ここでは過去にE&Eシステム社から販売されていた、通称「青箱」こと、自動車用エンジン・マネージメント・システム「Freedom Computer(以下、フリーダム)」の操作方法について解説をしています。

化石の様な一部の車にしか需要のないネタですが、一部の内容はECUセッティングをする上で役に立つ…かもしれない、程度の内容も含んでいますので、興味のある方はご覧ください。

尚、フリーダムを使用する上でセッティングソフト「FCSS」が必要ですが、オリジナルは3.5インチフロッピーディスクとなりますので、ノートパソコンにFDDが装備されている必要がありますし、フリーダムとの接続にはPCにRS-232Cシリアルポートも必要です。

エンジニア向けのビジネスモデルPCなら装備されている可能性もありますが、家庭向けモデルだとWindows95~98SE辺りの世代になると思いますので、入手がやや困難かもしれませんが、FCSSはWindowsXP SP3までは起動確認しています。

尚、以下の環境設定を対象とした解説であり、旧バージョンやバージョンアップ版では多少内容が違ってくる場合もありますので、予めご了承下さい。

フリーダムバージョン:FC-03K (空燃比計連動機能オプション有り)
FCSSバージョン:for Windows Ver.2.14
環境設定
エンジン&車種選択:0 共通
データ保存フォルダー:FCDATA

※注意!
当サイトの掲載情報はE&Eシステム社の公式マニュアルの内容とは全く異なりますので、誤った解釈が混じっている可能性があります。予めご了承ください。

本ページの項目ではアイドリング時の細かい設定やISCVのアップカウント、スロットル開度への追従設定等、基盤となる様々な系数の設定を行います。

係数は全14項目、ここでは7~10番の項目を解説しています。。

他の係数やMAPの解説、フリーダムの初期設定などについては、セッティングマニュアルのメニューより、各項目の解説ページを参照してください。

◆07.アイドル安定化補正

◆08.アイドルスピードコントロール

◆09.スロットル開度関係

◆10.非同期噴射量

◆セッティングマニュアルメニュー

■07.アイドル安定化補正

スロットル全閉(開度下限)やアイドル接点(全閉検出回路有りの場合)がONになった際、アイドリングの制御へと移行する。

その際、回転数が高い、安定しない等と言った問題を補正によって軽減する目的で設定を行います。

ただし、基本的には機械的な部分(ISCVやスロットルのバタフライ調整等)が適切に調整されている事が前提で、また、こちらの補正とのバランスを考えながら調整していく。

1 アイドル補正間隔

○アイドル安定化補正を計算処理する間隔(クランク回転数、2でクランク1回転毎)

アイドル安定化補正を計算する間隔をクランク回転数で指定します。
ここの値が「2=1回転」となり、4を指定した場合はクランク2回転毎に計算処理を行う。
2~4の間で設定するのが一般的で、あまり周期が短いのも、長いのも不調を招く原因となるので注意。

2 アイドル補正回転数分

○エンジン回転数の変化量にこの値を掛けたものをアイドル安定化補正係数とする

回転数の変化に対して噴射量を調整するための補正値を設定します。
ごく微小な値で0.0000~0.0050付近を目安に微調整を行う。

3 アイドル補正吸気圧分

○吸気圧の変化量にこの値を掛けた物をアイドル安定化補正量とする

吸気圧の変化に対して噴射量を調整するための補正値を設定します。
こちらも微小な値で0.000~0.050付近を目安に微調整を行う。

4 回転数補正500rpm

○アイドル安定化補正値をさらに回転数で補正するための回転数500rpmでの補正値

アイドル安定化補正値に対して、回転数での補正を掛けます。
回転数が落ち込んだ際に、噴射量を増量方向に補正して安定化を図ります。

5 回転数補正1000rpm

○アイドル安定化補正値をさらに回転数で補正するための回転数1000rpmでの補正値

アイドル安定化補正値に対して、回転数での補正を掛けます。
回転がほぼ安定している位置ですが、噴射量を少し減量方向に補正して安定化を図ります。

6 回転数補正1500rpm

○アイドル安定化補正値をさらに回転数で補正するための回転数1500rpmでの補正値

アイドル安定化補正値に対して、回転数での補正を掛けます。
回転数が上昇した際に、噴射量を減量方向に補正して安定化を図ります。


■08.アイドルスピードコントロール

スロットル全閉時にアイドリングを可能としているのが、ISCV(アイドルスピードコントロールバルブ)と呼ばれる、スロットルと並列に配置されたバイパス弁である。

気圧や負荷量等の変化に影響されるアイドル回転数に対し、ISCVの開弁率等を調整して安定化を図るため装置ですが、このISCVの開弁調整に関する設定を行います。

1 ISCVフラグ

○アイドルスピードコントロールを使うかおよびアイドルアップ入力の種類と極性(ビット指定)

ISCVを使用するか否かの設定。
また、その極性や信号等の判断をビットで指定します。

入力されている値は一見でたらめな数値であるが、実は環境設定で16進数表示を有効にしていると設定の内容が把握できる。
表示されている10進数の値ではなく、その下段に表示されている16進数表示に注目して判断を行う。

マイコンの類では通常末尾に「H」を置くのが16進数の表記ですが、フリーダムではMS系BASICと同表記の「&H」を頭に、以降の英数字が16進数である事を意味している。
これはユーザーが入力する上で先頭のダミー入力の手間を省くためだと思われる。

例えば「&HABCD」と言う値の場合、&Hの後に続く「ABCD」の部分が「16進数での値」を意味している事になります。

ここからが本題ですが、この16進数の値を2進数に換算すると2バイト型(16ビット)整数(16桁の0と1のコード)の形となり、この各ビットの「オン(1)」「オフ(0)」で各項目のフラグを決定する。

各フラグの内容は以下の通りです。(ビットの順番は左側の1から始まり、右端で16です。

1← 0000 0000 0000 0000 →16

1 ISCVを使用するか否かの設定(1:使用する 0:使用しない)

2 パージコントロールソレノイドバルブを使用するか否かの設定(1:使用する 0:使用しない)

3 電気負荷3(SPL)信号入力極性(1:High 0:Low)

4 電気負荷4(BF)信号入力極性(1:High 0:Low)

5 電気負荷1(HL)信号入力極性(1:High 0:Low)

6 電気負荷2(ELS)信号入力極性(1:High 0:Low)

7 A/Cアップカウント信号入力極性(1:High 0:Low)

8 電気負荷5(A/C2)信号入力極性(1:High 0:Low)

9 A/C負荷信号によるアップカウントの有無(1:あり 0:なし)

10 内部信号3の有無(1:あり 0:なし)

11 FAN2アップカウント 内部信号2の有無(1:あり 0:なし)

12 FAN1アップカウント 内部信号1の有無(1:あり 0:なし)

13 空き

14~16(3ビットを使用して指定) 駆動周波数(011:313Hz 100:156Hz 101:39Hz 110:20Hz 111:10Hz)

ここで組み立てた16ビット整数(16桁の2進数)を10進数に換算し、その値をこの項目の値として入力する。

何故か入力直後は10進数表示がおかしくなるが、16進数表示は入力した値で正しく表示される。

ISCVの車種別フラグ一覧は確認済みの物を別記のサービスデータに掲載していますので参考にして下さい。

2 ISCVスレーブ出力フラグ

○アイドルスピードコントロール出力の反転出力の有無の指定(0:出力無し 1:出力有り)

ISCVから何らかの制御対象が存在する場合、その出力の有無を指定します。

3 回転数フィードバックフラグ

○アイドルスピードコントロールのフィードバックの有無(0:無し 1:有り 3:学習有り)

アイドリングの回転数制御にベースカウントを用いるが、目標回転数から外れる場合、安定しない場合に、目標回転数に近付けるように補正を掛けるか否かの設定。
また、学習有りの場合はその補正値からベースカウントの書き換え(自動調整)を行う。

4 A/C ISC出力フラグ

○A/C信号入力に対し専用ISC出力をするか否かの指定(0:しない 1:する)

A/C信号に対して駆動するISCV、または別配線として備わっている場合、その信号に対するISCV制御を行うか否かの設定。

5 水温別目標アイドル回転数

回転数フィードバックフラグが有効設定(学習含む)の場合にのみ有効な項目となります。

水温別にアイドリング時の目標回転数を設定し、そのズレに対して回転数フィードバック制御を行います。

また、低水温時は早期暖機終了を考慮して、回転数を高めに保つ意味もあります。

水温が50度以下の領域では水温上昇を優先して高めの回転数を維持し、水温が安定してからは1000rpm前後に設定する事で無駄な消費を抑えます。

基準水温はフィードバック制御が有効となる最低水温の設定を行います。

アイドリング中の回転数をどれくらいに保ちたいかを設定しますが、目標値から大きく外れる場合や駆動カウントが異常に高い場合は機械的な調整が不十分である可能性ありますので、ISCVのアジャストスクリュー等を調整して下さい。

1 水温-20℃回転数
○水温-20度での目標アイドル回転数(アイドルスピードコントロール用)

2 水温0℃回転数
○水温0度での目標アイドル回転数(アイドルスピードコントロール用)

3 水温20℃回転数
○水温20度での目標アイドル回転数(アイドルスピードコントロール用)

4 水温40℃回転数
○水温40度での目標アイドル回転数(アイドルスピードコントロール用)

5 水温60℃回転数
○水温60度での目標アイドル回転数(アイドルスピードコントロール用)

6 水温80℃回転数
○水温80度での目標アイドル回転数(アイドルスピードコントロール用)

7 水温100℃回転数
○水温100度での目標アイドル回転数(アイドルスピードコントロール用)

8 A/C ON回転数
○A/C ON状態での目標アイドル回転数

9 目標アイドル回転数基準水温
○目標アイドル回転数指定の最低水温

6 水温別ベースカウント値

ベースカウントとは、アイドル制御を行う上でのISCVの基準開度(%ではない)の事です。

この基準値を基に、他の補正が加わって最終的な駆動カウントが決定されます。

大きく外れていない限り、フィードバックフラグを学習有りに設定しておく事で、基本的には触れる必要のない部分となります。

数字は小さい程開度が小さく、250辺りで最大開度となります。

基準水温はベースカウントの設定が有効となる最低水温の設定を行います。

1 水温-20℃カウント値
○水温-20度でのアイドルスピードコントロールのベースカウント値

2 水温0℃カウント値
○水温0度でのアイドルスピードコントロールのベースカウント値

3 水温20℃カウント値
○水温20度でのアイドルスピードコントロールのベースカウント値

4 水温40℃カウント値
○水温40度でのアイドルスピードコントロールのベースカウント値

5 水温60℃カウント値
○水温60度でのアイドルスピードコントロールのベースカウント値

6 水温80℃カウント値
○水温80度でのアイドルスピードコントロールのベースカウント値

7 水温100℃カウント値
○水温100度でのアイドルスピードコントロールのベースカウント値

8 ベースカウント値基準水温
○アイドルスピードコントロールのベースカウント指定の最低水温

7 補正カウント値

正様々な負荷に対する、ベースカウントへの加算補正値を設定します。

ベースカウントだけでアイドリングを維持していても、負荷が掛ると一定の回転数を維持する事が難しくなるため、その負荷量に応じてカウント値を補正します。

負荷の内容は以下の通りで、一部はISCVフラグ設定時のビット指定する際の各ビットの内容に対応しています。(負荷の内容は車種により、そのECU配線の並びで変化するので注意)

1 A/C入力アップカウント
○A/C ON信号が入っている時のアイドルスピードコントロールのアップカウント値

エアコンの信号がONになった時のアップカウント値を設定します。

2 A/C負荷アップカウント
○A/C負荷信号が入っている時のアイドルスピードコントロールのアップカウント値

エアコンON時、実際にコンプレッサーが稼働して負荷が掛った際のアップカウント値を設定します。

3 電気負荷1(HL)アップカウント
○電気負荷信号1のアップカウント値(B?:HL 101:テール他orCF 111:テール 他:STP)

電気負荷1が掛った際のアップカウント値を設定します。
(例 ロードスター:ヘッドライト AE101:テールランプ等 AE111:ストップランプ)

4 電気負荷2(ELS)アップカウント
○電気負荷信号2のアップカウント値(B6:P/S他 BP:P/S 101:STPorテール他 111:CF 他:テール他)

電気負荷2が掛った際のアップカウント値を設定します。
(例 ロードスター:パワステ等 AE101:ストップランプ等 AE111:クーリングファン等)

5 電気負荷3(SPL)アップカウント
○電気負荷信号3のアップカウント値(BP:STP 111:BF)

電気負荷3が掛った際のアップカウント値を設定します。
(例 ロードスター:ストップランプ AE111:ブロアファン)

6 電気負荷4(BF)アップカウント
○電気負荷信号4のアップカウント値(BP:BF 111:FAN)

電気負荷4が掛った際のアップカウント値を設定します。
(例 ロードスター:ブロアファン AE111:ファン)

7 電気負荷5(AC2)アップカウント
○電気負荷信号5のアップカウント(BP:デフロスタ 101:AC2 111:デフロスタ)

電気負荷5が掛った時のアップカウント値を設定します。
(例 ロードスター:デフロスタ AE101:エアコンファン AE111:デフロスタ)

8 FAN1アップカウント
○FAN1負荷信号が入っている時のアイドルスピードコントロールのアップカウント値

ラジエタークーリングファン(またはLow側)が作動した時のアップカウント値を設定します。

9 FAN2アップカウント
○FAN2負荷信号が入っている時のアイドルスピードコントロールのアップカウント値

エアコンファン(またはHigh側)が作動した時のアップカウント値を設定します。

10 走行中アップカウント
○無負荷でない場合のアイドルスピードコントロールのアップカウント値

走行中のアップカウント値を設定します。

11 オルタネータ負荷基準カウント
○オルタネータ負荷の基準カウント値(NB#C)

NB系ロードスターのみ、オルタネータ負荷が掛った際の基準となるカウント値を設定します。

12 オルタネータ負荷ゲイン
○オルタネータ負荷のゲイン(NB#C)

NB系ロードスターのみ、オルタネータ負荷によるISCVカウント値の変化量を設定します。

8 回転数フィードバック条件

PID制御の各定数を設定します。

比例制御はそのズレの大きさに比例して補正幅が大きくなる。
積分制御は常にその差を0に近付けるように働き続け、微分制御は簡単に言うと、その補正スピードに対するダンパーのような働きをする。

1 フィードバック開始回転数差
○目標回転数と差がこの値以下になると回転数フィードバックを開始する

設定した目標回転数との差がこの値(rpm)以下の範囲内にある時、フィードバック制御を開始します。
これ以上の値の時はフィードバックが行われず、回転数の差があまりにも大きな場合は機械的な調整が不十分な可能性があります。

2 比例帯幅(目標以下)
○アイドルスピードコントロールのフィードバック定数、目標回転数より低回転側の比例帯幅

目標回転数より低い側にズレている場合の比例帯を設定する。
比例帯を簡単に説明すると、許容とされる差の範囲の事。
値を小さくすればその僅かな差にも敏感に反応し、値を大きくすればその反応は鈍くなる。

3 比例帯幅(目標以上)
○アイドルスピードコントロールのフィードバック定数、目標回転数より高回転側の比例帯幅

目標回転数より高い側にズレている場合の比例帯を設定する。
値を小さくすれば敏感に反応し、大きくすれば反応は鈍くなります。

4 比例分最大カウント値
○アイドルスピードコントロールのフィードバック定数、比例分の最大値

比例分の最大値を設定します。
定数が一定の値を超えた場合、最大値で設定した値に定数を固定して制御を行います。

5 積分時間(目標以下)
○アイドルスピードコントロールのフィードバック定数、目標回転数より低回転側の積分時間

目標回転数より低い側にズレている場合の積分時間を設定する。
値を小さくすれば素早く目標に近付き、大きくすれば緩やかに近付きます。

6 積分時間(目標以上)
○アイドルスピードコントロールのフィードバック定数、目標回転数より高回転側の積分時間

目標回転数より高い側にズレている場合の積分時間を設定する。
値を小さくすれば素早く目標に近付き、大きくすれば緩やかに近付きます。

7 積分最大カウント値
○アイドルスピードコントロールのフィードバック定数、積分の最大値

積分の最大値を設定します。
定数が一定の値を超えた場合、最大値で設定した値に定数を固定して制御を行います。

8 微分時間(下降中)
○アイドルスピードコントロールのフィードバック定数、回転低下中の微分時間

回転数を下げる方向に制御が掛った際、その急激な変動を抑えて目標値を通り越してしまうのを防ぐ。
値を小さくする程ハンチングを抑制するものの、不安定になる傾向にある。

9 微分時間(上昇中)
○アイドルスピードコントロールのフィードバック定数、回転上昇中の微分時間

回転数を下げる方向に制御が掛った際、その急激な変動を抑えて目標値を通り越してしまうのを防ぐ。
値を小さくする程ハンチングを抑制するものの、不安定になる傾向にある。

10 微分最大カウント値
○アイドルスピードコントロールのフィードバック定数、微分の最大値

微分の最大値を設定します。
定数が一定の値を超えた場合、最大値で設定した値に定数を固定して制御を行います。

11 最小カウント値
○アイドルスピードコントロールのフィードバック定数、カウントの最小値

車両によっては、ISCVの駆動カウントが0=最小とならない場合がある。
理由は万が一のISCV故障時等、全閉でストール症状が出るのを防ぐため、ある一定のカウント値に全閉位置を置き、それ以下の値の時にISCVが開弁となる物がある。
この様な場合に、全閉位置のカウント値を最小カウント値(全閉位置)として設定する。(例:ロードスターNA6CEの最小カウント=80辺り)

12 フィードバック停止モード
○ISCVのフィードバック開始条件(0:車速0 1:車速0&無負荷High 2:無負荷Low 3:無負荷High)

ここで設定したフラグの信号が無い場合はフィードバックが停止します。

9 始動後補正等

エンジン始動時のISCVの動作を設定します。

1 始動時カウント値
○始動時のISCVのカウント値

クランキング時のISCV開度を設定します。

2 始動時モード継続時間
○ISCVの始動時カウント値の継続時間

前項で設定した始動時のISCV動作をどれくらいの時間継続するかを設定します。

3 始動後アップカウント
○始動直後のアイドルスピードコントロールのカウントアップ値

始動直後(初爆後)にアイドリングを安定させるまでの間、ISCV駆動カウントを上げる設定をします。

4 始動後アップカウント減少間隔
○アイドルスピードコントロールの始動後アップカウントの減少処理の間隔

前項で設定したアップカウント処理を徐々に減らす処理を行う、その減少間隔を設定します。

5 ISCV制御入力負荷種別
○ISCV制御対象の負荷種別(0:オルタネータ制御量 1:消費電流値)

ISCV制御対象となる負荷の種別を設定します。

6 アイドルアップ電流値
○アイドルアップする負荷電流値

設定値以上の負荷電流が掛った時にアップカウント処理を行う設定。

7 アイドルダウン電流値
○アイドルアップをやめる負荷電流値

負荷電流が設定値以下となった時にアップカウント処理を停止する設定。

8 アイドルアップカウント
○アイドルアップ時のアイドルスピードコントロールのアbプカウント値

FCSS上の説明欄ではミスタイプがあるが、とりあえず忠実に再現(笑)
前項のアイドルアップ時のアップカウント値を設定します。

9 ダッシュポット制御継続時間
○ダッシュポット制御の継続時間

ダッシュポットとはダンパーの一種で、急激な動きを抑えて緩やかに制御を行います。
スロットルを全閉し、アイドル接点がONになったからと即座にアイドル制御に移ると空燃比が不安定になるため、このポイントの動きを緩やかに制御します。(スロットルの閉じるスピードを意図的に遅くする)
この制御の継続時間を設定します。

10 ダッシュポット制御アップカウント
○ダッシュポット制御時のアップカウント値

ダッシュポット制御が行われている時のアップカウント値を設定します。

11 ダッシュポットアイドル判定遅延
○ダッシュポット制御でアイドルモードへの切換えを遅らせる時間

ダッシュポット制御でアイドルモードに切り替わるまでの遅延時間を設定します。
ここでは遅延時間、前項の継続時間は緩やかに制御する時間です。

12 制御切換え回転数差
○アイドルスピードコントロールでカウント値を逐次増加にする切換え回転数

カウント値を徐々に増やしていく方向に制御を始める回転数を設定します。

13 逆制御回転数幅
○アイドルスピードコントロールでカウント値の逐次増加回転数幅

カウント値を増やす事により上昇させる回転数の値を設定します。

14 逆制御ゲイン
○アイドルスピードコントロールでカウント値を逐次増加の傾き(増加量)

徐々に増やしていくカウント値の増加量を設定します。


■09.スロットル開度関係

スロットルが今どんな状態にあるのか、その各接点の内容や各ポイントを入力し、スロットルポジションセンサーの設定を行います。

ここが適切でないとスロットル開度に対する制御が上手く機能しないため、非常に重要な項目となります。

1 スロットルポジションセンサーモードフラグ

○スロットルポジションセンサがスイッチ式かリニア式かの指定(0、2:スイッチ 1:リニア)

スロットルポジションセンサーは大別して2種類、スイッチ式とリニア式があります。
オンかオフかの2点、または全閉・中間・全開の3点を判別するスイッチ式。
0~100%までを確実に判断できるリニア式。
ここではまず、そのセンサーの種類をフラグで選択します。

2 アイドル接点フラグ

○アイドル接点信号の有無(0:有り 1:無し=スロットル開度からアイドル検出)

スロットルポジションセンサーのアイドル接点の有無、または使用するか否かを設定します。

3 全閉レベル学習OFFフラグ

○スロットル全閉レベルの学習を行うか否かの指定(0:行う 1:行わない)

スロットル全閉位置を学習するか否かの設定を行う。

4 スロットル開度データ出力フラグ

○スロットル開度データ(3ビット)を出力するか否かの指定

AT車のトランスミッション制御に用いるフラグ。
アクセル開度に応じたシフトタイミングや、キックダウン判定等に用いる。

5 出力増量補正開始スロットル開度

○スロットル開度がこの値以上の時出力増量補正をかける

スロットル開度がここで設定した値以上の開度に達した時、出力増量補正が掛る。
出力増量補正を掛けるスロットル開度を設定します。

6 出力増量補正値

○出力増量補正係数としてこの値を使う

出力増量補正値を設定します。
出力増量補正が掛った時、噴射マップにこの値が掛けられますが、噴射マップが適正であれば使用する必要は無い。

7 スロットル全閉レベル

○スロットルポジションセンサの開度0%の入力レベル(学習有り)

スロットル全閉時にスロットルポジションセンサーから出力される電圧レベルを設定します。
自動設定ですが、大きくズレている場合は手動で設定を行います。

8 スロットル全閉レベル補正値

○スロットルポジションセンサの開度0%の入力レベルを電源ONの度にこの値だけ増やす

スロットル開度信号はその他電気負荷の影響で乱れが生じる為、最小値の全閉レベルでエンジンを始動した際、不安定になる場合がある。
そのため、ここで設定した値を全閉レベルの値に加算して始動を行う設定。

9 スロットル全開レベル

○スロットルポジションセンサの開度100%の入力レベル

スロットル全開時にスロットルポジションセンサーから出力される電圧レベルを設定します。

10 アイドルON開度

○アイドル接点が無しモードでスロットル開度がこの値以上の時非アイドル状態と判断

アイドル接点が無い場合、または使用しない場合、スロットル開度でアイドル状態を判断する。
ここで設定した値以上の開度になった時、非アイドル状態と判断する。
この値は開度(%)ではなく、スロットルポジションセンサーから出力される電圧レベルの設定となるため注意して下さい。

11 アイドルOFF開度

○アイドル接点が無しモードでスロットル開度がこの値以下の時アイドル状態と判断

アイドル接点が無い場合、または使用しない場合、スロットル開度でアイドル状態を判断する。
ここで設定した値以下の開度になった時、アイドル状態になったと判断する。
この値は開度(%)ではなく、スロットルポジションセンサーから出力される電圧レベルの設定となるため注意して下さい。

12 全閉レベル学習有効条件

○スロットル全閉レベルの学習を行う条件の指定

スロットル全閉レベルの学習を行う条件を指定します。
条件フラグ「0:車速0 1:車速0&無負荷入力High 2:無負荷入力Low 3:無負荷入力High」

13 スロットル開度補正ポイント1~10

メインメニューのマップ軸変換で同じ設定変更が行えるため、こちらで設定する必要は無い。

各スロットル開度ポイントの設定を行います。

1 ポイント1
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の1番目の値

2 ポイント2
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の2番目の値

3 ポイント3
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の3番目の値

4 ポイント4
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の4番目の値

5 ポイント5
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の5番目の値

6 ポイント6
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の6番目の値

7 ポイント7
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の7番目の値

8 ポイント8
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の8番目の値

9 ポイント9
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の9番目の値

10 ポイント10
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の10番目の値

14 スロットル開度補正ポイント11~20

メインメニューのマップ軸変換で同じ設定変更が行えるため、こちらで設定する必要は無い。

各スロットル開度ポイントの設定を行います。

1 ポイント11
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の11番目の値

2 ポイント12
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の12番目の値

3 ポイント13
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の13番目の値

4 ポイント14
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の14番目の値

5 ポイント15
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の15番目の値

6 ポイント16
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の16番目の値

7 ポイント17
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の17番目の値

8 ポイント18
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の18番目の値

9 ポイント19
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の19番目の値

10 ポイント20
○スロットル開度補正マップの横軸(スロットル開度)の20番目の値


■10.非同期噴射量

スロットル開度が急激に変化した場合、吸入空気量が大きく変化するが、この変化に対するラグが生じて一瞬空燃比が希薄になりレスポンスが悪くなる。

非同期噴射とは、このように同期噴射では間に合わない場合、別に必要となった分を噴射する設定を行います。

1 非同期噴射500rpm

○非アイドル状態へ切り替わった時の、500回転での非同期噴射時間

アイドル状態から、非アイドル状態へ切り替わった時の噴射時間(単位:ms)を設定します。
500rpmでの噴射量を設定するのは、あくまでも計算上の基準を設定する意味であり、実際に500rpmでアイドリングをしている時の噴射時間と言うわけではない。

2 上限回転数

○非アイドル状態へ切り替わった時の非同期噴射を行う上限回転数

回転数で設定するゲインと考える事が出来る。
ここで設定した回転数に達した時、非同期噴射時間は0msとなる。
前項で設定した500rpm時の非同期噴射時間を最大値とし、そこから上限回転数に近付く程、非同期噴射時間は徐々に減少して行く。
前項で設定した500rpmの値と、ここで設定した上限回転数=0msの関係をグラフ化する事で各回転数での非同期噴射時間が算出出来る。

3 非同期噴射下限値

○スロットル開度の変化がこの値以上の時非同期噴射を行う

エンジン回転数1回転の間のスロットル開度変化量が、この値以上の時に非同期噴射を行う。

4 非同期噴射上限値

○スロットル開度の変化がこの値以上でもこの値として非同期噴射時間を計算する

スロットル開度変化量がこの値以上の時は、この値以上でもここで設定した変化量と同じ値で噴射時間を計算する。

5 非同期噴射ゲイン

○スロットル変化から下限値を引いた値にこの値を掛けたものを非同期噴射時間とする

スロットル開度の変化量から前項の下限値を引いた値に、ここで設定した値を掛けた物を非同期噴射時間とする。