■練習のポイント

○基本に忠実に

○ラインを見極める

○ライン設計は逆回りで考える

○ラインを滑らかに繋げる

○操作は楽に

 

■目次

◆滑らかに繋げる

◆楽に走るとは

■滑らかに繋げる

前回までにラインの考え方を説明しましたが、実際に走る上で瞬時に理想に近いラインを走るにはどうすれば良いのか?

また、アウト・イン・アウトが不向きなシチュエーションをどう見極めれば良いのか?

そのコツを少しお話しましょう。

走行会や競技では、慣熟歩行、慣熟走行などと言ってコースを歩かせたり、プラクティスタイムを設ける事があります。

これは何をするための時間か?と言うと、コース自体の形を覚えると言う意味もあるのですが、慣れてくるとコーナーの抜け方や、その先へどう繋ぐかと言ったレコードラインの組み立てを検討する時間でもあります。

仮にこの様な時間がなくても、コースインして1周の内に、次のコーナーへの繋がりが楽だったか、きつかったかと言う判断を行い、ラインを再編成します。

しかし、車を走らせる事に精一杯で、それすらも感じる余裕が無いと言う場合は、どの様に考えれば良いのでしょうか?

以下の写真をご覧ください。

これは一本クヌギの航空写真ですが、初級者の方が一番に意識するであろう、基本に忠実なアウト・イン・アウトの例。

多少アバウトな図ですが、全てのコーナーを一つずつ、理想的なアウト・イン・アウトのラインで走ると上の様な図になります。

これを見ると一目瞭然。

理想的なアウト・イン・アウトで走ると、あるコーナーは理想的なアウト・イン・アウトのラインで走れなくなってしまう場所が発生します。

それはどこかと言うと、一番外へ立ち上がる前に、次のコーナーの進入ラインと交差する部分、または明らかに滑らかには繋がらない部分です。

正確なコース図があれば、実際に線を引いてみて、同じ様に考えてみると良いでしょう。

そして不要な部分、明らかに効率の悪い部分を探します。

上の図を例に考えると、赤線で表示している部分が交差、または明らかに効率良く繋がらない部分と考える事が出来るので、この部分をイメージから削除し、各ラインとの繋がりを滑らかになる様に修正します。

連続する部分は互いの効率を著しく落とさない程度に妥協して滑らかなラインをイメージしてください。

上記の考えに基いて滑らかに修正したら、大凡下の図の様なラインが完成すると思います。

これが、レコードラインの「近似形状」です。

全てのコーナーを可能な限り効率よく曲がった場合のラインを滑らかに繋げればこの形になるわけです。

つまり、初めて走るコースであればこの様な考え方で設計したラインを走れば、大凡間違いない結果が得られると思います。

しかし、これはあくまでも、理想に「近い」形です。

完成形とならない理由は、実際のコースに於いては車両の駆動方式や車種毎の特性、セッティングによっても様々で、安易に「効率」と言う言葉を信用するのは危険であると言う事。

車によっては、進入から早めに向きを替えて、もっと加速で稼げる様なラインを取った方が有効だったり、狭い複合コーナーでは片方のコーナーを犠牲にしてでも、もう片方のコーナーを最大限に活かした方が速いと言う場合もあるので、実走で得たデータを基にこの修正を行っていきます。

これを、所謂「走り込み」と言うわけです。

ただ、漠然とコースを走り回るのは単なるレジャーで、走り込みとはまるで目的も結果も異なります。

楽しみ方は人それぞれなので、別に悪い事ではありませんが、速くなりたいのであれば「目的」を持って走らなければ意味がないのです。

まずは基本ラインを作成し、実際に走った上で自分の走り方、車に合っていないと感じる部分を修正していく。

その地道なデータ取りと修正を繰り返して辿り着くのが、真のレコードラインと言うわけです。

 

■楽に走るとは

前回の説明でも、車を行きたい方向へ行かせてやると言う話をしました。

Gを感じろ、トラクションを意識しろとは言ったものの、いきなりは難しいのかな?と言った印象も受けるので、もっと分かり易い部分を。

今回の項は補足項目だと思ってください。

良く言われるのは、FFは初心者向けと言う話。

これは何故かと言うと、最近では一概には言えなくなりましたが、終始アンダー方向で安定する特性が強い事。

アクセルオフでタックインと言うインに巻き込む特有の現象があり、初心者でもアクセルを抜けば曲がると言った印象を持ち易いと言う点。

何より、アンダーで安定すると言うのは、コーナーの立ち上がりでガバッとアクセルを踏み込んでも、前輪が引っ張り出してくれるので、後輪駆動の様なシビアなアクセルコントロールは要らないと言う事だ。

トラクションが掛からなければ、前に進まないと言う事はあっても、姿勢を大きく乱す事は稀です。

…まあ、真の意味で速く走らせようと思えば、FFは上級者向けと言えるのですが、現時点ではFFのメリットしか感じる事はないでしょうから、初心者向けと言うのも間違いではないと思います。

さあ、このFFに何故触れたのか、ですが。
LSDを導入すると途端に別物となるので、ここではオープンデフである事を前提に話しますよ。と言う前置きをしたかったためです。

他の駆動方式でも多少動きの差は現れますが、FFや4WDのフロントにLSDを入れると露骨な差が現れます。

その中でも著しい変化が、キックバックやトルクステアと言った症状です。

アクセルを踏み込んだ際に、タイヤからの入力がハンドルに返って来て急にハンドルが重くなったり軽くなったりと言うキックバック。

ハンドルを切り込んでいる方向に、吸い込まれる様にハンドルが回ってしまうトルクステアです。

他の駆動方式や、LSD機構の無い前輪駆動であれば、スクラブ半径やアライメントに大きな問題が無い限り、初心者が露骨に感じる様な症状は出にくいです。

では、本題ですが。

交差点を曲がる時や、車庫入れをしている時など、回したハンドルが、ある一定のところで真っ直ぐの状態へ勝手に回って戻ってくると言う現象を感じた事があると思います。

真っ直ぐ走っている時でも、車線変更で少しハンドルを切った時でも、手を離してもハンドルの中心位置まで戻ってくるわけです。

この力をセルフアライニングトルクと言いますが、高速走行時に於いても同様の力が作用します。

コーナーを曲がり、立ち上がりに向けてアクセルを踏み込んで行く際に、手応えとして感じるのが、ハンドルが真っ直ぐに戻ろうとしているこの力。

無暗にハンドルから手を離してポンッと戻すのは危険ですが、この力に大凡逆らう事無く、中心へ戻ろうとするハンドルに手を添えておくと言った感じ。

ここでハンドルを握り締め、舵を与え続けたままアクセルを踏み込んで行くと車に無理をさせている感じが出ると思いますが、真っ直ぐに戻ろうとするハンドルをある程度車に委ねてやると、緩やかにGが抜け、スムーズに加速姿勢へ移っていく印象を感じると思います。

この様な操作はヒール&トゥなどと同様に、わざわざサーキットに来て練習すると言うものではありません。

普段の運転の中で、緩やかなコーナーから交差点などでも、意識して感じ、クセを付けておく事で自然に身に付くものだと思います。

ちなみに、この作用が手に取るようにわかるのが、古典的な後輪駆動です。

動きが分かり易い。素直なフィーリングと言われるのはこう言った部分が多いためだと思います。