ここでは過去にE&Eシステム社から販売されていた、通称「青箱」こと、自動車用エンジン・マネージメント・システム「Freedom Computer(以下、フリーダム)」の操作方法について解説をしています。

化石の様な一部の車にしか需要のないネタですが、一部の内容はECUセッティングをする上で役に立つ…かもしれない、程度の内容も含んでいますので、興味のある方はご覧ください。

尚、フリーダムを使用する上でセッティングソフト「FCSS」が必要ですが、オリジナルは3.5インチフロッピーディスクとなりますので、ノートパソコンにFDDが装備されている必要がありますし、フリーダムとの接続にはPCにRS-232Cシリアルポートも必要です。

エンジニア向けのビジネスモデルPCなら装備されている可能性もありますが、家庭向けモデルだとWindows95~98SE辺りの世代になると思いますので、入手がやや困難かもしれませんが、FCSSはWindowsXP SP3までは起動確認しています。

尚、以下の環境設定を対象とした解説であり、旧バージョンやバージョンアップ版では多少内容が違ってくる場合もありますので、予めご了承下さい。

フリーダムバージョン:FC-03K (空燃比計連動機能オプション有り)
FCSSバージョン:for Windows Ver.2.14
環境設定
エンジン&車種選択:0 共通
データ保存フォルダー:FCDATA

※注意!
当サイトの掲載情報はE&Eシステム社の公式マニュアルの内容とは全く異なりますので、誤った解釈が混じっている可能性があります。予めご了承ください。

本ページの項目ではエンジン始動前後の燃料噴射時間や加減速時の補正設定等、基盤となる様々な系数の設定を行います。

係数は全14項目、ここでは4~6番の項目を解説しています。。

他の係数やMAPの解説、フリーダムの初期設定などについては、セッティングマニュアルのメニューより、各項目の解説ページを参照してください。

◆04.始動後増量補正

◆05.始動時噴射時間

◆06.加減速補正

◆セッティングマニュアルメニュー

■04.始動後増量補正

エンジン始動直後、水温補正だけでは燃料の増量幅足りない分を補うための補正です。

始動後から安定するまでの間、増量補正値と、その減少幅の設定を行います。

1 始動後増量補正 -30℃

○水温-30度での始動後増量補正値

水温が-30度の時、水温補正に掛ける補正係数を設定します。
ここが最も濃くする部分です。

2 始動後増量補正 -10℃

○水温-10度での始動後増量補正値

水温が-10度の時、水温補正に掛ける補正係数を設定します。
ここもかなり濃くする部分です。

3 始動後増量補正 10℃

○水温10度での始動後増量補正値

水温が10度の時、水温補正に掛ける補正係数を設定します。
ここもかなり濃くする部分です。

4 始動後増量補正 30℃

○水温30度での始動後増量補正値

水温が30度の時、水温補正に掛ける補正係数を設定します。
ここは濃くする部分です。

5 始動後増量補正 50℃

○水温50度での始動後増量補正値

水温が50度の時、水温補正に掛ける補正係数を設定します。
ここはやや濃くする部分です。

6 始動後増量補正 70℃

○水温70度での始動後増量補正値

水温が70度の時、水温補正に掛ける補正係数を設定します。
始動時なので、ここは少し濃くします。

7 始動後増量補正 90℃

○水温90度での始動後増量補正値

水温が90度の時、水温補正に掛ける補正係数を設定します。
始動時なので、ここは少し濃くします。

8 基準水温

○始動後増量補正指定の最低水温

始動後増量補正が有効となる最低水温を設定します。
補正係数の入力されている値は-30度までとなっており、こちらの値もデフォルトでは-30度となっています。

基本的には温度を上げる必要はなく、余程冷え込む地区にお住まいで-30度以下と言う状況が有り得る場合は下げて下さい。
-30度以下の補正係数は-30度で設定した補正値がそのまま使用されます。

9 始動後補正減少量

○始動後増量補正の減少処理でエンジン1回転毎にこの値を補正係数から引く

安定後も始動後増量補正が掛ったままでは、無駄な燃料を消費して空燃比が濃くなるため、徐々に減らしていく処理を行います。
補正値に対してどれくらいの減少を行うかを数値で指定します。

10 始動後補正減少率

○始動後増量補正の減少処理でエンジン1回転毎にこの値を補正値に掛ける(1.0未満)

安定後も始動後増量補正が掛ったままでは、無駄な燃料を消費して空燃比が濃くなるため、徐々に減らしていく処理を行います。
補正値に対してどれくらいの減少を行うかを系数で指定します。

11 減少率切り換えポイント

○始動後増量補正の減少処理の方法を切り換える補正値

始動後補正の減少処理方法を次項の時間方式に切り替えるポイントを指定します。
徐々に補正値が減少していき、ここで設定した値を下回った際に時間による減少方式に切り替わります。

12 減少間隔

○始動後増量補正の減少処理を時間間隔に切り換えた後の減少間隔

前項で設定した補正値を下回った際、エンジン1回転毎の減少方式から、時間間隔での減少方式に切り替わります。
どれくらいの周期で減少処理を行うかをms(1/1000秒)単位で設定します。


■始動時噴射時間

エンジン始動時は吸気圧が不安定となり、正常に燃焼室へ混合気を取り込む事が出来ない。

そのため、初爆までに足りない燃料を補うため、クランキング時に燃料噴射を行う設定をします。

薄いとエンジン始動までに時間が掛り、初爆直後にストール症状が出る場合は燃料噴射が過剰な傾向にあります。

バランスを考えて調整して下さい。

1 始動時噴射時間 -30℃

○水温-30度での始動時噴射時間(ms)

水温が-30度の時、クランキング時に燃料噴射を行う時間をms(1/1000秒)単位で設定します。

2 始動時噴射時間 -10℃

○水温-10度での始動時噴射時間(ms)

水温が-10度の時、クランキング時に燃料噴射を行う時間をms(1/1000秒)単位で設定します。

3 始動時噴射時間 10℃

○水温10度での始動時噴射時間(ms)

水温が10度の時、クランキング時に燃料噴射を行う時間をms(1/1000秒)単位で設定します。

4 始動時噴射時間 30℃

○水温30度での始動時噴射時間(ms)

水温が30度の時、クランキング時に燃料噴射を行う時間をms(1/1000秒)単位で設定します。

5 始動時噴射時間 50℃

○水温50度での始動時噴射時間(ms)

水温が50度の時、クランキング時に燃料噴射を行う時間をms(1/1000秒)単位で設定します。

6 始動時噴射時間 70℃

○水温70度での始動時噴射時間(ms)

水温が70度の時、クランキング時に燃料噴射を行う時間をms(1/1000秒)単位で設定します。

7 始動時噴射時間 90℃

○水温90度での始動時噴射時間(ms)

水温が90度の時、クランキング時に燃料噴射を行う時間をms(1/1000秒)単位で設定します。

8 基準水温

○始動時噴射時間指定の最低水温

始動時噴射時間が有効となる最低水温を設定します。
噴射時間の入力されている値は-30度までとなっており、こちらの値もデフォルトでは-30度となっています。

基本的には温度を上げる必要はなく、余程冷え込む地区にお住まいで-30度以下と言う状況が有り得る場合は下げて下さい。
-30度以下の補正係数は-30度で設定した補正値がそのまま使用されます。

9 スロットル開度補正

かぶりの症状が発生してエンジン始動が上手く行かない場合、アクセルを踏み込む事により噴射時間に補正を掛けます。
RX-7など、ロータリーエンジンの車に乗った事のある方なら分かり易いかと思いますが、俗に言う「デチョーク」の設定となります。

一般的にはスロットル開度0%を基準に、開度が大きくなるにつれて減少方向の係数を入力します。

70%以上では燃焼室を乾かすため、完全にカット(系数0.000)するのが一般的です。

1 スロットル開度補正 0%
○始動時噴射時間をスロットル開度により補正するためのスロットル開度0%での補正値

2 スロットル開度補正 10%
○始動時噴射時間をスロットル開度により補正するためのスロットル開度10%での補正値

3 スロットル開度補正 20%
○始動時噴射時間をスロットル開度により補正するためのスロットル開度20%での補正値

4 スロットル開度補正 30%
○始動時噴射時間をスロットル開度により補正するためのスロットル開度30%での補正値

5 スロットル開度補正 40%
○始動時噴射時間をスロットル開度により補正するためのスロットル開度40%での補正値

6 スロットル開度補正 50%
○始動時噴射時間をスロットル開度により補正するためのスロットル開度50%での補正値

7 スロットル開度補正 60%
○始動時噴射時間をスロットル開度により補正するためのスロットル開度60%での補正値

8 スロットル開度補正 70%以上
○始動時噴射時間をスロットル開度により補正するためのスロットル開度70%以上での補正値


■06.加減速補正

アクセルのオン、オフ時には吸気圧が急激に変化する。

前項でも説明した通り、燃料の気化速度は吸気圧にも影響される事から、加速時、減速時の吸気圧が急激に変化する領域では、狙った空燃比から外れる事がある。

そのズレを吸気圧とスロットル開度によって補正します。

1 吸気圧変化下限値

○エンジン1回転毎の吸気圧変化がこの値以上の時加減速補正をかける

エンジン1回転毎の吸気圧変化を監視し、吸気圧の変化量がこの値以上になった時、加減速中と判断して補正を行う。
値が小さいほど僅かな変化にも敏感になるためレスポンスは向上するが、ハイカム等で吸気圧のバラつきが激しい場合は不安定になる場合があるので注意が必要。

2 吸気圧変化上限値

○1回転毎の吸気圧変化がこの値以上でもこの値として加減速補正係数を計算する

エンジン1回転毎の吸気圧変化を監視し、吸気圧の変化量がこの値以上になった場合、ここで設定した値(吸気圧変化量)と判断して補正量を決定する。
この値以上の変化量では、一定の補正率となる。

3 吸気圧変化ゲイン

○吸気圧の変化から下限値を引いた値にこの値を掛けたものを加減速補正係数とする

書いてある事がそのままであるが、値が大きいと補正率が大きくなり、加速方向では濃く、減速方向では薄くなる。
逆に、値が小さいと補正率が小さくなり、加速方向では薄く、減速方向では濃くなる。
主に加速方向を考慮するため、大きくする傾向にあるが、レスポンスが良くなる半面、過剰に増やすと失火を招き返って加速が悪くなるので注意。

4 スロットル開度変化下限値

○スロットル開度の変化がこの値以上の時加減速補正をかける

エンジン1回転毎のスロットル開度変化を監視し、スロットル開度の変化量がこの値以上になった時、加減速中と判断して補正を行う。
値が小さいほど僅かな変化にも敏感になるためレスポンスは向上するが、過剰に小さくすると振動や、アクセルに触れただけで補正が掛ってしまう場合があるので注意。

5 スロットル開度変化上限値

○スロットル開度の変化がこの値以上でもこの値として加減速補正量を計算する

エンジン1回転毎のスロットル開度変化を監視し、スロットル開度の変化量がこの値以上になった場合、ここで設定した値(スロットル開度変化量)と判断して補正量を決定する。
この値以上の変化量では、一定の補正率となる。

6 スロットル開度変化ゲイン

○スロットル変化から下限値を引いた値にこの値を掛けたものを加減速補正量とする

こちらも書いてある事がそのままである。
値が大きいと補正率が大きくなり、加速方向では濃く、減速方向では薄くなる。
逆に、値が小さいと補正率が小さくなり、加速方向では薄く、減速方向では濃くなる。
主に加速方向を考慮するため、大きくする傾向にあるが、レスポンスが良くなる半面、過剰に増やすと失火を招き返って加速が悪くなるので注意。

7 加減速補正減少割合

○エンジン1回転毎にこの値を加減速補正係数から引き減少させる

加減速での吸気圧変化が安定した後も補正が掛ったままになると、無駄に燃料を消費したり、ストール症状が発生するため、徐々に補正率を減少させる処理を行う。
エンジン1回転毎にどれくらい減少させるかを設定します。

8 加減速補正水温分

燃料の気化速度は吸気圧変化だけでなく、温度にも影響されるため、加減速補正値をさらに水温によって補正するための設定を行います。

水温が高いほど値は小さく、低いほど値は大きくなります。

基準水温は水温補正が有効となる最低水温を設定します。
-30度以下となる可能性がある地域では、それ以下に設定して下さい。

-30度以下の補正は-30度で設定した補正値がそのまま使用されます。

1 水温補正 -30℃
○加減速補正値をさらに水温で補正するための水温-30度での補正値

2 水温補正 -10℃
○加減速補正値をさらに水温で補正するための水温-10度での補正値

3 水温補正 10℃
○加減速補正値をさらに水温で補正するための水温10度での補正値

4 水温補正 30℃
○加減速補正値をさらに水温で補正するための水温30度での補正値

5 水温補正 50℃
○加減速補正値をさらに水温で補正するための水温50度での補正値

6 水温補正 70℃
○加減速補正値をさらに水温で補正するための水温70度での補正値

7 水温補正 90℃
○加減速補正値をさらに水温で補正するための水温90度での補正値

8 基準水温
○加減速補正の水温での補正の最低水温

9 加減速補正回転数分

加減速補正値を回転数毎に加減するための設定を行います。

特に設定が必要な部分ではありませんが、回転域によりその補正量を微調整、使い分けたい場合は補正値を設定して下さい。

1 回転数補正 0rpm
○加減速補正値をさらに回転数で補正するための回転数0rpmでの補正値

2 回転数補正 1000rpm
○加減速補正値をさらに回転数で補正するための回転数1000rpmでの補正値

3 回転数補正 2000rpm
○加減速補正値をさらに回転数で補正するための回転数2000rpmでの補正値

4 回転数補正 3000rpm
○加減速補正値をさらに回転数で補正するための回転数3000rpmでの補正値

5 回転数補正 4000rpm以上
○加減速補正値をさrない回転数で補正するための回転数4000rpm以上での補正値

10 等価スロットル開度マップ

スロットル開度に対する、吸気量との関係をグラフ化して登録します。

ポイントのX軸とY軸の関係は、X=スロットル開度、Y=吸気量となり、パーセンテージ(%)の値で入力します。

実際にアクセルを踏み込んで行った際、スロットル開度に比例して吸気量が増えますが、その関係は直線的な比例関係にはありません。

そのため、スロットル開度が何%の時に、実際の吸気量が全開時に対する何%かを設定していきます。

例えば、スロットル開度が10%の時に実際の吸気量が全開時の30%で吸入されている場合は「1X=10.0 Y1=30.0」
スロットル開度45.5%の時に実際の吸気量が全開時の50.5%で吸入されている場合は「2X=45.5 2Y=50.5」と言う具合に、4ポイントを設定してその関係をグラフ化していきます。

シングルスロットルでももちろん、独立スロットル(4連スロットル等)ではより重要な項目となります。

1 ポイント 1X
○等価スロットル開度(加減速補正、非同期噴射算出用)横軸(換算前)の1番目の値

2 ポイント 1Y
○等価スロットル開度(加減速補正、非同期噴射算出用)縦軸(換算前)の1番目の値

3 ポイント 2X
○等価スロットル開度(加減速補正、非同期噴射算出用)横軸(換算前)の2番目の値

4 ポイント 2Y
○等価スロットル開度(加減速補正、非同期噴射算出用)縦軸(換算前)の2番目の値

5 ポイント 3X
○等価スロットル開度(加減速補正、非同期噴射算出用)横軸(換算前)の3番目の値

6 ポイント 3Y
○等価スロットル開度(加減速補正、非同期噴射算出用)縦軸(換算前)の3番目の値

7 ポイント 4X
○等価スロットル開度(加減速補正、非同期噴射算出用)横軸(換算前)の4番目の値

8 ポイント 4Y
○等価スロットル開度(加減速補正、非同期噴射算出用)縦軸(換算前)の4番目の値