今回は、ちょっと興味深い話を耳にしまして。。。
昭和後期から平成初期に放送されていた「まんが日本昔ばなし」と言う子供向けのアニメがあったのをご存知だろうか?
最近ではDVDなども販売されていたりするので、若年層でも知っていると言う人はいるかもしれませんが。
この、まんが日本昔ばなしのトラウマ回と言われている中の一つに「吉作落とし」と言う物語があるそうで、どうやら大分県南部に昔から伝わる民話らしいのだ。
山奥に一人で行くのは危ないと言う訓戒として伝わっている民話で、物語の主人公である吉作と言う人物が実在した人なのかどうかまでは定かではない。
安心してほしいのですが、トラウマ回とは言っても妖怪などが登場するわけではないので、話自体がそれ程恐ろしいものではなく、アニメの演出と、崖に取り残されると言う絶望感が見るに堪えないと言う内容らしい。
極寒のスキー場のリフトに置き去りにされる、B級ホラーの「フローズン」なんて映画もちょっと話題になっていましたが、電話が通じない、降りられない、誰も助けに来ないと言うのは、現代人にとっても恐怖なのは間違いないですけどね(笑)
話を戻しますが、吉作落としと言う話の中で登場する「豊の国(大分県)の傾山」と言う場所は実在する山です。
大分県と宮崎県の県境にある山で、登山口は宮崎県側にあるそうな。(緒方町周辺の民話と言われているので、実は緒方町からの方が近いかもしれない)
また、この傾山の中に「吉作落とし」と言う不吉な地名が存在し、その場所こそ吉作が飢えと疲労に耐え兼ねて身を投げた場所…つまり、大昔の死亡事故現場と言う事になる。
ちょっと悪趣味ではあるが、民話の舞台となっているその場所を見に行ってみようではないか。
■ととろのバス停を無視して県道6号線を突っ走る!
大分県の三重町経由で国道326号線を通り、佐伯市宇目へ向かって車を走らせる。
ドライブやツーリングでは定番のコースで、この先にある道の駅 宇目は人気のスポットでもありますね。
いつも同じコースなんて走ってもつまらないでしょ?
たまには、誰も通らない脇道へ逸れてみようではないか。
国道326号線を走っていると、道の駅 宇目より随分手前に、あの有名スポット「ととろのバス停」へ向かう入口がある。
この道については以前のドライブスポット紹介記事でも触れているので、このY字路に見覚えがあるはず。
今日はととろではなく、県道6号線を通って宮崎県西臼杵郡の日之影町方面へ向かう。
初めて通る道だが、県道6号線の入口は広い2車線道路で走り易そう♪
山の中を走るのでカーブの見通しが良好とは言えないものの、路面も綺麗でドライブには最適に思えるが、何故交通量が極端に少ないのか?はて…?
その理由はすぐに判明する(笑)
10分も走らない内に突然道幅が狭くなり、舗装の質も悪くなってくる。
走行には差支えないが、気持ちよく走れる道とは言い難い感じだ。
かと思えば、また突然道が広くなったり。。。
ここから清川の方にも抜けられる様で、この交差点を曲がって行く車、また、この交差点から出てくる車は見られたが、日之影方面へ向かう車はいない。
少し進めば、なるほどって気はします(笑)
この辺りからは道も急激に狭くなり、路面のアスファルトも所々荒れていて、とてもスイスイ走れる様な道ではありません。
ただ、落石や木の葉などは見当たらないので、ある程度交通量があるのか、定期的に清掃されている様子は覗えますね。
少し広くなった所に車を停めて景色を撮影。
整備された人工河川と違い、自然の姿が広がっていていい感じ♪
この時点でナビを確認すると、目的地まで約30kmで40分程となっていますが、本当にそんな時間で到着するのだろうか?
今のところ他の車には遭遇していませんが、どうも道路が片付いているのが気になります。。。
片付いていると言う事は、ある程度の交通がある事を示唆していると言えますからね。
万が一対向車が来たらすれ違える場所も限られてくるので、用心して進んだ方が良さそうです。
■山奥の村を抜け、宮崎県へ
完全に生い茂る木の中を走る林道ですが、しばらく走り続けると急に木が少なくなって来て空が見えるように。
前方には何やら建物の様な影が見えます。
なんと、こんな山奥に村が!
ここまで車で小一時間は掛かっており、他には日之影へ抜ける道くらいしかなさそうですが、結構家が多いですよ。
道路が片付いている理由は、ここから街の方へ向かう方がいるからでしょうね。
この村の中を抜けていきますが、中には小学校まであり、今時では珍しい二宮金次郎像が設置されていたり。
村の出口の方には水の流れていない川に橋が架かっていたり。。。
人工的に整備されているので、防災用かダムからの水が流れてきたりするのでしょうか。
あまり見ない風景なので、なんだか違和感がありますね。
ここから村を出て再び狭い林道へ突入します。
…と思ったら、本日初の対向車が下ってきました!
ジムニーです(笑)
まさか、この先はオフロード車じゃないと通れないなんて事はないよね…?
いずれにせよ、もう少しタイミングがズレていたら、すれ違いも出来ない道なのでバックで引き返すはめになっていたかもしれない。
この先もその可能性が出てくるわけですよね。。。
用心しながら走り続けましたが、幸いにも今のところは他に対向車と遭遇する事もなくスイスイ進めています。
途中のトンネルは照明も付いていない(笑)
おまけに狭い。意外と長い。向こうがどうなっているのかもわからない。
まだまだ先は長そうですが、少し走ると古い公衆トイレのある広場が現れました。
ここまで車を停めてゆっくり休憩出来る様な場所もなかったので、ちょっとここで一休みする事に。
人もいない。自販機もない。スマホの電波も入らない。
しかしここ、なんだか見覚えがあるんですよね。
昔、ラリーでここに来た事があるような…?
ここから先は多少道も広くなってきて、対向車が来ても十分すれ違う幅はありますね。
このままこの調子だと良いですが。。。
山奥で何もない道ですが、所々景色の良い場所があるのは救いでしょうか(笑)
改めてナビを確認すると、目的地も近そうですからもうちょっと頑張りましょう!
いよいよこの先は宮崎県日之影町ですよー!
■癒し空間「傾山」
このクソみ…あ、いや、クソ美しい自然に囲まれた道を走り続ける事、約1時間半。
2つ目の少し大きなトンネルを抜けた先で遂に目的地を発見!
ここが我々の探し求めていた「吉作落とし」の舞台である傾山の登山口だ!
なんと素晴らしい山か。
この時点で既に二度と来たくねえって気分になっている。
そもそも山を登る気は全くないが、登山道の入口くらいは拝んで帰ろうではないか。
ここは癒し空間。
ヒャッハー!森林セラピーだぜー!
………?
登山口だと?
どこに道があるのか。
誰か!!
ちょっと待ってくれ。
ふざけてんのか?
えぇ………。(絶句)
“ここ”が登山口で間違いないよな?
どうなってるんだ?どこにも道がねえじゃねーか!
誰か!登山の素人にもわかる様に説明してくれ!
何が森林セラピーか。
癒されるどころか、こんな所を登っていたら死の恐怖に曝されるストレスでハゲ散らかりそうである。
もはや吉作どころか、他にも犠牲者を出している山っぽい。。。
こんな山を登るなど冗談ではない。
とても素人が登れる様な山ではなさそうですね。
いずれにせよ、登山口からでは何も見えないので、GPSの方角を頼りに「吉作落とし」のある方向を撮影しておきました。
この山奥のどこかの崖が民話の舞台となっているわけですね。
ちなみに、吉作が採取していたとされる「岩茸(イワタケ)」は、日当たりの良い岩場の壁面に生えているそうで、現在でも貴重な高級食材として売られている様です。
ほとんど味はしないらしいけど…(笑)
■スポットへのアクセス
GoogleMapsで開きます。