ここでは過去にE&Eシステム社から販売されていた、通称「青箱」こと、自動車用エンジン・マネージメント・システム「Freedom Computer(以下、フリーダム)」の操作方法について解説をしています。
化石の様な一部の車にしか需要のないネタですが、一部の内容はECUセッティングをする上で役に立つ…かもしれない、程度の内容も含んでいますので、興味のある方はご覧ください。
尚、フリーダムを使用する上でセッティングソフト「FCSS」が必要ですが、オリジナルは3.5インチフロッピーディスクとなりますので、ノートパソコンにFDDが装備されている必要がありますし、フリーダムとの接続にはPCにRS-232Cシリアルポートも必要です。
エンジニア向けのビジネスモデルPCなら装備されている可能性もありますが、家庭向けモデルだとWindows95~98SE辺りの世代になると思いますので、入手がやや困難かもしれませんが、FCSSはWindowsXP SP3までは起動確認しています。
尚、以下の環境設定を対象とした解説であり、旧バージョンやバージョンアップ版では多少内容が違ってくる場合もありますので、予めご了承下さい。
フリーダムバージョン:FC-03K (空燃比計連動機能オプション有り)
FCSSバージョン:for Windows Ver.2.14
環境設定
エンジン&車種選択:0 共通
データ保存フォルダー:FCDATA
※注意!
当サイトの掲載情報はE&Eシステム社の公式マニュアルの内容とは全く異なりますので、誤った解釈が混じっている可能性があります。予めご了承ください。
本ページの項目では、かつて販売されていたフリーダムの本体設定及び初期化の手順、その他オプション機能を使用する際のフラグ設定などに関する情報を掲載しています。
他の係数やMAPの解説、フリーダムの初期設定などについては、セッティングマニュアルのメニューより、各項目の解説ページを参照してください。
■セッティングの準備と手順
セッティングを進めて行く上での、準備と手順を説明します。
セッティングに必要な道具、また、フリーダムのセッティングを開始する前に行う本体初期化設定の方法や、初期値選択の目安情報を解説します。
準備
セッティングを行う上で必要となる情報は、主に空燃比と点火時期を判断するのに用いるノッキングの値である。
加えて言えば、吸気圧計や排気温度計があると尚良い事と、ログを収集・解析する事でより正確に、素早く目標に近づく事が出来る。
幸いにもフリーダムにはロギング機能が機能が付いているのでデータ収集の問題はない。
以下に最低限必要となるセッティング機材を紹介するので、もし持っていない場合は事前に準備をしておこう。
空燃比計(A/F計)
燃料噴射量を決定する上での目安となる、混合気の濃度を計測出来る機械。
ワイドバンドO2センサーを用いたもので、最低限0.1単位で正確に計測出来る物が必要となる。
安価な物で、純正O2センサー(ナローバンドセンサー)の不安定な信号を読み取り、現在の空燃比を推測する物や、リッチ・リーンの判断しか出来ないランプ式の物等はなるべく避けた方が良い。
特に、空燃比計連動機能を使う場合、または将来的に使う予定であれば、少々高価でもしっかりした物を購入しておく事をお勧めします。
近年では、PLXやInnovateなどから、フリーダムに使用可能で十分な精度の安価な空燃比計が販売されているのでお勧めです。
上記の2社で使用されるO2センサーはBOSCH製なので、センサーが故障しても3000円台の価格帯で補修部品が入手可能です。
ノックメーター(ノックアンプ、ノッキングモニター)
燃焼工程で発生する異常燃焼(ノッキング)を数値等で視認出来る物(ノッキングモニター)、またはヘッドホンに音声出力出来る物(ノックアンプ)の事。
点火時期を調整する上で、進角・遅角の目安となる物であると同時に、強いノッキングはエンジンダメージに繋がるため、エンジンブローのリスクを未然に防ぐ目的もある。
ノックモニターはHKS製の空燃比計とノックモニターがセットになったA/F Knock Amp.シリーズなどありますが、ノックアンプやモニターのみの製品は専門的なサイトでしかあまり見掛けません。(HKSの場合、本体も高価だが、何より補修用のセンサーが異常に高いです。センサー自体はBOSCH製なので、カプラー加工のスキルがあれば安価な市販のBOSCH製のセンサーを流用可能。)
一例を挙げるとPLEX製のKnock Monitorや、GRIDが扱うDSP ノックアナライザーなどの製品があります。
最低限、上記の2つは必ず用意するように!
中には、プラグの焼け具合や排ガスの臭いから空燃比の濃い、薄いを判断し、ノッキングを耳で聞き分けつつ、フィーリングでベストな位置を導き出すような人もいる。
これはかなりの授業料(エンジンブローや各種部品の故障)を払い、その経験で積み上げて来たノウハウ、そしてセンスから生まれる神業であり、とても素人が真似できる事は出ないので無茶はしないように。
曖昧な人間の感覚よりも、数値として容易且つ正確に知る事の出来る科学の力を推奨したい。
経験が浅くても、計器によりその経験不足を補い、確実に、安全に作業を進める事が出来る。
セッティングの手順
標準的なセッティング手順
1、カムのオーバーラップから初期値A~Dを選び初期化を行います。(初期化の方法や初期値選択の目安は後に解説)
2、排気量やインジェクターを変更している場合は、FreedomComputerの係数設定を編集してその値に合わせます。
3、エンジンを始動し完全暖気します。この時、アイドリングしないようならアイドルアジャストスクリューを開けるなどして、とりあえずアイドリング回転を上げてアイドリングさせ(この時ISCVが付いているエンジンではISCVの目標アイドル回転数の設定も同時に上げてください)、アイドリングで読んでいる噴射量マップの位置を確認し、マップの値を修正しながら徐々に回転を下げて、目標の回転数でアイドリングするようにセッティングします。
4、実際に走行し、条件によって空燃費がどうなるか確認しながら逐次噴射量マップを修正しながら目標の空燃費になるよう修正していきます。この時、ログ機能を活用するとマップ上のどこを読んでいるか判断しやすくなります。
5、4連スロットルを使用している場合で、ハーフスロットル領域(スロットル開度20~40%)付近で目標空燃比に合わせにくい部分が出た場合は、スロットル開度補正マップを併用して合わせていきます。
6、マップの設定が終了したら、アクセルを踏み込んだ場合のレスポンスが最も良くなるように、加減速補正、および、非同期噴射量をセッティングします(加減速補正、非同期噴射はアクセルを踏み込んだ瞬間の0.5秒程度しか作用しません。この時間を過ぎても空燃比がずれている場合はマップの修正が必要です)。
7、暖気状態でのセッティングが終了したら、冷間時の始動性が最も良くなるように始動時噴射時間を合わせます。また、冷間時でもエンジン不調にならないように水温補正を合わせます。
※上記の4番以降のマップや補正項目の内容については、別記事の「係数」や「各種マップ」の開設をご確認ください。
作用角の大きなカムでのアイドリング方法
作用角の大きなカムを使うとオーバーラップが大きくなるため、アイドリング時に排気の吹き返しによって吸気圧が上昇します。
これにより噴射量マップのより高負荷部分を読むため、空燃比が濃くなりすぎたり、また、大気圧との圧力差が少なくなるため吸入する空気量が減り、アイドリングが困難になります。
まず、アイドルアジャストスクリューを開け、回転を上げてアイドリングさせます(この時ISCVが付いているエンジンではISCVの目標アイドル回転数の設定も同時に上げてください)。
もし、それでもアイドリングしないようなら、アクセルを少し踏んで維持できるぎりぎりの回転を保ちます。
次にその状態での噴射量マップの読んでいる場所を確認し、そこの値を変更してもっとも調子良く回る値を見つけます(空燃比計があれば13ぐらいに合わせると良いでしょう)。
その回転で安定したらアジャストスクリューを少し閉めて回転を下げ、同じ事を繰り返します。
カムのオーバーラップとアイドリング可能な回転数の目安は、おおよそ下記の様になります。
初期化設定
初期化時のダイヤル操作(セレクタによるチャンネル選択)はフリーダムのバージョンによって違うため、注意して操作して下さい。
ここでは、FC-03Kを例にして解説します。
セレクタの使用方法
以下の表は、各セレクタを選択している時、キーをONにした時の動作一覧です。
初期値
A~Dの各初期値は以下の通りです。
使用するカムのスペックに合わせ、参考値から初期値を選択します。
上記の初期値から使用する物を選び、セレクタ番号4~7でパラメータ0を初期化します。
1、セレクタを4~7に合わせた状態でキーをイグニッションONまで回します。(クランキングは行わない)
2、この時、フリーダムのパラメータ0に初期値の書き込みが行われます。(30秒程で完了します)
3、キーをOFFにし、セレクタ番号を0に合わせます。
4、各種調整、マップやパラメータ設定(セッティング)を開始します。
※初期化は必ずしも必要な作業ではありません。既にファイル化したセッティングデータがある場合は、FCSSを使用してフリーダム本体にデータ転送を行う事でこの手順をスキップできます。
■空燃比計連動機能の設定
フリーダムの空燃比計連動機能を使用するにあたり、フリーダムと空燃比計の接続、また、機能を有効にする設定の解説。
空燃比計連動機能とは
外部の空燃比計からの出力をFreedom Computerに接続し、Freedom Computer内部の空燃比マップ(目標空燃比)と常時比較し、空燃比に差がある場合一致する様に空燃比フィードバックを行ないます。
また、この空燃比フィードバック係数に基づき噴射量マップ等を学習します。
メリット
従来のO2センサを使った空燃比フィードバックと異なり、理論空燃比以外の空燃比にフィードバックすることができます。
目標空燃比からのずれ量が判る為、短時間に目標空燃比に近づきます。
高回転、高負荷域でも濃い目の目標空燃比に空燃比マップを工夫することで、巡航状態では理論空燃比より薄くして燃費を良くし、高回転や高負荷域では出力空燃比にしてパワー&レスポンスを求める、というようなセッティングが簡単に行なえます。
使用上の注意
使用する前にFCSS(セッティングソフト)による設定が必要になります。
本来計測用の機器を制御用に使用するので、空燃比計の機能、性能等を十分確認の上使用してください。
使用可能な空燃比計
ワイドバンドO2センサーを使用した計測が可能で、アナログ出力(フリーダムへの入力用)を備えた空燃比計(A/Fモニター)。
また、その計測精度と出力信号のレスポンスに優れている物に限ります。
例えば安価なA/Fメーター等、純正O2センサーの信号を基にA/F値を推測して表示する物では、その情報の信頼性に欠けます。
また、いくら優れた測定機能を有していても、その出力が遅いのでは制御用としての目的を果たす事は出来ません。
目安として、定価が10万円~の比較的高価な物に限定されて来ますのでご注意下さい。
E&Eシステム社推奨の空燃比計
NEKO AF-640
NEKO AF-700(0-5V出力を推奨)
INTEGRAL DM-20M
NGK ABM-10
その他動作が確認出来ており、制御に差し支えの無い物
NGK AFX(日本国内非売品)
INNOVATE LM-1(日本国内正規代理店 GRID)
INNOVATE LM-2(日本国内正規代理店 GRID)
HKS A/F Knock Amp.2
HKS A/F Knock Amp.3
PLX DM-6
NTK AFRM
etc.
※0-5V出力推奨。該当するワイドバンドO2センサーを使用するタイプなら、原則、後述するバイアスとゲインの設定で適合可能ですので、余程聞き慣れないメーカーでなければ大丈夫です。
フリーダムと空燃比計の接続
空燃比計連動機能を使用するには、フリーダム購入時に空燃比計連動機能のオプションを指定するか、購入済みのフリーダムをE&Eシステム社にて機能追加の基盤改造を依頼する必要があります。
空燃比計連動機能を有したフリーダムには、空燃比計連動コネクタが付属(改造の場合は返却時に同封される)しているので、こちらに空燃比計を接続します。
コネクタのオス端子をフリーダムの通信コネクタに接続し、メス端子は従来の通信コネクタとして使用されます。
コネクタ間のポートから赤と黒の配線が出ていますので、こちらの配線に下記の手順で空燃比計のアナログ信号出力線を接続して下さい。
尚、空燃比計によっては、デジタル出力(O2センサーエミュレート信号配線)を有している物や、センサーを複数個使用出来る物があり、各センサーの信号毎に複数本の出力配線を有している場合があります。
使用するセンサーの出力配線と間違わないよう、空燃比計の取扱説明書(仕様書、配線図)を良く確認して作業して下さい。
A/F計の出力が+と-の場合
A/F計の出力が1本(出力)しかない場合
空燃比計連動機能の設定
フリーダムと空燃比計を接続しただけでは機能が有効とはなりません。
FCSSによるフリーダムの設定を行う必要があります。
FCSSメニューより「1 係数」>「14 その他係数」>「13 空燃比制御」の項目を開きます。
以下の通りに設定を行って下さい。
1 空燃比制御フラグ
空燃比計を使用するか否か、また使用する空燃比計を選択します。
フラグの対応は以下の通り。
0:使用しない
1:NEKO AF-640およびAF-700(0-5V出力)
2:NEKO AF-700(0-1V出力)
3:INTEGRAL DM-20M
4:NGK ABM-10
当然、E&Eシステム社が推奨していない空燃比計はフラグの中に含まれていませんが、リストに載っていない空燃比計が使えないわけではありません。
推奨外の空燃比計の設定方法は以下の通りです。
まず、使用する空燃比計の取扱説明書(仕様書)を読み、信号出力を確認します。
信号出力が0~1Vなのか、0~5Vなのかを確認して下さい。
使用する空燃比計の出力が0~1Vであれば「2」を、0~5Vであれば「1」を選択します。(電圧特性の適合した機種、または実用計測域で近い方のフラグを選択する)
ただし、信号(電圧の強弱)とA/F値は一致しませんので、次項のゲインとバイアスで調整を行います。
また、ここの設定を「0」以外に設定した場合、マップ制御に「空燃比マップ(エコノマップと入れ替わる)」が使用されるようになり、エコノマップが使用出来なくなります。
この段階で空燃比マップを編集していない場合は注意して下さい。
また、暫定の空燃比マップを使用する場合は、FCDATAフォルダー内にある「MIXCONT」、FC-03Kの場合は「NMIXCONT」のファイルを転送モードでフリーダムに書き込む事で、FCSS標準のサンプル空燃比マップを使用する事が出来ます。
転送方法は、フリーダムと接続して転送モードを起動し「2 ファイル(全部)→FreedomComputer」を選択。
ファイル選択画面で「MIXCONT」または「NMIXCONT」を選択して書き込みを行って下さい。
念のため、転送完了後に空燃比マップを確認し、暫定のマップが仕上がっている事を確認します。
10 空燃比入力ポート
空燃比計の信号入力を行うポートを確認します。
連動機能付きのフリーダム、または改造後のフリーダムであれば、初期データエリアのデータ内で設定されています。
主に「2」が設定されますが、違う場合は数値を変更して探すしかありません。
2 空燃比計電圧ゲイン
ここでは、下限の信号出力値と上限の信号出力値の差を設定します。
例えば、0-5V出力の空燃比計で、0V時のA/F値が10.0で、5V時のA/F値が20.0の時、設定する電圧ゲインは「10.0」となります。
3 空燃比計電圧バイアス
電圧ゲインの設定後、フリーダムをモニターしながら実空燃比(A/F計の値)とフリーダム実空燃比表示値(モニター画面の表示値)での差を確認します。
確認を行う時の空燃比は、実用範囲(目安:12.0~15.0)で行って下さい。
例えば、A/F計の値が14.0の時、フリーダムの値が14.0であれば、バイアスは「0」と設定します。
A/F計の値が14.0の時、フリーダムの値が15.5であれば、バイアスの値は「-1.5」となります。
フリーダムの値に対し、A/F計の値がどれだけズレているか、その「差」を設定する項目です。
設定後、A/F値が一致している事を確認して下さい。
確認後、アクセルを軽く煽ってA/F値を変化させ、変化量も数値が一致している事が確認出来たら設定は終了となります。
尚、A/F値の変化量が一致しない場合は、ゲインの設定が間違っている可能性があります。
ここでの設定が間違っていると、その間違った値を基に制御されますので、念入りに確認を行って下さい。
仕様書が分かり難い場合
これはあくまでも一例ですが、HKS A/F Knock Amp.2などは、説明書から0-5V出力なのか判断に迷う部分、またその計測値の比例グラフが0.5Vと4.5Vと言った微妙な部分で示されている事があります。
この場合、その関係をグラフ化してイメージし、0V時のA/F値と5V時のA/F値を算出してゲインの設定を行います。
電圧の変化に対するA/F値の変化を確認し、FCSSで設定しなければならない0V時のA/F値と5V時のA/F値を求めます。
例となるHKSの場合は、仕様書に書かれているのが2点値のみで、0.5V時のA/F値が8.0、4.5V時のA/F値が20.0となっています。
この時、4V上昇した時にA/F値が12.0上昇した事が確認出来るため、1V上昇につきA/F値が3.0上昇する事が分かります。
これにより、0.5VにつきA/F値1.5と考える事が出来るため、0.5V=A/F8.0から0.5V分を引く計算となり、0V=A/F6.5と求める事が出来ます。
また、4.5V=A/F20.0であれば、0.5V分を足す計算で、5V=A/F21.5となります。
ここで算出した値から「21.5 – 6.5 = 15.0」となり、ゲイン値は「15.0」と言う事が判明しました。
バイアスは、NEKO空燃比計のフラグを使用した場合、基準位置は0V=A/F10.0となっています。
ここから「6.5 – 10.0 = -3.5」と予想する事が出来るため、バイアス値には「-3.5」を設定します。
この後、実際にフリーダムの表示との差を確認し、その差を微調整します。
ちなみに、INNOVATE LM-1の場合は0-5V間でA/F9.0-19.0となっています。
ここからゲイン値は「10.0」となり、バイアス値は「-1.0」と予想する事が出来ます。
■汎用出力制御の設定と各種フラグ
FCSSメニュー「1 係数」>「14 その他係数」>「14 その他係数2」>「5 汎用出力制御」
汎用出力の設定と、各種フラグのリストです。
汎用出力機能は設定した条件でパワートランジスタをON/OFFすることで、ランプを点灯させたり、特定の機器(ラジエターファン等)を動作させる機能です。
指定した回転数以上でランプを付ける → シフトアップランプ
指定した水温以上でリレーを動かす → ラジエターファン制御
など、様々な用途に使用可能です。
また、複数条件での動作も可能です。
注意
出力の取り出しはオプションの「ランプハーネス」または「リレーハーネス」が必要です。
空燃比確認ランプ機能との併用はできません。
処理の優先順位が低く設定したあるので、高速処理が必要な用途(可変吸気や可変バルブタイミングの切換え)などには不向きです。
EP82NA(4E-FE)用、3気筒汎用には搭載されていません。
準備
まずFCSSの「環境設定」にて、エンジン・車種の選択にて「0 共通」を選択。
FCSSメニュー「1 係数」>「14 その他係数」>「14 その他係数2」>「5 汎用出力制御」の項目を開きます。
以下、各エリアの設定内容。
設定方法
出力本数(出力の有無)
0か1の指定になります。
0:出力なし 1:出力あり
「1」がセットされた場合、直ちに外部出力の処理に入るため、予め他の設定を全て完了した後に「1」をセットする必要があります。
また、条件設定を変更する場合は、一旦「0」にした後変更を行い、変更終了後「1」に再セットしてください。
車種によっては初期値で「1」がセットされているので、条件設定を行なう場合は必ず「0」にしてから行ってください。
条件数
1~5
この条件数に合わせて以降のパラメータをセットする必要があります。
評価データ
評価するデータの番号を表1で指定します。
ON条件
出力をOFFからONにする時の評価値です。
値は内部データ表現で指定する必要があるため、実際の値に評価データに応じた倍率(表1)を掛けて設定します。
OFF条件
出力をONからOFFにする時の評価値です。
値の設定方法はON条件と同じです。
判定条件
判定条件を表2の番号で指定します。
評価データが水温(11)、吸気温(12)、アイドル安定化点火補正値(9)の場合はマイナスの値になる場合があるため、符号有りの判定条件(6~9)を指定してください。
条件間の論理式
条件間の論理式を表3で指定します。
3つ以上の条件がある場合は条件番号の小さい側から順番に評価が行われます。
例えば3条件の場合、第1条件と第2条件の間の論理式の評価を行い、その後その結果と第3条件の間の論理式の評価を行ないます。
出力極性
標準は「0」です。
外部回路の構成などでON/OFFの出力を逆にしたい場合は「1」をセットします。
出力ポート
AE86用、AE92前期、AW11用は「4」、その他は「7」をセットします。
出力極性と出力ポートの設定は最後に行います。
最終条件の判定条件を設定した次のデータエリアに出力極性をセットし、その次のデータエリアに出力ポートを設定します。
ON条件、OFF条件の設定値について
ON条件、OFF条件は、別の値を設定することで、ONからOFFとOFFからONの動作の値に差を付け(ヒステリシス)細かい変動や測定誤差等で、ON/OFFが頻繁に切り替わらない様にするためのものです。
判定条件が「超える」、または、「以上」の場合はON条件よりOFF条件を小さく、「以下」、または、「未満」の場合はON条件よりOFF条件を大きく設定する必要があります。
なお、「同じ」、「異なる」の場合は同じ値を設定します。
フラグ表
表1 評価データの指定番号と単位、倍率
表2 判定条件
表3 関係式
注意
パラメータに誤った値を設定しないようにしてください。
最悪の場合、マイコンが停止しバッテリーのマイナス端子を外した後に初期化処理が必要になります。
また、初期化が必要になった時の為に、設定開始前にパラメータをPCへファイル保存しておくことをお勧めします。
ON条件とOFF条件の大小を逆に設定しないようにしてください。
評価データがON条件とOFF条件の中間の状態になった場合に、高速でON/OFFが繰り返されるため、外部に接続したリレーやモーターに悪影響がでます。
イグニッションON直後、および、初期化動作中は出力が不定になります。
また、エンジンが始動するまでは測定データや算出値は0、補正係数は1.0となるので、その場合でも問題が起こらないように外部回路を構成してください。
出力の取り出しはオプションのランプハーネスまたはリレーハーネスをご利用ください。
汎用出力でラジエターファンを制御する場合のA/Cとの連動の設定(FC-03K)
汎用出力でラジエターファンを制御する場合に、A/Cを入れた時は水温が設定以下でもファンを回す機能です。
FC-03K(INTERNAL Ver 8.00以降)のみ設定可能です。(FC-03、FC-03a、FC-03bでは動作しません)
FC-03K以外で設定を行なうとフリーダムが正常に動作しなくなる恐れがあるため、絶対に設定しないでください。
この機能は汎用出力機能ではなく、車種によってノーマルで装備されているファン制御機能を活用し、その出力先を汎用出力に割り当てる事で実現しています。
従って、設定方法が通常の汎用出力の設定とは異なるので注意してください。
1 汎用出力の動作を止める
FCSSを起動しフリーダムと接続されたら、ファンクションキー3を押してリアルタイムモードに変更する。
「7、汎用出力制御」→「6、出力本数」と進み、「出力本数」を0に変更する。(車種によっては初期値が0の場合がありますが、その場合は確認のみでOK)
2 ファン制御の設定を行なう
ファンクションキー3を押してリアルタイムモードに変更する。
「1、係数」→「14、その他の係数」→「4、ファン制御」を選択し、「1、水温レベル1」にファンを動作させる水温を入力する。
「4、水温ヒステリシス」にファンが入る温度と切れる温度との差を入力する。
切れる温度は「水温レベル1」から「水温ヒステリシス」を引いた温度になります。
「5、ファン制御出力数」にAE86用は4、他の車種用は7を入力する。
■その他サービスデータ
一部、部品交換時に係数の項で入力が必要な設定値の目安を掲載しています。
インジェクター噴射量データ一覧
インジェクター噴射量設定時の参考サービスデータ一覧です。
ポンプ及びレギュレータ交換時・他車流用時は燃圧で実噴射量が変化しますので注意して下さい。
抵抗値は自動判別のため、アフターパーツメーカーのインジェクター含め差し替え可能です。
他車流用時データベースに記載のインジェクターは主に4連スロットルで流用するのが定番になっている300cc/min前後の多孔子タイプの物で、RX-8のプライマリー側(低速側)は過給機仕様で好まれるようです。
尚、NB#C系のインジェクターも多孔子タイプとなっているので、混合気の斑が出易い4連スロットルと相性が良く、AE86~AE92への流用が多いタイプです。
標準インジェクター噴射量
AE86 182cc/min
AE92前期 185cc/min
AE92後期 235cc/min
AE92 S/Cモデル 365cc/min
AE101 295cc/min
AE111 295cc/min
AW11 182cc/min
SW20 NAモデル(3型) 365cc/min
SW20 ターボモデル(3型) 540cc/min
NA6CE 210cc/min
NA8C(シリーズ1) 250cc/min
NA8C(シリーズ2) 250cc/min
NB6C(シリーズ1) 210cc/min
NB6C(シリーズ2) 220cc/min
NB8C(シリーズ1) 250cc/min
NB8C(シリーズ2) 270cc/min
NB8C(シリーズ2)RSグレード 290cc/min
他車種流用時データベース(各車種標準部品データ)
SXE10(アルテッツァ) 340cc/min
SE3P(RX-8)プライマリー(低速側) 430cc/min
SE3P(RX-8)プライマリー&セカンダリー(高速側) 320cc/min
インジェクター交換手順
フリーダムの場合、インジェクターの抵抗値は自動判別となりますので省いています。
尚、インジェクターに極性はありませんので誤配線は無いと思いますが、カプラーは対応した形状で確実に取り付けを行い、また、デリバリーパイプ、インマニ挿入部等、Oリングの確実な取り付けと差し込みを確認して下さい。
誤った取り付けでは燃料が漏れ、最悪の場合は車両火災となりますので十分注意して作業して下さい!
1.燃料ポンプのリレーまたはフューズが別で用意されている場合は抜いてポンプの動作を停止させて下さい。(ポンプのコネクタを抜く方法でも可)
※良くわからない場合は整備書などを確認して下さい。
2.エンジンを始動後、そのまま放置してライン内の燃料を消費してエンジンが停止するのを待ちます。
3.念の為に数回クランキングを行い、僅かに残った燃料も消化します。(絶対に全ては抜けませんので注意して下さい)
4.必ず残った燃料が漏れ、場合によっては噴き出す事があるため、ライン周りにウェスなどを敷き、保護メガネとゴム手袋を着用して作業を開始します。(被るくらいはまだ良いですが、目などに入ると大変危険です)
5.スロットルやインマニ等、周辺部品を取り外し(車種により違うため、整備書を参考にして下さい)、インジェクターは挿し込んでいるだけなので、デリバリーパイプごとインジェクターを引き抜きます。
6.インマニ側にOリングが残る場合があるため、取り忘れが無いように確認を行って下さい。
7.デリバリーパイプからインジェクターを引き抜き、Oリングの取り忘れ等が無いように確認して下さい。(これも挿しているだけ)
8.新しいインジェクターにOリングを取り付け、Oリングにグリス(モリブデン等、ゴムへの浸食が無い物)を少量塗布します。(オイル塗布はしないで下さい)
9.インジェクターをデリバリーパイプに挿し込み、そのまま一式の形でインマニに挿し込みます。
10.逆の手順で周辺部品を組み立て、ライン内に燃料を通します。
※燃圧が掛るまでポンプが回るタイプは、キーONでしばらく待ち、それ以外の場合はエンジンが始動するまでクランキングを行います。
ISCV関係のフラグと入力値
ISCV関係のフラグ設定方法や内容は系数の解説をご覧ください。
AE86へAE101のISCV流用、その他、他車種のISCV流用時等に参考にして下さい。
4連スロットルでアイドリングを安定させるためにはISCVが必要です。
ISCV無しでアイドリングさせる事が不可能と言うわけではありませんが、外乱に弱い事と、安定したアイドリングを実現するのは非常に難しくなります。
AE101系
ISCVフラグ:1100111010000100(入力値:52868)
スレーブ出力:0
回転数フィードバックフラグ:1 or 3
A/C ISC出力フラグ:1
AE111系
ISCVフラグ:1100110010000100(入力値:52356)
スレーブ出力:0
回転数フィードバックフラグ:1 or 3
A/C ISC出力フラグ:1
ロードスター(NA6CE)
ISCVフラグ:1100100010000100(入力値:51332)
スレーブ出力:1
回転数フィードバックフラグ:1 or 3
A/C ISC出力フラグ:0
ロードスター(NA8C)
ISCVフラグ:1110100010110010(入力値:59570)
スレーブ出力:1
回転数フィードバックフラグ:1 or 3
A/C ISC出力フラグ:0
ロードスター(NB8C)
ISCVフラグ:1100100110110010(入力値:51634)
スレーブ出力:0
回転数フィードバックフラグ:1 or 3
A/C ISC出力フラグ:0
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