マツダ・RX-8のクラッチペダルのトラブルが多数報告されています。

定かではありませんが、意図的に軽量に作ってあると言う噂があり、確かに実物を確認すると恐らくペダルのベースが、みなさんがイメージしているよりずっと薄い鉄板で作られている事に驚くかもしれません。

長年の使用により、金属疲労で折損すると言うトラブルなのですが、これが薄いから壊れるのだと予想している人が多い様です。

実際にGoogleで検索をしてみると、破損したクラッチペダルの写真や記事を確認する事が出来ますが、本当に薄いのか?と言う疑問について。

それが普通と言わざるをえません。

いや、これが本当に。ロードスターセリカムーヴなど、少なくとも、私が今まで色々と見て来たクラッチペダルと比較しても特別鉄板が薄いと言った事はないです。

至って普通の作りですので、鉄板が薄いと言う話は、単なる噂に過ぎない可能性が高いと言えるでしょう。

となると、何故折れるのか謎だ…と言う事になりますが。

リコールも出ないし、対策品番に変わっているわけでもなく、メーカーは構造的な問題はないと考えているのでしょう。

ただ、鉄板を繋ぎ合わせるスポット溶接が左右1点ずつしかないと言う点が、やや不安な印象です。

しかし、構造を見る限りでは、ボルトで締め付けるため、特に問題とも思えない。

そしてもう一つ気になる点は、折れ方に特徴が見られると言う事が若干気になります。

◆ペダル破損の前兆

◆予想される原因

◆強化クラッチペダルと比較

◆ペダル交換時の注意点

■ペダル破損の前兆

中古で購入後、納車されて1年程経った頃に一度クラッチペダルが折れました。

この頃にあった症状ですが、クラッチのエア抜きも行い、自分で言うのもなんですが、そんなにシフトが下手と言うわけでもありません。

ですが、どう言うわけかRX-8に乗り換えた直後からシフトミスが多くなり、どうもクラッチを踏み抜いてもギアの入りが渋い印象を受けていました。

こう言うものなのかと半ば諦めもありましたが、1年程経った頃に、露骨にペダルの違和感を感じる様に…。

どこかグニャッとしたタッチで、クラッチがしっかり切れていない様な感触です。

この頃は頻繁にエア抜きをしていたのを覚えています。

ちなみに、納車直後からキュッキュッと言った音や、ギーギーと言った異音は発生していましたが、これはロードスターの頃にもペダルの付け根に付いている、マスターシリンダーを押すロッド部分のグリス切れや、ペダルのスプリングのグリス切れなどから発生する音もあったので、特に気にしていませんでした。

そしてある日、まさかの足を滑らせ、クラッチペダルを踏み損ねた?と思ったら、そうではなく、ペダルが斜めに曲がっていましたとさ(笑)

すぐに部品を手配して新品に交換したのですが、この時にペダルに起こっていた現象が、ペダルベースの溶接剥がれとクラックです。

 

■予想される原因

冒頭で言った通り、ネット上で噂されている鉄板が薄いと言う話は単なる噂に過ぎないと私は考えています。

ただ一つ気になるのが折れ方の特徴で、私のペダルも含め、ネット上で見付かる破損したペダルの写真はどれも右に向かって曲がり、ペダル左側の取り付け部破損です。

実はこれ、ネットでRX-8のレビューなどを検索していると良く見られる報告なのですが、エンジンを後方にマウントしている都合上、運転席の足元の空間が狭いと言った感想が多いです。

これによって何が起こるかと言うと、RX-8のペダル配置が全体的に右寄りで違和感を感じると言う人が多い様です。

元々狭いロードスターからの乗り換えや、初めての車がRX-8だと特に気にならないと思いますが、足元の広い車が多いトヨタ車などから乗り換えると、露骨にペダルが右寄りだと感じそうです。

初めてペダルが折れた際に写真を撮っておけば良かったのですが、定番のトラブルとは思わなかったため、一応一通り観察しただけで破棄。

当時観察した範囲ではペダルの左側の擦れが多い事から、恐らく、以前のオーナーが真っ直ぐではなく、右に向かって力を掛けながらペダルを蹴り込んでいるのではないかと予想出来ます。

つまり何が言いたいかと言うと、常にペダルを曲げる方向に力を掛け続けた結果ではないかと言いたいわけです。

まあ、これ自体も予想でしかないので正確な原因とは言えませんが、共通して右向きにペダルが折れる症状なのですから、ペダル配置に違和感を感じている層が、無意識に斜めに踏み込んでいる可能性は高いのではないでしょうか。

ですが、だからと言ってこんな簡単に壊れて良いはずもなく、メーカーの対策が望まれるところですが、なんだかんだで圧倒的少数派なのでしょうか。

今のところメーカーが何らかのアクションを起こす事には期待出来そうにありません。


■強化クラッチペダルと比較

今回も、ギーギーと音が出て来たので、まさかと思って折れる前に交換してしまおうと考えました。

この際にふと噂に聞いた、強化クラッチペダルを導入してみようと考えたわけです。

こちらが、佐藤商会(RSPANTERA)強化クラッチペダル

商品の補強部位など、詳細な写真情報は佐藤商会さんに許可をお願いしたところ、快諾頂けましたので紹介させて頂きます。

検索して出てくる情報は標準強化品ばかりの様だったので、更に補強の追加されたSPL品を選択してみました。

ラインナップは5速用と6速用があり、純正価格は5速用が10400円、6速用が14100円。

これに対して佐藤商会の強化品は5速用が14700円、6速用が18400円となっています。

そしてSPL品は24800円となります。(2019年4月現在の価格)

純正の価格を考えるとプラス1万円となりますが、これで折れる心配が無くなるのであれば安いもんです。

ちなみに、結果から言うと、今回の異音は前回交換時にグリス塗布が不十分だったのか、ロッド部のグリス切れでした。

今回ペダルの破損はありませんので、実際に破損したペダルの写真がお見せ出来ませんが、破損報告のある部分を以下に示しておきます。

実際の破損例が確認したい方は、佐藤商会の商品ページに掲載されているので、ご覧になられてください。

写真の向かって右側が、ペダルの左側となります。

マツダディーラーにて確認したところ、確認を取った店舗では、溶接剥がれのトラブルはいくつか実際に報告されていると言う事です。

クラックは今のところ見ていないとの事。(以前破損した私のペダルは完全に千切れました)

赤丸の2か所がスポット溶接されている部分で、恐らく写真左の方はそうそう壊れません。

先に剥がれるのが写真右側の溶接で、更にオレンジの線で示した部分がクラックの入る位置です。

酷い場合は、クラックがスポット溶接の方へ走って、完全に千切れます。

そしてこちらが強化ペダルとなります。

厚みのある板を重ねた上から、周囲をガッチリと溶接してあるのが確認出来ると思います。

これで破損し易い部分がしっかり補強されているわけですね。

ここまでが純正部品にプラス4000円で施工してもらえる標準強化品の内容ですが、標準強化タイプは溶接補強のみで、写真の様なSPL品のプレート補強は入りません。

SPL品は上記の補強に加えて、更にペダルベースの剛性強化が加わります。

まず、こちらが通常の純正ペダルの写真です。

そしてこちらが強化品ですが、ここの隙間に補強が入り、ペダルベースの変形を抑えている様です。

ちなみに、強化の内容は板の溶接だけではありません。

この様に、鉄板を合わせているだけで浮いている部分にビードを入れ、ガッチリと繋げてあります。

ペダル交換後に乗ってみるとわかりますが、見違える様にペダルタッチがカッチリして、操作性が良くなっている印象を受けると思います。

まあ、これはヘタったペダルから新品に交換するだけでも同じ様に感じるかもしれませんが、半クラッチの感覚や、クラッチが繋がる瞬間などを足の裏で感じ取れるくらいにダイレクト感が増します。

ペダルが壊れていなくても、先行して交換するのもありなんじゃないでしょうか。


■ペダル交換時の注意点

ペダルを自分で交換する際は、庭先作業だとやや無理な体勢で作業する事になるため、腰など痛めない様にご注意ください。

作業自体は大して難しくはないので、ディーラーで該当箇所の整備書をコピーしてもらうと良いかと思います。

注意点と言っても作業性が悪いだけで、除けばスイッチ類のカプラーとクリップを外し、ネジを外せば引き抜けるので、逆の手順で組み立てるだけなのですが、クラッチスタートのスイッチが曲者です。

整備書で確認すると、スイッチは再使用不可となっており、ペダルから取り外すと二度と使えません。

単なるA接点のスイッチなのに何故?と思ったのですが、これを調べていると、どうやら中身の構造に秘密があるらしく、一度押し込んだスイッチを中立位置から伸ばすと、接点までの距離が変わって?ペダルを踏んでも通電位置までロッドの押し込みが届かなくなるとか。

ちょっと何言ってるのか良くわからない!って思うかもしれませんが、新品スイッチを指で押し込んで手を離してしまうと、恐らくその時点で終わりますのでご注意ください(笑)

現在付いているスイッチを再利用したい場合は、取り外す前にスイッチから出ているロッドを押し込み、テープなどで固定してください。

新しいペダルに取り付けた後、テープを剥がしてロッドをフリーにしてやれば問題なく動きます。

ちなみに、このスイッチを壊してしまったら新品は約2000円です。

また、クラッチスタートが不要であれば、そのままカプラ側で短絡させてやれば、スイッチ無しでもクラッチを踏まずにエンジン始動は可能な仕様となりますので、無理にスイッチを使わなくても特に問題が無いと言えば無いです。

そして最後に、クラッチペダルの遊びと、ミートポイントの調整です。

基本的には調整済みですし、気になるなら取り外したクラッチの調整ネジの長さを確認して合わせてやれば問題ありませんが、以下の部分で調整が可能です。

ペダルの遊びを調整したい場合はこの部分のボルト突出し量を好みに調整してください。

ボルトの頭を出してやれば遊びが少なくなり、捻じ込めば遊びが増えます。

ミートポイントの調整はペダル付け根にあるプッシュロッドを調整します。

これも突出しを増やせばクラッチペダルのストロークは浅い所で繋がる様になり、突出しを減らせばクラッチの繋がる位置は深くなります。