ったホルツのアルミパテの場合は、主剤と硬化剤を板の上に一直線に出した際に、大凡”同じ長さ”になる量を混ぜ合わせます。
“同じ量ではない”ので注意!
3.パテを盛ってロゴを埋める
パテでロゴを埋めます。
キャップの形状にもよりますが、完全な平らではなく少し表面が丸みを帯びているため、綺麗に埋め難いです。
ちょっと見た目は雑ですが、たっぷり盛って確実に埋まる様に塗りました。
盛り過ぎると後から削るのが大変なのですが、一回で埋まらなかったら硬化後に追加でパテを盛る事になるため、時間が掛かります。
どちらが良いかは時間を掛けて作るのか、短期間で仕上げたいのかで違うと思うのでお好みで。
4.オーナメントを準備する
パテの硬化時間は12~24時間と言った物が多く、今回使ったホルツのアルミパテも12時間となっていたため、翌日まで待機となります。
なので、硬化を待つ間にオーナメントを準備しておきましょう。
先程の汎用キャップの作成例と同じく、純正キャップから分離したキャップの裏面を平らに整え、両面テープを貼り付けておきましょう。
5.ちょっと一休み(笑)
こちらは幅広のテープを使用したのでカットし易いため、貼り付ける前にオーナメント内側を刳り貫いておきました。
ここでアドバイスですが、オーナメントを貼り付けた際に、自然でまるで純正の様な雰囲気に仕上げたいなら、なるべく両面テープは薄い物が良いです。
かと言って、薄すぎるとキャップ表面の微妙なカーブに対応出来ず、剥がれる可能性があるので、0.8~1.0mmくらいがお勧めです。
6.硬化したパテを削る
パテの混合に失敗していなければ、翌日まで放置すれば確実に硬化しているはずです。
サンドペーパーを使って、水研ぎで気長に削っていきましょう!
こんな小物ですが、結構時間が掛かりますので、ポータブルDVDプレーヤーなどを用意して、映画でも見ながらのんびり作業するのが良いかと(笑)
冗談ではなく、4個整えるのに約2時間掛かりました…。
7.表面を滑らかに仕上げる
荒目のサンドペーパーで一気に削ったら、ある程度整った所で細目に替えて指先で凸凹を感じず、爪も掛からないレベルまで表面を整えてください。
多少の巣が出来ていたり、いくら滑らかに整えても僅かな凸凹など残ると思いますが、上からオーナメントを貼り付けると目立たなくなるので、あまりシビアに考えなくても大丈夫です!
8.金属キャップの下地には必ずメタルプライマーを!
キャップが樹脂ならプラサフを吹いておけば問題ありませんが、今回の場合はアルミ…おまけにアルマイトも残っているので塗装が乗り難いです。
なので、メタルプライマーを入念に吹き付けておきましょう!
タイプの違う塗料だと塗った時にひび割れを起こしたりする場合があるので、上塗り用のスプレーとメーカーを統一していた方が安心かも?
私はアサヒペンの高耐久ラッカースプレーを好んで使うので、メタルプライマーもアサヒペンを用意しました。
塗料や溶剤の知識があれば、メーカーが異なっても相性の判定は出来ると思いますが…。
9.下塗りを行う
塗装のコツは、以前の暴挙…いや、シルビアの全塗装にチャレンジした際の記事に書いているので、是非参考にしてください。
まずはパーツクリーナーで脱脂し、下塗りとなるプライマーを吹き付けます。
完璧を求めるなら、サフも吹き付けて微小なキズや段差を埋めると良いかと思いますが、先程も言った通りそれ程目立たないので、私の場合はそこまで気にしません(笑)
乾燥時間は20分程度となっていますが、10分くらい置いたところで再び重ね塗りをして入念に下塗りを行っておきます。
10.上塗りを行う
プライマーが完全に乾燥したら、色を塗りましょう。
今回選択したのはマットブラックなので、斑にさえならなければ失敗はし難い色です(笑)
小物なので比較的難易度は低いですが、メタリックやパール、一発でツヤツヤの塗装に仕上げたいと言った場合は慣れていないとちょっと難しいかも?
これも一気に色を乗せようとせず、数回に分けて少しずつ重ねていきましょう。
しばらくは埋めたロゴが透けて見えると思いますが、3、4回重ね塗りをした辺りでほとんど見えなくなると思います。
厚塗りし過ぎるとひび割れし易くなるので、あまり神経質になって吹き過ぎない様に注意!
塗り残しがなく均等に色が塗れたなら、おまけにもう1回、くらいで止めておくのが良いでしょう。
11.仕上がりの確認
塗装が完全に乾燥したら、あとはオーナメントを貼り付けるだけなのですが、後から塗装の手直しは難しいので、オーナメントを貼り付ける前に再確認しておきましょう。
ご覧の通り、バッチリ仕上がっていますが、角度を変えて見るとうっすらとロゴが透けて見えたり、僅かな凸凹があったりと、余計な事に気が付いてしまうかもしれません(笑)
ただ、何度も言いますがオーナメントを貼り付ければ目立たないので、完璧を求めるより”許容できるレベル”かどうかで判断した方が良いでしょう。
要するに、明らかな液だれや塗り残しがないかと言ったチェックです。
12.オーナメントを貼り付けて完成!
塗装に問題なければ、最後にオーナメントを貼り付けて、最初に外しておいたOリングを取り付ければ完成です!
ほれほれ~、どうよこれ?
スッゲーかっこいいでしょ?(笑)
もちろん、純正キャップのオーナメント流用に限らずステッカーなどで仕上げる方法もありますが、立体感のあるメッキのオーナメントが輝くキャップは、まるで純正の様な高級感!
立体というだけで結構見た目の印象が良くなりますよ♪
キャップ単体で見てもかっこいいですが、もちろん仕上げは…
うおぉぉぉーーっ!!
こ、これはカッコイイ!!(自画自賛)
オシャレは足元から!
ちょっと手間は掛かりますが、比較的安価に出来るカスタムなので、おすすめですよ。
みなさんも、是非お好みのデザインでオリジナルキャップの作成にチャレンジしてみてください♪
■おまけ レイズの新作ナットがカッコイイ!
キャップとは関係ない話なのですが、ハブ周りの錆・汚れ防止と言う繋がりで…
今年の春にレイズから新作のレーシングナットが発売されたのをご存知ですか?
サーキットユーザーではど定番のクロモリ製ロングナットがありますが、これが貫通ナットなんですよね。
他のメーカーで袋タイプのナットはありますが、穴の開いた貫通ナットの方がデザインの面で好まれる傾向にある印象。
そうです。貫通ナットはカッコイイ(笑)
しかし、冒頭で説明した通り水の進入などでハブボルトを錆びさせる原因になったり、砂や埃が入ってネジ山を痛めたりする恐れがあるので、機能的には袋ナットの方が好ましいわけです。
カッコイイ貫通ナットの雰囲気をそのままに、袋ナットの安心感を併せ持ったナットがあると最高なんだけど…
と言った贅沢な悩みを解決するナットが登場したんですよ♪
じゃーん!レーシングナットの非貫通タイプです!
…って、見掛け上はロゴが鮮明になった以外は既存のロングナットと変わらないので、特に目新しさは感じないですよね。
従来のレーシングナットとどう違うのかって点ですが。
写真で上手く伝わりますかね?
良くご覧になればわかるのですが、ナットの頭は貫通ナットと同様に穴が開いている様に見えるのですが、奥の方で塞がった非貫通ナットになっています。
これを実際に取り付けると、パッと見た感じは貫通ナットの様に見えるんですよ♪
見た目は貫通ナット、機能性は袋ナットってわけです。
最高じゃないですか!って言いたいところなのですが、些細な事ながらデメリットもあります。
ロングハブボルトなどに打ち替えていなければまず問題にはならないのですが、非貫通と言う特性上、対応出来るネジ長には限界があります。
一応、公称で有効ネジ長28mmとなっているので、純正ハブボルトならホイールを付けなくても根元まで締め代は届くレベルなのですが、ロングハブボルトとの組み合わせによってはもしかすると…って事態もあり得るので、使用する場合は念のため突き出しているボルトの長さを確認する事をお勧めします。
ちなみに、今回紹介しているのは48mmのロングタイプですが、35mmのショートタイプもあります。
ただ、35mmの方は頭が窪んではいるものの、貫通には見えないのでちょっと微妙かも…?
尚、2021年7月現在では発売されているはずなのに、店頭はもちろんレイズの公式通販サイトでもラインナップされていないので、取り扱い店で予約注文する必要があります。
私の場合は1ヶ月待ちでした…。
現時点では供給が追い付かないだけだと思うので、気長に待てばその内店頭にも並ぶ様になるのではないかと思います。
すぐに欲しい方はレイズの商品を扱っている近所のカー用品店などに相談してみてください。