ロードスターが車検の時期を迎え、ディーラーに預けて来ました。
代車にCX-3をお借りしたので、この機会にガッツリ乗って流行のSUVを思いっきり体験してみたいと思います!
SUVと一言に言っても、本格的なトヨタ・ランドクルーザーや軽自動車ながらオフロードの走破性に定評があるスズキ・ジムニーなどの無骨なデザインがカッコイイ車種の他、トヨタ・ハリアー等の様に絶対オフロード走れないでしょ?って感じの、なんちゃってモデルみたいな車種もありますが、それはそれで都会的でカッコイイ。
今時、キャンプ場やスキー場へ向かう道でさえきちんと舗装された道路ばかりだし、多くの場合、好んでオフロードに突っ込む人などほとんどいないわけで…
そうなると、単なるデザインの流行であり、SUV風の何かで事足りると言うわけだ。
しかし、SUVはどれも重心は高そうだし、車重も重そうで足もぐにゃぐにゃしてそう…と言う印象から、動きが鈍いんじゃないかと勘繰ってしまい、スポーツカーを好む私の嗜好とは相反した乗り物だと勝手に決めつけて避けていた。
それらはあくまでも印象の話であり、実際には乗ってみなければわからない事も多いので、今回は本当に良い機会だと思って遠慮なく楽しませてもらいましょう!
■マツダ2ベースのSUV「CX-3」
マツダのエントリーモデルに、誰でも扱い易いサイズ感と手頃な価格のマツダ2(デミオ)と言う車種がある。
今回紹介する「CX-3」はマツダ2をベースとしたSUVだそうで、やや外観のデザインは異なるがマツダ2の背を高くした様な乗り物…
…じゃ、ねえんだわ(笑)
失礼ながら、SUVに全く興味を持っていなかったので街で見掛けても大して気にも留めていなかったが、改めて見ると全然デザインが違うのはもちろん、5ナンバーの小型乗用車に分類されるマツダ2に対してCX-3は3ナンバーサイズの普通車である。
3ナンバーとは言っても、車幅で7cm程度、全長で20cm弱と極端に差があるわけではないのですが、かなりデカく見える。
白と言う膨張色の影響もあると思いますが、なんかデカいな…って印象は拭えない。
デザインについては、メッキの加飾などマツダらしい上手な使い方で、グリルの面積は広いのに下品に見えない点はGood!
また、ボディ下端やフェンダーアーチなどが黒塗りで、実際の車高以上に高く見える。
こう言うのを普段乗り用に購入すれば、フェンダーとタイヤの隙間が気になって足車にも車高調を買うなどと言う愚かな事をせずに済みそうである(笑)
引っ込んだホイールも、SUVなら全然気にならないよね。むしろ良い。
リアビューもどっしりとした印象だが重過ぎず、トヨタの何かの様なゴテゴテ感など全くないのでシンプルでカッコイイ。
今回お借りしたモデルは1.5Lのガソリンエンジンのモデルですが、大排気量車を彷彿とさせる2本出しのマフラーはシンメトリのデザインで気持ちがいい(笑)
エントリーモデルとは言っても安っぽさはなく、デザインも凝っているので満足感は高そうですね。
サイドの造形も良く、綺麗なプレスラインが見られるので、買うならマシーングレーなどのコントラストが出易い色を選びたいところ。
後から走行レビューで触れるべき内容かもしれないが、運転中に視界に入る範囲のインテリアデザインはマツダ2とほとんど同じなので違和感はないが、妙に圧迫感を感じるのはエクステリアデザインの影響が強い印象。
車幅や全長はマツダ2より大きく、最低地上高も2cmほど高いので明らかに大きく見えるのですが、意外な事に”全高は同じ”である。
全高が同じなのにボディの面積が厚くなる分、窓の面積が割を食っている印象で、サイドウインドウのみならず後方視界も劣る。
ただし、ドアミラーはマツダ2よりデカいので見易い。
尚、ホイールベースもマツダ2と全く同じ設定となっており、見掛けの割に小回りも利くため狭い所で切り返すのもそれ程苦にならない。
尚、車高はシャシーの構造的な理由ではなくタイヤサイズによる底上げが主と言った印象で、215/50R18と言ったちょっと聞き慣れない微妙なサイズを履いている。
もちろん、車重の差もあるのでスプリングレートなどにも違いはあると思われるが、ハンドルを切って覗き込んだくらいでは特にこれと言った大きな違いは見られず。
一見すると、シャシーは完全に共通ではないかもしれないが、やはりマツダ2ベースと言った感じに見える。
■インテリアデザインと必要十分な快適装備
続いてインテリアを見てみよう。
インテリアのデザインはほぼマツダ2である。
良く見て比較すれば、ドアハンドル周りのデザインが違ったり、デコレーションパネルの形状に違いはあるが、座席より前方の見た目や使い勝手はマツダ2とCX-3で大きな違いはない。
悪く言えば、特別感もない。
強いて言うなら、下のグレードでもデコレーションパネルがレザー張りだったり、本革のステアリングだったりと、プレミアム感はマツダ2に比べて強いのかもしれない。
この車両はATで、最近ではコンパクトカーでもそれ程珍しくはないが、備わっているトランスミッションは6速となっている。
また、マニュアルモードもあり、AT任せにせずドライバーの意志でシフトを選択可能となっているので、運転を楽しみたいと言うドライバーにとっては嬉しいポイント。
尚、グレードにもよるのかもしれないが、パドルシフトは付いていないのでレバー操作が必要である。
ちなみに、ノーマルモードとスポーツモードの切り替えスイッチが付いているのだが、これはAT任せにした場合にシフトタイミングが替わるだけ(スポーツモードではやや高回転まで回ってシフトする)で、マニュアルモードを使用して任意にシフトチェンジする場合は何の関係もない。
いくらマツダでも、BMWなどの様にエンジンの制御MAPまで切り替わる様なイカレた仕様ではない様子。
まあ、こんな車でジムカーナなどやる人はいないだろうから何も困る事はないのだが、パーキングブレーキがボタン式となっているのはちょっと寂しい。。。
車のタイプを考えると、車内を広々使える配慮だとは思うのだが、その割には肘の辺りに何か邪魔くせえモンがあるな??
なんだこれはっ!?お偉いさんの椅子か?お?
今時はみんなここに肘を置いて運転してるのか?ハンドルは両手で握りやがれ!
お前が乗っているのはマツダだぞ。トヨタではない。
しかし、なんだこれは?悔しいが肘を置いて運転すると想像以上に快適だ…。
ふざけるな!こいつは減点だ!!
快適なマツダ車など、許されるわけがない。
座席については恐らくマツダ2と全く同じ物が使われている。
グレードの違いや特別仕様車などで異なるバリエーションが用意されているかもしれないが、基本的には同じと思って良い。
後部座席もほぼ同じで、空間の広さもマツダ2と大体同じくらい。
写真では前方の座席を一番後ろまで下げているが、大人でも普通に乗れるので十分でしょう。
ただ”ほぼ”同じと言ったのは、ちょっとだけマツダ2と違う部分がある。
なんと、中央の背もたれ部分に内臓されたアームレストがあり、更にドリンクホルダーのギミック付き!
こんな物、マツダ2には付いてねーぞ!おい!!
…ん??
良く見ると、ドアパネルにもドリンクホルダーを兼ねたドアポケットが付いているじゃないか!!
マツダ2には付け忘れていた装備が、CX-3にはしっかり装備されているのだ。
更に、地味に便利な装備と言えばこんな物も付いている。
RX-8に乗っていた時はこのサングラス入れが重宝したのですが、ロードスターはともかく、マツダ2にも付いていない装備である。
これはちょっと悔しい。。。
ラゲッジルームの広さは必要十分で、家族で旅行に行ってお土産まで買い込んでも差し支えない程度の広さを有している。
マツダ2に比べて車両全長が伸びている分か、やや奥行きが広く見えるが床は浅い。
これが良いのかどうかは用途にもよるが、どうやら二重底になっている様で、フタを開けば更に15cmほどの深さのスペースが現れる。
必要に応じてフタを取り外して使えば更に大きな物でも載せられるわけですが、そもそも二重底にする必要があるのかどうか疑問である。
ただ、この蓋を付けたまま後部座席を倒せばフラットになるので、マツダ2の欠点だった部分を解消すると言う意味では一役買っている。
グローブBOXもマツダ2と変わらぬ控え目な容量で、全体的に収納が多いとは言えない点は同様ですが、前述した後部座席エリアのドリンクホルダーなど、家族や友達と出掛ける際には欲しいと感じる最低限必要な装備は一通り揃っているので不足はない。
ましてや、トヨタ車ではなくマツダ車である事を考慮すると、快適装備の充実した1台と言えそうだ。
■1.5Lでもパワーは十分!
気になるのはストレスなく走れるのかと言う点。
CX-3は約1トンのマツダ2に比べて、200kgも重い1.2トンの車重となっている。
ボンネットを開くと、やはりエンジンが小さい…
おまけみたいなエンジンで、見るからに頼りない印象を受ける。
現行型では2.0Lのガソリンエンジンはカタログから消えているが、1.8Lのディーゼルターボのモデルもあるので、それらを選択すれば十分なのは想像に容易いが、今回お借りした1.5Lのガソリンエンジンで1.2トンの車体を走らせるとなると、さすがに不足を感じないかと心配になる。
だが、これが思った以上に発進から加速までスムーズで、ATなので発進時の低速はトルクコンバータの恩恵もあるかもしれないがストレスは感じない。
もちろん、大排気量でパワフルな事に越した事はないが、一般道からワインディング、高速道路に至るまで全く不足はない。
エンジンルーム前方エリアのクリアランスが広いのは、2.0Lや1.8Lディーゼルの設定もあったからだと思ったのだが、よくよく考えてみるとFFのためエンジンは横置きなので、単純にノーズを長く見せるデザインの問題だと思われる。
そもそも2.0LのPEエンジンでも、1.5LのP5エンジンに比べて20mm程度しか変わらないのでこのスペースは不要だろう。
ただ、ちょっと気になるのはエアクリーナーBOXとダクトの構造で、これはマツダ2から完全に部品を使い回している印象。
マツダ2はバンパーとボンネットの継ぎ目にフィットする様な配置となっていて、ボンネット裏もわざわざガイドの形状に整えるなど、吸気効率UPを狙っている様に見えるのだが、CX-3ではあまり意味はないか、むしろデメリットと成り得る位置の様に思える。
だからと言って体感として出力低下などを感じるわけではないが、ノーズの距離が伸びている分延長するか、従来通りバンパー裏に吸気口を配置するなど、エンジンルームの熱気を吸い難い対策が取られていれば好印象なのは間違いない。