お手軽ドレスアップパーツには、貼り付けるだけ、被せるだけと言った物も多く、昔から定番なのはやはりシートカバー

上位グレードや限定車のシートに交換したり、高級車でもレカロセミバケットシートなど、社外品のシートを取り付ける方もいますが、車のシートって純正も社外品もかなり高価なので、気軽に交換するのは難しいですよね。

そしてもう一つ気になるのがインテリアのコーディネートで、運転席の交換のみでは雰囲気の統一感が損なわれる可能性が高く、可能であれば助手席とセットで、理想は同じ生地でリアシートの張り替えまでしたくなるわけですよ。

そんな事をしていたらとんでもない金額になっちゃいますよね。

そこで、比較的安価に見た目のグレードアップや、ボディカラーや内装の雰囲気に合わせたコーディネートを可能とするお手軽パーツ、シートカバーの出番ってわけ!

◆届いたシートカバーを確認してみる

◆シートカバーの取り付け

◆仕上げにシワを伸ばして整えよう!

■届いたシートカバーを確認してみる

安価な物では1万円台から、本革などの高価だけど本格的な物まで、メジャーな車種であればピンからキリまでラインナップも豊富です。

今回は数あるシートカバーの中から、対応車種も多く、比較的安価で高品質と定評あるClazzio(クラッツィオ)のシートカバーを買ってみたのでご紹介しましょう。

納期は1~2ヶ月ほどと、結構待たされる事になるのが欠点でしょうか。

もう長い事車に乗っている間に何度も乗り換えていますが、実はシートカバーを買うのは今回が初めて。

何かを取り外したり交換したりと言う作業は多いですが、何かを取り付けると言うのは私の中では稀なケースです(笑)

一見手軽に見えるシートカバーですが、自分で綺麗に取り付けるのは難しいとか、作業に4~5時間を費やしたなどと言った話も聞きますよね。

イメージ的には「ただ被せるだけだろ?」くらいに考えているのですが、はたしてどうでしょうか…?

今回買ったシートカバーはいくつかラインナップされているシリーズの中から、Clazzio Xと言うタイプを選びました。

ちょっと心配していましたが、なんとシートに内蔵されたサイドエアバッグにも対応しているそうなので安心ですね。

今回はマツダ2/DJデミオ用となりますが、価格は車種問わず後部座席まで一式セットで約40000円(3列シート用は55000円)となっています。

もっと安価な1万円台のシリーズもラインナップされていますし、高級指向の方向けには10万円以上と高価になりますが、本革などの本格的なカバーまで。

安いってわけではないですが、いずれもシートの交換に比べるとかなり手頃な価格と言えるので、ドレスアップ用途であれば最適な選択肢と言えそうです。

開封してみると、中にはシートカバー一式の他、説明書と樹脂製のヘラまで付属していました。

同封されている大きなビニールシートは、カバーを被せる際に滑りを良くするために使う様ですが、それなりに生地は伸びるので、冬の様に生地が冷えて伸び難い季節でなければ使わなくても大丈夫です。

説明書には使用する道具(ヘラは付属)が記載されていますので、スムーズに進められるよう、作業を開始する前に確認して準備しておきましょう。

マツダ2(DJデミオ)の場合は、リアシートのカバーを取り付ける際に別途14mmのソケットレンチが必要になります。

車種によってはもっと多くの工具が必要になる場合もあります。

また、シートの図には番号が振ってありますが…

シートカバーは複数の部品に分かれているので、それぞれ適合するカバーの番号が書いてあると言うわけです。

カバーの裏にあるタグに番号が書いてあるので、説明書の番号を確認しながら間違えない様に取り付けましょう。

リアシート用は間違う心配はありませんが、フロントシートは左右を間違うと、万が一の時にサイドエアバッグが上手く開かないなどのトラブルに繋がる恐れがあるので要注意です。

ちなみに今回、私がこのシートカバーを選んだ理由なのですが、後にマツダ2でもサーキットを走ろうと考えているので、恐らくバケットシートに交換します(笑)

なので、統一感が損なわれない様にレカロ・RS-G GKの生地に合わせておこうと考えたわけですが、NDロードスターに取り付けてあるRS-G GKの生地と比較してみるとこんな感じ。

写真では白っぽく写っているのでわかり難いですが、色はほぼ同じです。

ただしClazzio Xの生地はレカロに比べてメッシュが荒いので、並べて比較すると違って見えますが、遠目に見るとほぼ同じ感じです。

この生地の色ですが、赤い生地の上に黒いメッシュが掛かっている二重構造になっていて、浅い角度から見ると黒っぽく、正面から見ると赤く見えるので、ボディカラーのソウルレッドクリスタルメタリックの雰囲気に似ていますね♪

この赤/黒の他にも、青/黒と白/黒のラインナップもあるので、他の色のレカロ・RS-G GKの生地とも合わせ易いですし、ノーマルシートのままでもボディやインテリアのカラーと相性の良い色を選んでコーデし易いですね!


■シートカバーの取り付け

ではさっそくシートカバーを取り付けてみましょう!

…とは言っても、ハッキリ言って被せるだけの作業なので、先程の説明書に記載されている番号通りにカバーを被せるだけです。

難しい作業ではないが、ただただ面倒くさい(笑)

サイズ感も余裕はなくピッタリなので、意外と力も要ります。

取付作業自体は説明書に写真付きで取り付けのコツが詳しく記載されているので迷う事はないと思いますから、読者のみなさんが自分で取り付け出来るのかどうか検討出来る様に、要点だけ簡単にお見せしようと思います。

 

フロントシートのカバー取り付け

まずは座面からいきましょう!

裏表も見ればハッキリわかりますし、前後左右も付く様にしか付かないので、カバーの番号だけ間違えない様に注意して作業開始。

最初に背もたれと座面の隙間に生地の後方をグイグイと押し込みます。

手を押し込めばシートの裏側まで抜けるのでなんとなくわかると思いますが、ある程度押し込んだら後ろ側に出て来るので、グイッと引っ張って出せるだけ出しておきます。

正面へ戻ってシートの端の方のカバーを引っ掛けていきますが、当然緩いとブカブカになってしまうのでそれなりにキツいです。

生地をギュッと引っ張りながら側面を覆う様に被せていきますが、多少は力が必要な作業です。

一通り被せたら、写真の様に両脇の端を純正シートの樹脂カバーの隙間へ押し込んで隠しましょう。

この辺りはまだ指で押し込めますが、難しい場合は付属のヘラを使って突っ込んでください。

ここまでの作業が済んだら、シート後方の生地を引っ張って密着させた後、端を揉んで馴染ませながらシートの形状に沿う様に左右の角を調整します。

最後に固定ですが、写真だと分かり難いですが純正シートも底面が少し生地で覆われていますので、説明書の手順に従ってめくておきます。

前方から引っ張って外す方が簡単です。

この純正シートの生地を引っ掛けていた部分に、先程引っ張り出したシートカバー後方の生地を引っ掛けて固定しましょう。

また、シートカバー裏面にはバンドが付いていますので、配線を避けて上手く通した後、バンドをギュッと締め付けてやれば座面の取り付けは完了です。

続いて背もたれのカバー取り付けですが、ヘッドレストを取り外しておきましょう。

ヘッドレストのカバーは特に説明不要ですね。

背もたれのカバー後方には左右にジッパーが付いており、開いてやればあっさり被せる事ができますので、大雑把に被せたら両肩の部分だけ簡単に位置合わせします。

先程と同じ様に、カバー下部の生地は座面と背もたれの間に押し込んで裏側へ引っ張り出しましょう。

背もたれのカバーは裏側にマジックテープが付いているので、引っ張りながら上手く留めた後、左右のジッパーを閉じておきます。

ジッパーの端は折り返してシートカバーの裏側に隠しておくと見栄えが良くなりますよ!

少々面倒な作業がこう言う部分になりますが、ヘッドレストの台座の樹脂パーツがあるので、カバーに開いた穴に通しておく必要があります。

生地が伸びるとは言っても当然穴の方が明らかに小さいので、無理矢理押し付けても通りません。

まずは角の方を引っ掛けてから丁寧に一周すれば簡単に入りますので、焦って力任せに引っ張ったりしない様に!

上手く穴に通せたらご覧の通りです。

この時点では周囲がシワだらけになっていますが、シートカバー全体を揉んで解しながら位置合わせをした後に、この穴の部分も指で揉みながら左右に引っ張ってやれば馴染んで綺麗に整います。

後からリアシートのカバー取り付けも行いますが、シート表面の樹脂パーツ部分は全て同様の手順で穴に通して装着します。

これでフロントシートのカバー取り付けは完了です!

単純に説明書通りに取り付けただけの状態ではこの通り、全体的にシワが目立ってヨレヨレのボロいシートの様になってしまいました。。。

これならシートカバーなんて付けない方が良かったんじゃない?って思うかもしれませんがご安心ください!

あくまでも”取り付けただけ”ではこんな感じで、中にはこのまま使う人もいる様ですが、仕上げの作業を後から説明します。

現時点では気にせず、もう片方のシートも同じ様にカバーを取り付けちゃってください。

 

リアシートのカバー取り付け

今度はリアシートのカバー取り付け作業ですが、車種によって結構仕様が異なるので、座面の取り外し方はディーラーなどで確認しておきましょう。

今回はマツダ2(DJデミオ)の例となります。

リアシートの座面は矢印で示した3か所で固定されていますが、取り外しに工具は不要です。

まずは手前の両サイドですが、座面の下に手を入れて軽く持ち上げると、フックで固定されていますので、手探りでロック解除レバーを向かって右方向に押してやれば簡単に外れます。

ただ、この状態で手を離すと再びガチャンッと固定されてしまうので、隙間にタオルでも何でも良いので突っ込んで浮かせておきましょう。

逆側も同じ様にロック解除レバーを押してやれば外れます。

ちょっと面倒なのは後方の固定部分です。

座面全体を後方に向かって押し付けながら持ち上げるなんて言われたのですが、座面のクッション自体が柔らかいので膝や手を使って押さえても変形するばかりで上手くいきません。

ラゲッジルーム側から覗いてカーペットをめくると、赤丸で示した部分が引っ掛かる構造となっていますので、コイツを指で思いっきり引っ張りながら爪をかわして上にズラしてやればあっさり外れました。

指を挟まない様に気を付けておきましょう。

クリップリムーバーマイナスドライバーを上手く使えば簡単かもしれません。

外れました。

デカいですが、スッカスカのスポンジで出来ているので軽いです(笑)

とりあえずカバーを被せるのは後回しにして、座面を車の外へ出しておきましょう。

座席中央のシートベルトのバックルを14mmのソケットレンチを使って取り外します。

リアシートの背もたれは2分割式となっていますが、幅広の方は中央座席のシートベルトが背もたれの肩部分から出ていますので、これを背もたれのカバーの穴に通さなければ装着が出来ないためです。

背もたれのカバーを被せる際に、ベルトを穴に通してしまえば元通りに固定して構いません。

背もたれのカバー装着は、ロックを解除して前方へ少し倒してやれば簡単に被せる事が出来ます。

取り付け要領はフロントシートの背もたれと同じですが、面積が広いため少々キツいので結構力が必要です。

しかし、形状が単純なので角を合わせながら被せてやれば作業自体は簡単なので、引っ張って伸ばしながら少しずつ被せていけばOK。

ある程度密着したら、ヘッドレストの台座やロックの解除ボタンの樹脂パーツを穴に通して位置決めをしてやれば取り付け完了です。

背もたれ後方にはチャイルドシート用のアンカーが付いていますが、ここだけやたらとキツいので、他の樹脂パーツと違って指の力だけでは難しいです。

付属のヘラを使ってアンカーを浮かせながら、隙間に生地を押し込んでやりましょう。

最後に、先程取り外した座面のカバーとなりますが、これは見た目通り(笑)

他のカバーと違って上に被せるだけとなっているので、迷う事はないでしょう。

赤いテープを剥がすとマジックテープになっているので、座面後方の位置決めをして6本のベルトで締め付けて固定します。

外周部分は紐が通っており、巾着袋の口を縛る要領でギュッと締め付けてやればOKです!

後は取り外した時と逆の手順で元通りに組み立てればシートカバーの取り付けは完了となります。

ご覧の通り、装着完了です。

ここまでの作業は1時間程度と、意外にも当初聞いていた作業時間より遥かに短い時間で取り付けが終わりました。

マツダ2(DJデミオ)は恐らく作業難易度の低い方だと思われますし、シートの構造や着脱方法を知っているかどうかと言う影響が大きい気がします。

初めて作業する車は、事前にシートの構造や周辺部品の着脱方法などを下調べしてから取り付けた方が無駄な時間を掛けずに済みそうですね!

しかし、リアシートも説明書通りに取り付けただけでは、梱包皺が残っていてヨレヨレ感が出てしまいますね。。。

このままでは何か被せてる感じがモロに出ちゃってカッコ悪いですし、座り心地も悪いので、せっかく買ったシートカバーが台無しです。

本当に時間が掛かるのは、ここから先の調整やシワ取りと言った仕上げの作業なんですよ。。。


■仕上げにシワを伸ばして整えよう!

取付作業の紹介は省略して、随分簡単な説明だと感じた人もいるかもしれませんが…。

今回、初めてシートカバーを取り付けてみてわかりましたが、カバーの取り付け自体は大して難しいわけでもなく、当初のイメージ通り”被せるだけ”の単純作業です。

布団や枕のカバーを取り付けるのと、やっている事自体は大差ありません。

問題なのは仕上がりのクオリティの方で、ただ説明書の手順に沿って取り付けただけでは全体的にヨレヨレ感が出てしまい、むしろカバーを付ける事によって返って美観を損ねてしまう。

カバーなのでこんなものだと諦める方も結構多い様ですが、素人作業でも仕上げの調整を行うかどうかで随分とクオリティに差が出ます。

結構頑張って揉み解しながら形を整えたつもりですが、シートカバーを被せた直後はこんな感じ。。。

端っこの角の部分やステッチの入った縫い合わせ部分など、ぐにゃぐにゃにヨレていてカッコ悪いですね。

また、平らな部分でも畳んで梱包されて届くため、梱包皺も残っているせいで、かなりくたびれたシートの様になっちゃいました。

これを改善する方法なのですが、実は簡単な事なんですよ!

シワになり難い布やジャージ生地シートカバーもありますが、多くの場合はPVCレザー(合皮)が使われています。

これは熱を加えると柔らかくなるので、ご察しの通り、ヘアドライヤーで温めて伸ばしてやればOKです!

この特性からも、取り付け直後ではなく数日後に仕上げ作業を行うと言うのも手間を省くコツで、真夏の車内はもちろん、冬でも日光で生地が温まれば”ある程度は自然に伸びて”馴染んでくれます。

その後、どうしても消えないシワやヨレた部分を整えてやりましょう。

効率良く作業するには、なるべく気温が高く風の穏やかな日を選び、ヘアドライヤーの出力も影響しますので、どうしても電源が確保出来ない場合を除き、シガー電源のドライヤーではなく100V電源が望ましいです。

また、作業効率は大幅にアップしますが、ヘアドライヤーより強力なヒートガンは熱過ぎて生地を焼いてしまう恐れがあるので、使い慣れていない方にはお勧めしません。

私が思うには、平らな部分のシワも当然気にはなりますが、それ以上に角や縫い合わせてあるカーブなど、シートのシルエットに直接影響のある部分の仕上がりが見た目の印象に大きな影響を与える気がします。

一例ですが、写真の様にデコボコした部分は、凹んだ部分は指んで摘まんで引っ張り、出っ張った部分は手で揉みながら押さえる事である程度形を整えます。

形が整ったら、周囲も温めながら生地をピンッと張る様に両手を使って引っ張ってやりましょう。

作業開始から5分程度ですが、どうです?結構マシになってきたでしょう?

温めて揉む。温めて引っ張るを繰り返しながら、納得(妥協)できるまで只管作業を続けましょう。

ドライヤーで炙った表面は結構熱くなるので、火傷防止のためにメカニックグローブなどを装着して作業する事をお勧めします。

軍手でも問題ありませんが、結構力を入れて揉んだり引っ張ったりするので糸くずだらけになり易く、後から掃除が大変です。

形が整ったら、他の部分も同様に作業を行えばシワやヨレが伸びて綺麗になりますよ♪

カーブ部分の歪さも緩和され、純正シートの形状にピタッとフィットしましたね!

ほら見てくださいよ!

さっきまでのヨレヨレ中古シートの様な見た目が驚くほど改善されました!

どの程度で納得するかにもよりますし、合皮部分の面積にもよると思いますが、シワの付かないメッシュ生地の手直しが不要なこのタイプでも1脚当たり20分程度の時間が掛かりました。

近くで見ると多少は荒い部分も残っていますが、素人作業と考えれば十分な仕上がりではないでしょうか。

これならアップで見せても差し支えないレベルです。

リアシートもフロントシートと同様に、シワのある部分をドライヤーで温めてから、シワを広げる方向に伸ばしてやります。

背もたれの部分にあるシワは、上か下に引っ張りながら炙ってやれば、少しずつシワが目立たなくなってきますので、これも納得できるまで只管繰り返しましょう。

とりあえず比較を見せるために、全体を10分程度でざっくりと進めたところですが、先程のシワくちゃな状態と比べると目立たなくなってきたでしょう?

シートカバーの装着~仕上げ作業は、作業に伴う部分的な部品の着脱作業さえ問題なければ、良く言われる”難易度”なんて無いに等しいので、根気と性格が仕上がりのクオリティを決める要素となりそうです。

せっかちで、地味な作業を長時間続けるのが苦手と言う方や、気が短いとか大雑把な性格だと自覚のある方はお店に依頼した方が良いかもしれません。

また、神経質過ぎる方も”終わりがない”ので、あまりこの手の作業には向かないかもしれません(笑)

軽自動車やコンパクトカーのサイズなら、工賃の平均相場は20000~25000円程度の様です。

シートの交換や本格的な生地の張り替えなどのカスタムに比べて安っぽく思われがちなシートカバーですが、きちんと取り付けを行えば、比較的手頃な価格で、気軽にコーデやイメチェンを楽しめるのでお勧めですよ♪

シートカバーは純正シートの汚れ防止やくたびれたシートの補修代わりだったり、高級感やスポーティーな雰囲気の演出、ボディや内装色に合わせたコーデなど様々な用途で使えるので是非お試しください!

ドレスアップの入門カスタムには最適な選択肢だと思いますよ!