新年を迎え、高校卒業を間近に控える若者たちも、運転免許取得を目指して教習所に通い始める頃でしょうか。
最近になって、過去に投稿した入門車両の選択と言う記事のアクセスが増えているのが気になり、少しだけ読み返してみたのですが。。。
これからモータースポーツを始めようと考えている若者や初級者さん向けに、車の維持にも結構お金掛かるんだぜ~?とか、比較的手頃なおすすめの入門車両はこれだ!みたいな事を書いているわけですが、8年前と現在の情勢は随分違うって事に驚かされますよね。
“程度の良い”RX-7が100万円前後なんて現在ではあり得ませんし、インテグラTypeRやNA/NBロードスターがお手頃価格だなんて…、今ではどれも目ん玉飛び出す様な価格にまで高騰しています。
紹介している車両の中では唯一、スイフトスポーツが昔と変わらぬ手頃な価格で推移しているので超優秀と言えそうですが。。。
今回は、改訂版と言う程ではありませんが、以前紹介した内容の一部を、現在の情勢に合わせて再確認してみましょう。
■2025年現在おすすめの入門車両は?
最近の車は高性能化が進み、安全装備も増えてきて、昔に比べると快適でイージーなドライブが可能となってきましたね。
伴い、新車価格は高くなっていますが、静かで快適だし、安全性も高く燃費も良いし、新しい内は故障の心配もほとんどない。

古い車は私も好きだが…ボロい事実に変わりはない(笑)
洗練されていない昔のボロい車なんかに大金払ってまで買う価値なんてないぜ!同じ金額を払うなら新しい車の方が良いぜ!って本音を言いたいところですが、シルビアやRX-7、シビックなどなど、旧式のスポーツカーを伝説化、神格化する様な空気もありますし、ツイッターみたいな所で発言しようものなら何を言われるかわかったもんじゃない時代(笑)
なのでマイルドな言い方をすると、古い車と言うのは仮に車両価格が手頃だったとしても、ボディやエンジン、足回りなどなど、経年劣化でガタがきている車も多いので、それらをリフレッシュしようと思えばお金も掛かります。
まあ、お金を払ってリフレッシュできるならマシな方ですが、そもそも修理や補修をしようにも、中古でさえ部品が手に入らないと言う車も珍しくはない。
些細な故障やちょっとぶつけただけでも、それが保安基準に引っ掛かる様な部品であれば、その時点で不動車ですからねぇ。。。
旧車と言うのは、所謂エンスーと呼ばれる筋金入りのカーマニアが、それなりの財力と覚悟を持って所有するジャンルであって、映画や漫画で見た程度の憧れや興味で安易に手を出す事はおすすめできません。
もちろん好きな車に乗れるのが理想ですから、どうしてもと言う人を止めはしません。
ですが、これからモータースポーツを始めようと考えているのに、維持や修理にお金や時間を注ぎ込んで走れない様では本末転倒なので、この記事の中では比較的手頃で楽しい車、速い車を紹介したいと思います。
個人的な好みや偏見が混じっている事も否めないので、選ぶ時の参考程度にお考えください。
2025年現在、イチオシのおすすめ車種!

比較的新しいZC32型は維持の面でも有利
現在最もおすすめの入門車両は、文句なく超優秀なバランス型「スイフトスポーツ」でしょう!
ターボ付きの最新型は中古市場でもそこそこ値は張りますが、新車価格が手頃なので思い切って最新のZC33と言う選択肢もありだと思います。
しかし、一番おすすめ出来るのは三代目となるZC32型で、こちらは比較的新しいと言う点でも修理や補修で部品に困る心配がない事に加え、安い車両なら30万円台から見付かる事も。
今のところ、昨今のスポーツカーの中古価格高騰の影響もほとんど受けておらず、年式相応の適正価格で販売されている貴重な車種です。
そこそこ太めの選択肢もありながら安価に抑えられる16インチのタイヤが履ける事や、人気車種なのでアフターパーツが豊富と言うメリットもありますが、単純に安い維持し易いと言うだけでなく、軽い車体と手頃なサイズ感は初級者でも扱い易く、本気で走らせたら結構速いので、上達してきたからと言って無理に格上の車に乗り換えなくてもミニサーキットやジムカーナなら一線級で活躍できる。
おまけにリアドアもあるので乗降性も良く、荷物も乗るので普段使いにも便利な万能車種ですよ♪
手頃な価格ながら、本格的なライトウェイトスポーツのフィーリングも兼ね備えている良く出来た車なので満足感も高いでしょう。
後輪駆動が好みならコレ!

現代のスポーツカーブームを牽引する代表的車種
やはりコイツを無視は出来ないでしょう!
一時は氷河期を迎えたスポーツカーでしたが、トヨタがスバルと共同開発で世に送り出し、スポーツカーブームの再来に貢献した86・BRZです。
当時の新車価格は若者にとってはお手頃!とまでは言えないものの、パッケージを考えるとかなりお買い得な車種。
スイフトスポーツに比べるとどうしても値は張りますが、2.0Lクラスで後輪駆動のスポーツカーが貴重な時代に、中古なら70万円台から選び放題!
ATに比べてMTの方がやや高く100万円前後~が多い様ですが、最近のATなら変速も早くMTと遜色ない走りが楽しめるので、イージードライブがお好みの方にもおすすめです。
こちらも人気車種なのでアフターパーツも豊富だし、比較的新しいので部品の調達にも困りません。
ちなみに、16インチのホイールも履けるので意外にも経済的ですが、PCD100の5穴と言う都合上、昔ほど選択肢には困らなくなったもののホイール探しが難航する可能性がある事と、後部座席とは名ばかりの拷問スペースが欠点。
また、水平対向エンジンの欠点なのか、ヘッドカバーからのオイル滲みが目立つ車もある様なので、可能なら実車を良く確認してから選ぶ様に気を付けたい。
人気のスポーツカーと言う事もあり、結構カスタムパーツ盛り沢山な中古車も多いので、不要な物は剥ぎ取って売ってしまえばリフレッシュやチューニング費用の足しに出来るかも?
軽自動車がご希望ならコレがおすすめ!

初代は質感も良くデザインも優秀!
軽も人気がありますが、アルトワークスやプレオなどは価格高騰の傾向がありますし、コペンと同タイプでもS660は高価だし、カプチーノはさすがに古過ぎるので部品調達に困る可能性が高い。
対して、初代コペンは2シーターと言う欠点こそありますが、比較的新しく(とは言ってもデビューは約20年前)ターボ付きで比較的低重心の本格軽スポーツが、なんと30万円以下から見付かります!
慣れてくればブーストアップ程度でもそこそこパワーが絞り出せるので、結構本格的な走りが期待出来ますよ♪
走るならMTと言いたいところですが、ATもオシャレなチェンジレバーにMTモード搭載で、変速の素早さや操作性など評判も良いので、どちらかと言うとAT推しです!
また、直接走りには関係ありませんが、当時は珍しかった新車価格200万円オーバーの軽自動車と言うだけあって、内装も現行のややチープな印象に比べてデザイン性や細部に渡り造り込みも良いですよ。
意外と手頃なハイスペックマシン

NCロードスターが狙い目!
最新のNDは高い、初代のNAは適正価格とは思えない高騰を見せているので、買うならギリギリ50万円台からでも見付かるNB…と言ったところですが、実はNCが一番お買い得で、スポーツ走行に於いてもロードスター最強クラスのスペックですよ!
3ナンバークラスの車幅と長めのホイールベースによる安定感に、RX-8譲りのプラットフォームで歴代のロードスターの中でもコーナーリング性能は突出している印象ですが、何故かシリーズ中最も人気がなかったモデルと言う事もあり、相場は比較的安価に推移していますね。
2シーターと言う欠点と排気量は2.0Lのみとなり、ATはイマイチなので買うならMT一択となりますが、それでも50万円台から見付かります。
S2000の様なパンチはないものの、トルクもありパワフルな加速も兼ね備えているので、大きなサーキットでも不足はないでしょう。
比較的新しいので故障時の部品調達には困りませんが、シリーズ中では最もアフターパーツの少ないモデル。
しかし、実はRX-8からの流用でアップグレード可能な部品が多かったり、比較的安価にMZRシリーズのエンジンスワップメニューを展開しているショップなどもあるので、その気ならL3で公認さえ取得してしまえば2.3LターボL3-VDTにタービンキットで500馬力オーバーなども狙えたりと、マツダ車最強となり得るポテンシャルも秘めている。
もう少し余裕があるなら…

大排気量のためか、意外にも中古価格は比較的手頃
意外かもしれないが、ハイパワーFRのスポーツカーがお手頃価格で。
MTだと100万円~と言ったところですが、ATでも良ければまさかの30万円以下と言う破格で手に入るのがフェアレディZだ!
最大の欠点はデカ過ぎるタイヤサイズに加え、やはり気になる排気量。
なんと3.5Lもあるので、若い内は毎年やってくる自動車税で冷や汗をかくかもしれないが、余裕があるならハイスペックマシンを味わえるチャンス!
どうしても軽快さとは無縁のグランドツアラータイプなので、ミニサーキットでは上手くセッティングしないと辛いシチュエーションも多いが、大きなサーキットなら一線級の活躍に期待出来ると思いますよ♪
今のところ補修部品の調達に困ると言った話は聞きませんが、元々金銭的にも余裕のあるオジサン向けと言う事もあり、アフターパーツはやり過ぎ感の否めない本格的なパーツが多いので、上手く中古パーツなどを活用しないとカスタマイズで貧乏生活に陥る恐れがあるので要注意。
■最近のパーツ事情
年々情勢は変わって来るので、価格や品質に影響を受け易い物、受け難い物など様々ですが、近年は何でもかんでも値上がり傾向が見られ、スーパーのキャベツも1玉1000円に到達しそうな勢いですよ!
自動車税は前回の記事を投稿した後、2019年の税制改正で2500cc以下の車(軽自動車を除く)は数千円単位で安くなっていますが、ガソリン価格は大幅に高騰中で維持費にも直結しますから、こちらも税金くらいどうにかならないのかと願う人も多いはず。
最近の車の燃費の良さを考えると、実質20年前とさほど変わらないと言えるかもしれませんが、オイル類など同じ石油関連の製品も価格高騰の影響を受けますし、物流コストが上がれば少し遅れて一見無関係な物まで結果的に値上がりは避けられないので、現時点でもあらゆるパーツが4、5年前の1.2~1.5倍にまで高騰しています。。。
昔と違ってインターネットの通販やフリマサイトなどが普及して、あらゆるパーツやケミカルが定価より安く買えますが、割引価格が数年前の定価を既に上回っているケースも見られるので結構きついですよね。
カスタム・チューニングパーツの価格高騰

金属部品が結構高い。。。
車のカスタムやチューニングのパーツも以前より値上がりしている物が目立ちます。
車高調や補強パーツ、ブレーキパッド、エアロパーツなど、値上げしているメーカーと価格に大きな変動が見られないメーカーが区々で、どの程度影響が出ているのか分かり難いカテゴリもありますが、明らかに以前より高くなった物も多い。
値上げの影響が大きい代表的なパーツはホイールで、数年前に各メーカーが平均2~3割の値上げをするなど、走る人なら交換率が高いパーツだけに影響が最も大きいパーツと言えそうです。
物によっては前回の記事を書いた8年前と比較して倍程の価格になっている物もあったり、為替相場の影響で安価に手に入っていた外国製のホイールまで選ぶメリットがないくらいに値上がりしている例も。
1本当たりの価格が控え目に2~3千円アップでも、4本揃えれば価格差は1万円以上となるので、この差は結構大きい。
機械式デフなどは”入門”の時点ではすぐに必要性を感じる事もないかもしれませんが、3~4年前と比較して1万円以上の値上げ、8年程前の価格と比較すると2万円以上高くなっている。
オイルの価格も1.5倍以上に跳ね上がっているので、交換工賃は変わらなくても取り付けを含めた初期費用で3~4万円は割高になった印象です。
消耗品への影響も

消費者の味方シバタイヤも値上げは避けられない…
以前ならディーラーで交換しても、1.5Lクラスなら4000~5000円程度で交換出来ていた純正エンジンオイルも、現在では6000~8000円くらいが相場。
ミッションやデフに使用するギアオイルもベースオイルの高騰だけでなく、一時期の極圧剤供給不足の影響で大幅な高騰が見られます。
社外品のデフオイルなど、1L当たり2500円前後で購入出来ていた物が4000円弱と、ここ数年の内に1.5~1.6倍となっているので、機械式デフを使う場合は毎回エンジンオイルと同時交換となるので結構イタイですね。。。
また、タイヤについても同様に大幅な値上げが目立ち、15~16インチでも国産タイヤは1本当たり2000~3000円増し。
オートウェイが扱う輸入タイヤのナンカンなど、安価でもそこそこ遊べる物や、数年前から新たにタイヤメーカーに参入してきたシバタイヤなど、価格を抑えつつも公式競技などで活躍できる程のスポーツタイヤを世に送り出しユーザーの支えとなっていますが、こちらも製造コスト増や為替相場の影響を受け、数年前の国産タイヤとあまり変わらない程度まで高騰しているので、やはり気軽にポンポンと交換できる時代ではなくなってきましたね。
パーツにしても、消耗品にしても、昔の価格とどれくらい差があるのか気になる方は、8年前に書いたこちらの記事と照らし合わせて現在の価格の高騰ぶりをご確認ください(笑)
給料は大して上がらないのに、物価や税金ばかり上がってたまったもんじゃないですよね。
あ、それでも、整備に掛かる作業工賃などは多少値上がりの気配も見られますが、昔から極端には変わっていない様です。
それはそれで、小さなお店だと生き残っていけるのか心配になりますけどね。。。
■現在のガソリン価格高騰は昔と何が違うのか
こんな時代だからこそ、なるべく維持費が安い車で走りたい!と言う気持ちもありますが、意外な事に世間はそれ程追い詰められてはいない様子。
1970年代後半から80年代にかけて、二度のオイルショックによる原油価格高騰は社会の教科書にも乗るレベルの衝撃。
記憶に新しい2008年のサブプライムローン問題の煽りを受けて再び200円/Lに迫る勢いで高騰していますが、直後のリーマンショックで実は一気に価格が下がっています。
その後、徐々に2014年のピークへ向かって値上がりしていますが、この約6年の期間が新卒でも就職先が見付からないと言う程の不景気真っ只中で、特に2008~2010年頃に掛けて一気にモータースポーツ人口が激減し、現在盛り上がっているジムカーナですら閑古鳥の鳴く始末。
私が当時所属していたクラブでもラリーやダートトライアルを主催していましたが、営利目的ではないにしても、現実として大赤字ではクラブの存続すら危うくなるので、イベントをこのまま続けて開催するのが難しい(スポンサーの支援がなければ、赤字どころかそもそも開催不可能)と言う状況にまで陥っていたり。
個人的なイベントでは、お陰様で今は大盛況のクヌギランナーですが、ようやく15台以上で安定してきたと思ったら一気にエントリーが10台以下、酷い時は3~4台、雨が降った日には私1台なんて事もあり、この頃にもうイベント開催はやめようか…などと考えた事もあります。
しかし今現在、2022年時点で既に2014年のピークを上回っていますし、翌年の2023年には最も高かった2008年の価格さえ軽く超えて現在まで値上げが続いてますが、ガソリン価格の高騰を理由に車の趣味をやめちゃったなんて話はほとんど聞きませんよね?
また当時の様にクヌギランナーの参加者が激減するのではないかと心配していたのですが、実はガソリン価格の高騰など、それ程車の趣味に影響を与えていない事に気付きます(笑)
昔に比べて飛躍的に車の燃費が良くなったと言うのも理由の1つかもしれませんが、過去の出来事を思い返しながら書き出していくと、一番の理由は”不景気”で”職がない”事であって、現在はなんだかんだで景気が良くなっている証拠かもしれませんね。
スポーツカーもまだまだ人気の様ですし、世間は最近の車は高いだの何だのとぶーぶー言いながらも、結構高価な車に乗っている人も多いですから、意外とダメージは少ないのかな?なんて。
もちろんなんでも安いに越した事はないので、これ以上の物価上昇が止まり徐々に落ち着いてくれると良いですが。。。
次回こんな記事を書く頃には「昔は色々高かったね~」なんて言える様に祈りたいです(笑)
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