さあ、車にバケットシートを取り付けよう!って張り切って作業を開始したは良いけど、シートベルトのバックル移設やサイドエアバッグの撤去など、昔と違って色々と装備が充実した分複雑になってきましたね。
さて、通常なら最小限の作業でシート交換を済ませ、快適装備は諦めるのが通常の流れかと思いますが、もし純正シートのシートヒーターがフルバケでも使用可能だったら…なんて考えた事はありませんか?
もちろん、スイッチなど見た目は純正に劣りますが、社外品の後付用シートヒーターをフルバケに取り付けると言う選択肢もあります。
尚、今回はNDロードスターの例となりますが、シートヒーターの取り付け構造はどの車も基本的には変わりありませんので、参考程度にはご覧頂けるかと思います。
シートベルトバックルの取り外し方やサイドエアバッグのキャンセルについては、こちらの記事(フルバケに部品を移設しよう! シートベルト編)をご覧ください。
■純正シートを分解!ヒーターの外し方
純正シートヒーターは、当然ながら純正シートの内部に隠れています。
なので、バケットシートへ移植するなら、まずは純正シートを分解してヒーターを取り出す必要がありますね。
ちなみに、NDロードスターの場合は競技向けのNR-A、ベースグレードとなるSにシートヒーターの装備はありません。
その他は全車に装備されますが、Sスペシャルパッケージはメーカーオプションとなっています。
純正シートを分解する自信がない方や、シートヒーターが装備されていないグレードに追加したい場合は、社外品を使用したり、純正ヒーター関連の部品を別途購入して対応する事は可能です。
メーカーオプションとは言いますが、個別に品番は存在するので、部品を揃えれば後付出来ちゃうんですね、これが(笑)
何故か色々な装備が「セーフティパッケージ」に抱き合わせオプションとなっているので都合が悪いですが、一部の機能を除いては後から追加する事は可能です。
興味のある方のために、後付や部品単体で準備したい方向けに純正品番リストを記載しておきます。
N255-88-11X
N255-88-13Y
N255-88-16XA
N255-88-18Y
上記の品番4つは運転席と助手席のヒーター熱源のみですので、純正シートを分解したくないと言う人は上記の4つを用意するだけで、その他は必要ありません。
N247-55-260A
N255-88-092
N255-88-129
上記の品番3つはセンターコンソール下段に設置されたシートベルトのインジケーターとシートヒーターのスイッチがセットになったパネル部分と、ハーネス類となっております。
後付する場合は7種全部を購入する必要がありますね。
余裕があるなら上記の部品を買う方が賢い選択と言えますが、なにしろかなり高価なので、シートを分解して取り出せるなら後者を選ぶ方の方が多いかと。
全部買うと10万円コースです。
さあ、それでは本題に入りましょう!
まずシートの背もたれ裏を確認すると、矢印で示した通り、左右にジッパーが付いているのに気が付くと思います。
赤丸で印を付けているのはシートのカバーを留めてあるクリップですが、ロードスターのシートは生地の継ぎ目がほとんど写真の様な爪やクリップで留めてあるだけなので、特に工具は必要なく、順を追って手でバリバリと剥がして行けば簡単に中身にアクセス可能です。
ジッパーを開いてしまえば、シートの正面に向かってガバッとカバーを剥がせます。
表側もサイドサポート周りは、この様な樹脂バンドに黒いバー状の爪で引っ掛けてあるだけなので、生地を引っ張りながらバンドから抜きましょう。
ちなみに、エアバッグ側は少々複雑になっていますが、触れなくて大丈夫です。
たったこれだけで背もたれ部分のヒーターに手が届きますよ!
ちなみにこのヒーターは熱線が編み込まれたフェルト生地となっていますが、水色のスポンジシートの上に両面テープで貼り付けられています。
これを綺麗に剥がそうとしても必ず破れるので、気にせずベリベリと剥がしちゃってください!
後でシートを元通りに組み立てて座ってみましたが、別にこの水色のスポンジがボロボロになっていても、外観上の変化も座った際の違和感もありませんので、本当に気にしなくて大丈夫です。
ヒーターを剥がしたらシートの裏側へ回り、背もたれと座面の間の隙間から慎重に引き抜きます。
引っ掛かり易いので、力任せに引っ張らず、注意しながら慎重にです。
これであっさり背もたれのヒーターは回収出来ました。
次は座面側ですが、これもシートの底側に引っ掛けてあるだけなので、めくる様に爪を外してやればOKです。
…が!
座面のカバー自体はマジックテープで留まっているだけの様に見えるので、あっさり剥がせるのかと思ったら、両脇が何かに引っ掛かってます!
中央を浮かせた状態だと、ご覧の通りヒーターがチラッと見えているのですが、流石にこの状態で剥がすのは難しそう。
良く確認すると、両脇のサポート側にワイヤーが通っており、金属製のリングでかしめてありました。
リングには切り込みがあるので、ラジオペンチを使ってリングを広げてやれば写真の様に取り外す事が出来ますし、後からこのリングを再利用して組み立てる事も可能です。
両脇にありますが、どちらか片方でも作業は問題ありませんので、片側3ヶ所、そして背もたれ側の下部にもう1つ、合計4つのリングを取り外せば座面のカバーは大きくめくる事が出来ます。
こんな感じでめくれば十分作業可能ですね。
これも先程と同じ様に、気にせずバリバリと剥がしちゃいましょう!
…おっ!
シートベルトリマインダーを発見!(笑)
これ、実は助手席用を分解していたのですが、なんとヒーターの下にセンサーがありました。
レカロのシートにはセンサーが装備されていますが、純正カプラーがそのまま使える純正センサーを流用できるなら、その方が良いかも?
って事で、ついで作業なのでこのセンサーも取り外す事に。
こちらが座面の熱源です。
先程と同じ様に、シート後方の背もたれと座面の隙間から慎重に引き抜けばこんな感じで外れます。
こちらがシートベルトリマインダーのセンサー。
流石に初めて見るので意外ですが、こんなペラペラなんですねえ。
観察してみると二重構造になっていて、安物の電卓のボタンと同じ構造です。
配線がプリントされている部分を押さえると通電するって感じです。
自動車メーカーの説明でも、座り方などによって反応が違うなどと書かれていたりしますが、これなら納得…と言った感じで、結構アバウトなのね(笑)
まあ、保安基準でも機能の有無には基準があるけど、反応の良し悪しについては特に定められていない様なので、メーカーも急いで改善する気はなさそう。
■社外シートに純正シートヒーターを移植
純正シートからヒーターを取り外したら、後は大した作業は残っていません。
恐らく、みなさんが考えている以上に簡単に取り付け出来ますよ!
まずはバケットシートの座面のクッションをバリッと開く。
マジックテープで閉じてあるだけなので簡単に開きますし、中身はスポンジくらいしか入っていませんね。
レカロのRS-Gの場合はこんな感じで二重構造になっていたのですが、シートヒーターもシートベルトのセンサーも矢印で示した上段に取り付けてください。
フェルト生地の下に取り付けてしまうと、ヒーターをONにしてもなかなか温まらない事に加え、シートベルトリマインダーのセンサー感度が極端に悪くなります。
上段にシートヒーター、そのすぐ下にセンサーを取り付けましょう。
ちなみに、座面も背もたれもヒーターをマジックテープや両面テープで貼り付けるのが好ましいのかもしれませんが、特に何もしなくても簡単にはずれたりしませんので、特に気にしなくても良いかと思います。
ただ、座面のクッションにはカッターなどで切り込みを入れない場合は、配線を引き出せる向きが決まってしまうので、どう言う取り回しが好都合が確認しながら作業しましょう。
私の場合は、座面シートヒーターがバケットシートのクッションより大きかったため、手前から奥側に巻く様に取り付け、配線がスポンジの下から正面の方へ伸びる様に取り付けてあります。
シートベルトリマインダーのセンサーはそれ程大きくないため、正面から差し込んで、配線も正面から引っ張り出してあります。
腿の部分のクッションとの継ぎ目辺りに、5点式シートベルトを使用する際に股下のベルトを通す穴が開いているので、その穴からシート下へ配線を引いています。
次に背もたれの部分ですが、ブリッドのフルバケの場合は背もたれのクッションが丸ごとバリッと剥がせるので、座面のクッションと同様に作業すれば良いと思います。
今回はレカロのRS-G GKなので、背もたれの部分は一体型となっているため、取り外しは出来ません。
じゃあ、どうやって付けようか…と思ったのですが、これがなんとマジックテープで留まっているだけなのでバリッとめくれちゃうんですね。
ちょっと勇気が必要かもしれませんが、簡単に破れたりはしないので、手を突っ込んで剥がしちゃいましょう!
こんな感じでガバッと開きますので、奥の方まで腕を伸ばしてシートヒーターが取り付けられるくらい大きく開いておきます。
そして、こんな感じでヒーターを取り付けてやればOKです!
そもそも背中全体を覆う程大きい物ではなく、腰上から肩甲骨の辺りまでと言った感じなので、上側の位置は張り出したショルダーサポート部分の高さを目安に取り付けると丁度良いかと思います。
取り付けが完了したら、後はカバーや座面のクッションを元通りにすれば、見掛け上は普通のバケットシートに戻ります。
股下のベルト穴から全ての配線を引っ張り出していると思うので、純正シートに付いていた集合カプラーに挿し込んで、レールをスライドさせた時に配線を挟んだりしない様に付属のフェルトテープなどで一束にまとめたり、シート裏のスペースに貼り付けて固定をしておきます。
後は普通のバケットシート取り付け手順と変わりませんので、事前に組み立てておいたシートレールへバケットシートAssyを固定します。
そして車へ取り付けと言った流れです。
当然ですが、シート下のカプラーを車両側のカプラーに接続するのを忘れない様に!
カプラーを接続せずにバッテリーを復帰させてしまうと、エアバッグの警告灯が点灯する場合があり、ディーラーへ持ち込まないとリセットが出来ない場合がありますから、カプラーを接続したのを確認してからバッテリーのマイナス端子を元に戻しましょう。
こんな感じで両席バケットシートになりました!
純正シートヒーター内臓なんてちょっと信じられないでしょう?(笑)
もちろん、純正ヒーターなので、センターコンソールにあるスイッチで操作出来ます。
これで快適に…ん?
うわー!なんじゃこりゃー!
貴重な収納スペースの使い勝手が急激に悪化ですよ!
ま、まあバケットシートに交換したら多少不便になる事は覚悟しておきましょう(笑)
大変役に立ちました!ありがとうございました!
シート内のスピーカーの移設はどうすれば良いのでしょうか
運転席に内臓されているスピーカーはシートヒーター同様に座面下の集合カプラーにコネクタがあります。
ハーネスは背もたれ部分を通ってヘッドレスト部分のスピーカーまで繋がっていますので、シートのカバーをめくれば容易に取り外し可能です。
移植手順につきましては、セミバケなどは内部構造にもよりますが、フルバケを含め社外シートへの内臓は困難ですので、シートバックバー(アーチ状の部品)のベゼルを加工、またはシート後方の小物入れの蓋を加工して取り付ける方法が主流の様です。
スピーカーの音が聞こえる様にパンチング加工を施したり、思い切って刳り貫いた穴に網を張ったりなど、方法は様々ですが。。。
外観上の加工には見た目の好みなどもあると思いますが、小物入れの蓋を加工する場合は一例ですが村上モータースさんが施工サービスも受け付けている様ですので参考にされてください。
https://ameblo.jp/murakami-motors/entry-12588265636.html
NDオーナーです
ブリットAIRに移植しようと思います。
大変参考になりました、ありがとうございます。
> ZINさん
コメントありがとうございます!
純正シートの分解が出来ればブリッドもレカロも特に大きな違いはなく移植できると思いますので、是非試してみてください。
余談ですが、シートポジションを思いっきり下げたい場合は純正の集合カプラーが邪魔になって最低位置まで下げられない場合があるので、必要に応じて各ハーネスのカプラーを集合カプラーから分離して一つずつ接続すれば、4~5cmは余裕が出来ますので、カプラーの抜き方を参考にしてみてください。
集合カプラーから分離した場合はテープなどで抜け防止をお勧めします。
ロードスターオーナーではありませんがたまたま辿り着いて読みましたが、面白かったのとタメになりました。
コメントありがとうございます!
ロードスターと他の車はシートの構造や分解方法が異なる場合も多々あるかと思いますが、シートヒーターの構造や、移設時の作業は大凡共通していますので、他車で純正シートの内部部品を移設する際にも参考になるかと思います。