サーキットを走っている人なら、社外品のバケットシートを装着していると言う人が多いと思います。
最近ではブランド不明の激安輸入品(所謂、パチモン(笑)の他、ショップオリジナルの製品等々、選択肢も多いですが、主流なのはブリッドやレカロなどの有名メーカーのシートではないでしょうか。
良くわからないメーカーの場合は車検時だけ純正シートに取り換えると言う人もいるかもしれませんが、そこまでしなくても以前は車検時に確認もせずにパスと言う事も珍しくはありませんでしたし、確認される場合も大体大手のメーカーならバケットシートとシートレールのメーカーが一致していればOKくらいのアバウトな印象でしたが、最近ではほぼ確実に強度試験等の証明書の提示を求められる様になりました。
ちなみに、私は以前までブリッドのバケットシートを愛用していましたが、購入時に同封されている書類の中に「保安基準適合品ですよ」的な事が書かれた、それ程重要な書類には見えない簡単な紙切れが1枚だけ。
以前はそれだけでも普通に車検に合格していましたが、最近では追加の書類提出を求められる例も増えてきているそうです。
製品を使う上では安全性の保証も必要ですし、法的に必要な書類と言うのであれば仕方がありませんが、書類が無ければ車検にも通らないとなるとユーザーは安心して購入出来ませんよね。
強度証明の書類が無い、不注意で紛失してしまった場合などは諦めるしかないのでしょうか?
■ブリッドやレカロは書類が無くても大丈夫ってホント?
実は、ブリッドもレカロも強度試験の証明書は製品に付属していない。
これにはちょっと驚いたのですが、私が以前愛用していたブリッドのシートに付属していた書類さえも、メーカーが「これは保安基準に適合したモデルですよ」と添え書きを同封しているだけで、実は車検時に必要となる正式な”保安基準適合証明”の書類は付属していない。
じゃあ、なんで運輸支局では物を確認するだけでパス出来ていたの??と不思議に感じる人も多いと思いますが、これはブリッドが全国の運輸支局などに強度試験の結果や安全性を証明する書類を事前に提出しているためなのだとか。
つまり、ブリッドが”保安基準適合”と公言している製品については、ユーザーが個別に書類を用意しなくても運輸局が適合品である事を認識していると言う事になります。(公言はしていないが恐らくレカロも同じ)
しかし、これらの書類はあくまでもブリッドのシートに同社のシートレールを組み合わせた場合の証明書となるため、他社製のレールと組み合わせている場合や、そもそも強度試験も受けていない様なノーブランド品は別途書類(強度試験の結果または強度計算書など)が必要と言う事になるらしい。
また、大手メーカーの製品であっても一部は強度証明の書類がない(または別の理由で保安基準を満たさない)競技専用モデルなどがありますので、いくら運輸局の職員であっても全てを把握する事は困難ですから、一目で判別が難しい場合に、確実に確認出来る書類の提出を求める場合があるとの事。
これは別に不思議な事ではなく、よくよく考えてみれば自動車本体だってメーカーが事前に性能試験をクリアして無数の構成部品をまとめて”型式”で登録してシリアル番号に相当する”車台番号”で管理されているわけですから、点検項目さえ問題なければそのままパス。何かしら部品を交換したり、取り付けていたりすれば必要に応じてもう少し詳しく見せてねって話になるだけ。
シートも同じ…なのですが、これは従来の話であり、最近はコピー商品の流通や悪質な偽装を働くお店やユーザーが増えてきたためか段々と厳しくなり、ついに平成29年(2017年)の保安基準一部改正により車検時の書類提示が義務となりました。
つまり、表題の書類が無くても大丈夫?と言う問いの回答はNOと言う事になります。
私が今回購入したレカロのバケットシートは法改正後の製造なので、製品に同封されている書類の中に入っているものだとばかり思っていたのですが、先日車検の時期を迎え、書類を準備しておこうと確認していたところ”車検用資料が無い”事に気付きました。
車検時には強度証明の書類を揃えなければならないので、メーカーに問い合わせて送ってもらう必要があります。
たとえ中古で購入した物であっても、正規品の組み合わせで使用しているなら問い合わせるだけで書類の発行はしてくれるのですが、今時自宅でFAXを使用している人も少ないでしょうし、郵送だと数日は待たされる事になるので急いでいる時はちょっと困ります。。。
並行輸入品はまだしも、コピー商品まで流通している現代では不正防止のために仕方のない事だと思うのですが、正直言ってユーザーにとってはこれ程面倒な事はないですよねえ。
最初から同封してくれれば助かるのに…とは思いますが、現実には使用するバケットシートとシートレールの組み合わせで証明しなければならないので、個別の書類は意味を持たないためかもしれません。
■レカロの書類はWeb申請が早くて便利♪
ブリッドもレカロも、他社製品との組み合わせはNGだとか、並行輸入品は対象外など多少の制約もありますが、書類が必要な時はメーカーのコールセンターに問い合わせて、保証書の番号や製品に貼り付けられたステッカーのシリアル番号を伝える事で証明書を発行してもらえます。
これは当然メーカーの義務なので原則無料で対応してもらえますが、FAXが必要だったり、郵送だと数日を要したりと不都合もありますよね。
車検に出すお店や、ユーザー車検を予定している方でも買ったお店に相談すれば代わりに申請をしてくれるとは思いますが、可能であれば自分で事前に準備しておくのが理想です。
ブリッドは現在もコールセンターへの問い合わせが必要な様ですが、レカロを使用している方なら最近になってWebサイト上で申請が可能になったのをご存知ですか?
なんと、そのままメールにPDF形式の書類を添付して送ってくれるので、プリンターがあれば自宅でもすぐに書類を準備出来ますし、持っていない方でもUSBメモリなどに保存して近所のコンビニで印刷が可能なので本当に便利です!
申請時に必要となるのは車検証に記載の車種と型式の他、バケットシートとシートレールに貼り付けてあるステッカー(または製品保証書)に記載されているシリアル番号(両席装着の方は組み合わせを間違えない様に注意)だけです。
申請に必要な情報やシリアル番号の確認方法はレカロのWebサイトに詳しく記載されているので、こちらでは申請方法の紹介だけに留めますが、サイトにアクセスしたら「車検資料ご請求の皆様へ」と書かれたページを開きます。
ページ右下に「車検資料の作成はこちら」と書かれたボタンが表示されているので、そちらをクリックすれば自動応答のチャットが開きますので、後は表示されている指示に従って必要項目を入力するだけ。
車検証記載の車種と型式を入力した後に右座席と左座席の選択項目が表示されるので、個別に資料を請求する事になるのかと思っていましたが、片方を入力した後にそのままもう片方も装着しているか否かの問いが出るので、右→左の順番で進めて行けば大丈夫な様です。
製品のシリアル番号を入力する欄では、保証書または製品に貼り付けられたステッカーで確認し、組み合わせを間違えない様に入力しましょう。
これはシートレールの保証書の例ですが、赤枠で囲んだ所に記載されています。
ただ、レールはともかくバケットシート本体は左右共通の部品である事が多いため、保証書で確認するとどちらを組み合わせているのか分かり難いので、事前にメモなどしていない場合は車に取り付けてある現物で確認した方が良いかもしれません。
シートまたは車両を中古で購入した方など、保証書が手元にない場合も製品に貼り付けられたステッカーで確認する事になると思います。
こちらは助手席側のシートレールの例ですが、赤丸で囲んだ位置にシリアル番号が記載されています。
バケットシートは足元から底を覗いた位置に記載されていますので、詳しくはレカロのWebサイトでご確認ください。
必要項目を入力すれば、シリアル番号を自動的に照会してくれます。
万が一偽物だったり…って事があれば、ここで判明するわけですね(笑)
問題なければ、もう片方の座席の取り付け確認を開始して、同様に必要項目を入力します。(片方のみの場合は、取り付け確認を開始して取り付けていないを選択すれば終了)
全ての入力と照会が完了したら、資料の受領方法を選択する項目が表示されるので、希望する方法を選択します。
当然メールです(笑)
選択すれば、FAX番号またはメールアドレスの入力を求められるので、希望する送付先を入力しましょう。
受付自体は24時間対応の様ですが、資料の送付は営業時間内のみの対応かもしれませんので、その点はご注意ください。
申請を完了すると、5分も経たない内にメールが届きました!
こちらはパソコンで受信した例ですが「保安基準適合性試験成績書」と言う名前のPDFファイルが添付されて届きます。
開いて見ると、全10ページに渡る強度試験結果の書類となっています。
正直言って、内容を確認しても専門でなければよくわかんねー事しか書いていないので、とりあえず1ページ目に記載されている取り付け車種と、バケットシートとシートレールの品番およびシリアル番号の組み合わせに誤りがないかだけしっかりチェックしておきましょう。
問題がなければプリントアウトして、車検証と一緒に保管しておけばOK!
これで車検当日になって慌てなくて済みますよ♪
ちなみに、これは現時点での証明書となりますので、将来バケットシートやシートレールを交換して組み合わせに変更が生じた場合などは、改めて発行してもらう必要がありますので注意してください。
今回はシートの例ですが、最近になってホイールスペーサーなどにも強度証明が必要になるなどと言った噂も聞きます。
車輪の脱落事故や車両火災などの報道もよく聞きますし、この先どんどん厳しくなって、デフや車高調、オーディオ機器などでさえ性能や取付方法に問題がないか証明が必要な時代が訪れるかもしれません。
現実として、マフラーなども現在では単純に音量だけで合否判定とはいかなくなっていますよね。
書類があれば検査員も安心して、入念なチェックをせずにパスしてしまう可能性もありますが、不正をするユーザーが増えればより厳しくなる恐れもありますので、しっかりルールを守って正直に検査を受ける様にしましょうね!